表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Chimera Park On-line  作者: カカセオ
第1章 クローズドβ
3/20

01-03 食事

「まずは食事だな」


 セーフエリアにある〈無限の飼料箱〉のは成長補正付かないと言っていたので石舞台の外へと向かう。

 そこから見えた範囲はプレイヤー達で混雑しており、剥げた大地が広がっていた。


(おー、すっげー居るな。そういやテスター5万ぐらいだっけか…でもなんか多すぎねぇか?)


 実はテスターの半分が草食獣を選択した。

 難易度が高い虫や虫を食べなければならなさそうな鳥、狩りの必要性がある肉食獣などよりも、難易度低そうな草食獣が好まれたためだ。

 その大勢で食事している結果、食い尽くされて地面が露出した部分が広範囲に広がった。

 〈無限の飼料箱〉で食事していたのはこの光景を見て成長補正よりも安全に成長することを選択したプレイヤーなどだった。

 しかし、良く見てみると誰も手をつけていない場所が見えた。


(なんだ?……とりあえず行ってみっか)


 石舞台から降り、そちらへと向かう。

 食べられている所との境界線まで近づいてみても何の変化も無い。

 中に入ろうとすると横から声がかけられた。


「あっ、危ない!」


「ぁあ?」


 ガサっと一歩、境界線の中に入った。

 ヒョコッとウサギが顔を出した。


(開始地点すぐにGG(グラスジャイアント)ラビットかよ?!

 …っと、俺縮んでたっけ。っつうことはグラスラビットか。

 HANTから流用してんのか?ってことはだ…)


 続いてヒョコヒョコと顔を出すウサギ達。


「侵入者発見、排除!」

「「はいじょー!」」


 そう叫んで突っ込んでくる。

 HANTの時と同じくその数5体

 大きいのが2、小さいのが3。

 小さいのと自分がほぼ同じ大きさだ。

 今相手するのは危険だが、食事する場所が無い。

 グラスラビットの縄張りを突き抜けた先なら開いてるだろうと考え、駆け出した。


「出てけ!」

「「でてけー!」」


(上手く間に入って体当ててけば行けんだろ)


 迫りくるグラスラビットたちの隙間に向けて全速力で突っ込む。

 と、体が自動的に進む感じがした。


(やべー!!)


 細かい修正が出来ない。

 今更止め様も無く、運よく蹴ろうとしていた大きいの足にあたり、大きいのがバランスを崩して小さいのを巻き込んだ。

 もがいていた状態からなんとか起き上がり、追って来る。

 流石にグラスラビットの方が早いが、追いつかれない様頑張った。

 息が切れてきて、後もう少しで追いつくというところでグラスラビットは立ち止まった。


「侵入者退去!」

「「たいきょー!」」


 そう言うとグラスラビットは去って行った。

 思わず大の字に倒れた。


「あー、疲れた!……よし、誰もいねぇな。餌場ゲット!」


 ステータスを見るとSTが5%を切っていた。

 FSに《突進Lv1》が追加されていたのでSASを切る。

 新たにスキル取得した時は自動でSASが入るのだろう、一瞬でコンソールを思い浮かべ切る練習をした方がいいかもしれない。


「…っとまずは食事だ」


 立ち上がりもぐもぐと草花を食べる。

 味はまあまあで、飽きさせない為なのだろう色々な味がする。


(っつうかしゃべるんだな、グラスラビット…ってあれか、《言語:草食獣》ってぇのの所為か?なんか意味あんのか?)


