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天使の1ページ  作者: もっち
本編
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《量子兵器VS量子神器 前編》

《#27 量子兵器VS量子神器 前編》



『藍川、白桜出ます!』


それと同時にレバーを押し出すと、白桜はカタパルトの上で前方へ加速してゆく。

最初はなんてことの無い、向かい風が心地よい程度の加速だったので俺は徐々に近づく出口とそこから漏れる外の光に対し一種の武者震いのようなものを抱いていたのだが・・・なんて事はない、みるみる内に機体速度は上昇していき「あ、ヤバイ」と思った時には先程職員に忠告されたとおり背骨が折れるんじゃないかと思える姿勢で発進していた。


『到達と同時に衝撃が走ります!注意を!』

『っあ・・・!?』


訂正、正確には“発進”ではなく“放り出された”というべきだろう。

当たり前だがカタパルトレールには長さの上限がある。その一番先にたどり着くと同時に脚部を固定していたパーツが外れて拘束を解かれた機体は今までの加速を利用して飛び立つ。それが本来の運用方法。

ただしキチンと発進するには使用者が与えられる加速に負けないよう前傾姿勢で挑んでそのタイミングを把握しているのが条件であり、それを知らせるのが今言われた衝撃という単語だろう。

ガチャンという音・・・脚部の拘束が解けた効果音。確かに俺もそれを聞いていた。しかし、だ。

まるで立ったままジェットコースターに乗せられているのではないかと錯覚する程の加速によって視界は真上、姿勢はブリッジなどというものではない・・・言うなれば「ワカメ等の海藻の真似」と取れるように両腕が万歳体勢。しかも加速によってヒラヒラと揺らめく。多分ここまでワカメを体現できる人間はそう居ない筈だ。ワカメ人間コンテスト最終評議委員の俺がいう言うんだから間違いない。・・・・・・いや、そんなん無いから知らんけど。


多分・・・この状況下でこんな馬鹿なことを考えていたことが効果音を聞き取れていたにも関わらず発進を失敗した一番の失敗と言えた。

まがりなりにも意識を集中させていれば衝撃音の時点で対応して発進の体裁は守れただろう。

結局、考えに没頭していたせいで衝撃音に対しての対応が遅れ・・・・・・ワカメ状態の体勢のまま外に投げ出されてぐるぐると前転しながら発進してしまったのだ。

めまぐるしく切り替わる視界の中でこのままでは危険だと(ようやく)察知した俺は意識を集中させ―――!



「・・・・・・・・で?」

「・・・・・・・・・」


話は今へ戻る。


「気持ち悪い姿勢で外へ放り出されてアリーナ外面へ激突、しかもご丁寧にエネルギーシールド全開にして防壁を完全破壊して突き抜け、設備の一部を沈黙させた挙句に衝撃で背中が痛いだと?」

「・・・・・・・・あぁ」


現在位置、生徒会棟地下1階の応接間。

現体勢、正座。

現状、1対全員につき不利。


「「「・・・・・」」」


痛い、哀れんだような視線がすごく痛い。あとついでに長時間正座させられているせいで足も痛い。


「確かに相手にもならなかったな・・」

「流石にアレは弁解しようがないね・・・」


それぞれが苦笑混じり、もしくは非難轟々といった言葉を口にしながら俺を見下ろしている。

・・・まぁ、今回は自分自身でも馬鹿だったということは自覚しているつもりだ。とは言うものの初めてなんだから仕方ないじゃないか。

日常的にあんな速度を体感するなんて人間は限られているだろうし・・・むしろ生きてるだけでも良い方じゃないか?

むしろそう考えればおかしいのは・・・


「・・・・なぁ篠崎」

「ん?」

「篠崎の時はどうだったんだ・・・?キツくなかったのか?」


おかしいのはほぼ同時期に契約したにも関わらず難なく発進できた彼の方だ。

正座を崩すことなく・・いや、崩すとまた何か言われそうなので・・・そのままの姿勢で視線のみを篠崎へと向けると本人は首をかしげながら天井を見上げほんの数秒考え込む仕草を見せたがすぐに俺へと向き直る。


「いや・・・別に・・・てか契約者になったお陰もあってそんな苦労はしなかったな」


契約者になったお陰だけでそんな事ができるかよ・・・。

どうやら彼は俺より遥かに身体能力が高いらしい。技術ではなく参考にもできないレベルの「能力差」だったようだ。


「・・・・・・」


と、一人うなだれている俺とそれを慰め、もしくはなじっている皆の中で彼と雪音さんだけがやけに真面目な顔つきだった。


「大体・・・・

?・・・悠斗?」


それまで施設を破壊したことに関して説教していた副会長も櫻井の変化に気付いたらしく不思議そうに名前を読んでみるものの、本人は気づいているのか気付いていないのか意に介することなく表情を変えない。が、その微妙な空気が皆に伝播し、やがて部屋全体が静かになったのを境に時計を見て一言「う~ん」と唸りを上げる。