 もぐもぐ…もぐもぐ…もぐもぐ…もぐもぐ…

 更地が少し出来た頃、顔を上げた。


「はー、食った食った。次は何やっかな、腹ごなしに運動でもすっか?…そういや、動物なのに鼻とかきかねぇな。なんでだ?」


 コンソールを開きヘルプを選択して検索する。


『スキルを持たない状態の感覚は人間を基準にしております。

 感覚を高めたければスキルを取得してください。

 感覚器の因子の種類によって、スキルの効果や取得しやすいスキルは変動します』


 ついでにSASも調べてみる。


『スキルアシストシステム―SASはスキルを取得した時から自動的に発揮されます。

 SASを無効にする場合はコンソールから選択するか、そのスキルの発動中に無効を思い浮かべれば可能です。

 有効にする場合も同じ動作で行えます』


「おー…じゃあやってみっか」


 前方へ目掛けて体を叩きつけるように勢い良く走り出す。

 途中でSAS有効と思い浮かべると、動きが制限される感じが発生した。

 停止と思い浮かべて停止し、ステータスを見ると《突進Lv1》のSASが有効になっていた。

 今度は目標を見定め《突進》と思い浮かべると、体が動かされて突進開始になった。

 SAS無効を思い浮かべると、体の自由が戻ったので停止する。


「こんなもんか。後は感覚強化でもしておくか」


 ライノー種はHANTだと音や匂いに敏感だったなと思いながら、耳を澄ませ、匂いを嗅ぎ、遠くを見つめる。

 そうしていると、次第に草の嗅ぎ分けが出来るようになり、遠くの音が少しずつ鮮明になってきた。


「侵入者発見、排除!」

「「はいじょー!」」


(グラスラビットの縄張りに入った奴居るんだなー)


 視覚はまだ変わり映えはしない、伸び辛いのだろうか?

 そうこうしているとお腹がすいてきたので、草花を摘む。

 腹を満たすと今度は駆けたり跳んだりした。

 ここは丁度グラスラビットたちの縄張りの緩衝地帯のようで、あまり広くはないが動けるだけのスペースは在った。

 腹がすいては食べ、満たせば動いたり感覚に集中したりする。

 空が茜色に染まっていく。


(一旦セーフエリアに戻ったほうがいいか。HANT準拠だと夜は活発化するだろうし……って何処から来たっけ?)


 ジャンプして見ると草の切れ目が見えたのでそちらへ向かう。

 グラスラビットが出てきたが、今度はSAS難なく抜ける。

 HANTで野人プレイをしていたのは伊達ではない。

 グラスラビットの縄張りを抜けると石舞台が見えてきたのでそちらへ向かう。

 他にも戻ってくるものや、場所が開いたからと向かっていくものがいた。

 石舞台に上がると何かが近づいてきた。


「大丈夫だったのか。無茶なことするんだね」


 近づいてきたのは馬―ホース種だった。

 全身真っ黒で目は赤い。


「ぁあ?…ってさっきの奴か。っつうかお前、シンだな!」


「へっ?……もしかして、ノビ?! な、なんでこっちに居るんだ?!」


「知らん」


「知らんってああもう、また気紛れ起こしたんだろ!」


「…で、何でそっちはここに居んだ?」


「…ノビがオフラインだったし、向こうはちょっとね…」


「で、名前が見えないっつうことは別筐体でやってんだな」


「来ると思ってたし、後で覘くつもりだったんだよ。とりあえずフレンド登録しよう」


「おう。……名前は、トール?」


「ヤサイって相変わらず安直な…」


「うっせー。お前だって狙いみえみえだろうが」


「…判るか?」


「わからいでか」


 真治―トールの趣味は半人半獣、どうせ向こうではレオ種選んでいるのだろうと中りをつける。

 予想通りレオ種で名前はフィクスだという。


「まあ、封印だな。お前もこっちに居るし。というか向こうはな…」


「…なんだよ、そんなに違うのか?」


 トールが言うにはこっちと同じ草原地帯だがグラスラットはすばしっこくて捕まえれず、成長補正が欲しい奴らは徒党を組んでグラスラビット相手に大規模戦闘(レイド)もどき。

 参加した人数分の肉が手に入るわけも無くギスギスした空気が蔓延し、そんな中1体のキャット種が地面を掘って何かを食べていた。

 それは小さなマッドワームだった。


「―というわけだ」


「んー、問題なくねぇ?」


「お前ならなっ!…そんな訳でこっちがメインだ」


「へいへい」


「はぁ…、でこれからどうするんだ?」


「寝るに決まってんだろ。完徹ペナはあるだろうしな」


「うん、まあそうだな」


「っつうわけだ、おやすみ」


「ああ、おやすみ」


 足を折ってうつ伏せになり、数瞬で眠りに落ちる。


(相変わらず寝付きは良いな。しかも無駄に勘が良い。一目でわかるとかないだろ、普通)


 昔悪戯しようとして撃退されたあれこれを思い出してたが、やがて睡魔が襲ってきた。


「ふあぁあ…さてと、おれも寝るか」



―――



 草食獣スレ5喰われ目


 ・

 ・

 ・

 ・


108:ウサギの縄張りに入る奴たまにいるな。さっきもサイが行ってたぜ


109:仕方が無いよ、草無いし。とりあえずそのサイの冥福を祈る


110:南無南無


111:なむなむ


112:>>109なむなむ


113:だれだ俺の冥福祈った奴は!