「え~・・・とりあえず昼飯にしよう」


おい。

珍しく真面目に考えてたのかと思いきやそんなことかよ。

今度は櫻井が全員から非難の目を浴び始める。


「会長・・・あなたは・・」

「ご、誤解するな・・!ただ今の朱羽とエンシェントのデータを早速調べたいのだ!ただそれに時間がかかるからお前達は先に飯をだな―」


先程までとは比べ物にならない鋭い視線に怯んだ櫻井はそれに圧倒されて後ずさりしながら弁明を始めた。いや、最初からそう言えよ、説明の順番がおかしいだろうが。


「・・・・まぁ、データ解析に忙しいのは確かだが」

「だ、だろう・・・!?ほら!さっさと食堂にでも行けって!」

「でも、確かにそろそろお腹空きましたね・・・」

「そうだろうそうだろう・・・!流石は仮にも俺の妹だな・・!」


どうでもいいが何でそんなに昼飯を食べさせたいんだ?・・・いや、むしろこれは「とりあえず追っ払いたい」と言いたいように聞こえるのだが・・・?



結局言われるがまま外へ追いやられた俺と連雀、鮎奈、響真、櫛名田、篠崎、鈴、副会長は一度地上へ出て学校の食堂へ向かうことにした。

いくら休日とはいえ部活で青波に来ている生徒は少なくない。その為ここの食堂は土曜に限り昼の3時までは営業しているのだ。

エレベーターを出、生徒会棟を後にして食堂までの道を歩きながら俺は先程負傷した腰をさすってついで大きく伸びをする。


「あ~・・・快適だったけどやっぱり外のが開放感あっていいな~」

「バスから降りた時もそんな事言ってなかった・・・?」


なんて言われてもバスといい、あんな閉鎖空間に閉じ込められていたら体が固まってしまうし何より息が詰まる。つまり逆を言えばそこから開放されればその分気分の爽快ぶりも凄まじいものだ。例えるならサウナか?あれも長い時間留まってから部屋を出ると風呂場にも関わらずものすごく涼しくなれるな。そんな気分味わいたいならプールに入った方が早い気もするのだが。

そうこうしながら食堂へと着くといくつかの席を繋げて全員が座れるだけのテーブルを作り、俺と響真、連雀は席で待機し皆を先に購買へ行かせる。


「そういえばマスターは普段朝ごはんはどうしてるのですか??」

「朝ごはん?」


テーブルを繋ぎ終え、椅子を引いて座ろうとしていた俺に対し既に着席済みだった連雀が隣で俺を見上げながら唐突に質問を浴びせた。

俺の朝ごはん?そんなものは――


「俺は普段鮎奈が用意してくれてるのを食べているが・・・」

「あ・・・やっぱりご自分では作らないのですね」


やっぱりてなんだ、オイ。確かに得意ではないが普通に料理することくらいはできるぞ。

そんな反論が滲みでた俺の目にハッとしたかのように連雀は慌てて立ち上がる。


「あ・・・!いえ、別に他意はないですよ・・!?ただ――」

「?ただ・・・?」


フッと表情を懐かしむように染めて連雀は続けた。


「ただ・・・・・・裕雪様も余り料理する方ではなく、普段から私が用意してましたので・・・・マスターはどうだったのかなって・・・」

「え・・・あ・・・あぁ、そ、そうか・・・」


どこか遠い記憶を想起していて彼女自身も遠い目しているが、それは決して嫌悪しているものではなくむしろ大切な思い出を撫でているようだ。

藍川裕雪・・・・・俺が、この戦いに巻き込まれている因果の原因とも言える存在だったか。会ったこともない相手であるものの辛辣にいえば俺にとっては元凶の他ならない。

もし裕雪さえ居なければ・・・

もし彼が神器に契約などしなければ・・・

偶然ではない。必然的に俺は今までの全ての理不尽と出会わなくで済んだのだ。

しかしそう思ってしまうと裕雪を慕っている・・・いや、愛していると言っても差し支えない、そんな連雀を傷つけてしまうのが目に見えているので口に出すことはないし、またなるべく考えないようにしてきた。だからそれを知らない彼女が裕雪の話を振ってきても何ら不思議ではない。勿論、俺としては反応に困る訳だが。


「・・・・・」


それまで黙っていた響真だったが単に話についていけてないかと思いきや彼は俺をジッと凝視しており、行き場の無い視線を泳がせていてようやくそれに気付く。


「・・・・なんだ?」

「・・・いや、なんでも」


こういう時の「なんでもない」というのは嘘がお約束だろう。最も問い詰めた所で素直に吐く程の豆腐メンタルでもないしこちらとしても無理に問いたいわけじゃない。

と、次に向けた視線の先・・・食堂を通過している“見知った存在”が俺の視界に止まった。


#27 前編 完



《#27 量子兵器VS量子神器 中編》


こんばんはー!主のもっちです(・∀・)ノ


願いつつも来ないと予想してた感想項目でしたが、ついに念願(?)が達成されまして主のテンションがおかしくなっております。

またついでアクセス件数ですが最近1500行ったなー、とか思いきやあっという間に2000寸前でした(°д°)

内容はともかく読んでいただく皆様には本当頭が上がりません・・・。

これからも頑張っていきたいと思います!(´∀`)



下手すると明日中に1話出来上がるかも、です。

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