114:ノ


115:ノ


 ・

 ・

 ・

 ・


701:……おれ、やばいもん見たかもしんない


702:?


703:??


704:さっきようやく草にありつけたんだ。そしたらいきなり横が騒がしくなったんだよ。振り向いたら、ウサギが出ててね。一瞬驚いたよ、でも背を向けてたんで安心したんだ。そしたら…


705:要約


706:ウサギ抜けて子サイ来た


707:?!


708:?!!


709:うっそだー(棒)


710:いやいや、マジマジ。良くわからない方法でウサギこかしながら走ってきたんだよ


711:良くわからない方法って(笑)


712:ほんとだよ、信じてくれよー(棒)


713:それは逆に信じられん(笑)


714:・・・HANTの上位陣ならそういうことできるかも知れんな


715:HANT?


716:知らないのか?!


717:もふもふ天国とだけ聞いて応募したんで


718:・・・ここの運営の別作品だ、色々と共通点がある。詳しくはググれ。話を戻すが人間やめてるの多いからな、HANT上位陣。初日からそんなことも出来るだろうさ


719:ああ。裁店大聖(キングオブサルトリア)とか月天狼(がってんろう)とかな


720:牛牛山脈(モーモーヘブン)は俺の嫁


721:いや俺の


722:いや俺の


723:いや俺の


724:どうぞどうぞ


725:お前ら(笑)


726:で、何で出来るんだ?


727:SAS切ってるんだよ


728:は?


729:裏モードもあるだろうしな


730:裏モード?


731:HANTでSAS切るとある程度までスキルが急激に上昇する場合があるんだよ


732:えっ、なにそれ


733:色々考察されてるけど用は本人が現実に出来るぐらいまで上がるらしい。最初からそのレベルにならないのは現実の肉体との違いがあるからとか


734:人によってスキルの取得速度が違ったりするしな。スキルはどこまで何が出来るかの目安でしかないって良く言われてる


735:運動出来る人有利とかナニソレ


736:その辺り他よりも極端だけどプレイヤースキルだろ、文字通り


737:うわっ、何か上手い事言ってる(笑)


738:下手だとスキル上がらないとかは無いし、初期ステータスは変わらないから、頑張れば何とかなるさ


739:その為のSASです。動かしていると結構身に付くもんだよ、中堅ぐらいだと外してる人多いし


740:でも上位陣のまねできるとは思えない。何あの変態機動


741:それについて模範的狩人しゅりょうのおにいさんに聞いたことあるな


742:ああ、あの人。なんて答えたんだ?


743:限界をいつも出してそれを通常状態にし、そこからまた限界を出して通常状態にするのを繰り返していれば出来るようになる、だと


744:古い漫画か何かで見たなそんなの


745:さすが別名猛獣使われ(アダムバトラー)。まともに見えても向こう側なんだな


746:そんな訳で奴らならできそうだ。これが虫ならともかく、四足だからな・・・


747:・・・ちょっと試してみる


748:がんば


749:ところで幼獣祭りハァハァ


750:いきなりなんだよ、まあ同意


751:禿同


752:ああペロペロしてー


753:おまわりさん、犯罪者がいますよー


754:でもでかくなってるの増えてショボン


755:そいうやさっきウマとサイの小さいのが仲良く一緒に寝てたの見たぜ


756:へー、和むわー・・・ってサイ?↑


757:いやいや、さすがに同じわけないだろ


758:試してきました、何とか立てたけど歩くのすらむずいっす。これを最初からできるとか


759:まあ人間じゃないからな、こっちが本職だろう


760:だな


 ・

 ・

 ・

 ・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