表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の1ページ  作者: もっち
本編
28/82

《可能性》

《#16 可能性》



「行くぞっ!」


左手にヴァリアブルシールドに搭載されたエネルギーソード、右手にはASレーザーライフルを構えた俺は全ての推進器を一斉に吹かせて狙いである守次へ急速接近していく。もちろんそれをカカシのように黙って見ている筈もなく守次は片手に握らせていたレーザーライフルを両手持ちに構えて照準を白桜に合わせて放つ・・・がやはりというべきか、恐らく戦闘慣れしていないであろう彼の射撃は2回しか戦闘を経験していない俺でも弾道の予測が可能なほどで放たれた熱線はこちらの進路を阻む戦果は成し得ていない。

確信は余裕へと切り替わる。

レーダーに映しだされた上空から迫っているサートの神器へ気を回して機体を前進させながら回転させASライフルを空へと向けた。


「ほぅ、戦闘の勘は中々のようですねぇ」


銃口が敵に重なったと同時にトリガーを引いたつもりだが射線に入ったことを即座に理解していたサートはスピードを故意に落としてその熱線を難なくかわし、それだけでなく高度も落として俺の背後へと周りこんでくる。


「んな事ぁどうでもいい!いつまで遊んでいるつもりだサート!」

「まぁ、そう怒らないでくださいよ」


牽制と思われる2、3発のライフルによって守次と俺の進路を妨害すると彼は自身の神器のスピードを一気に上げて空いた進路へ介入して迎え撃つように更にレーザーを放った。

放置すれば面と向かって戦うようなリスクは抑えられると思ったがやはりそんな単純な思考が通用する相手ではなかったか・・・。

脚部スラスターを前面に向けて機体を減速させ、次にバックユニットを操作して上空へと逃れようとするが速度がありすぎたのか、はたまた相手の技量によるものか回避行動が若干遅れて白桜のテールブースターの先端がレーザーによって多少溶解している。

どうやらこいつを何とかしなければ守次を肉薄することは難しいようだ。だが拮抗、接戦、いずれにしても当初とは異なり確かな勝利の可能性が見えているのも確かだ。本当の意味でやれない敵ではない。

・・・・・とは言うものの相手は今だ2丁のライフルしか使用していないし、戦闘スタイルも定かではないこの状況では実力というものは把握できない。勝利を急いで迂闊に接近するのも考えものだな・・・・まぁ、こちらもソードとライフルしか見せていないのだから条件はそんなに変わらない。


(いや、だが逆に・・・双方の手札が分からない今だからこそ―)


仕掛けるべきか?

そう考えを巡らせた刹那、白桜から自分がロックされていることを知らされて我に返るがサートは何の挙動も見せておらず、後方で待機している守次もまた何のアクションも起こしていない・・・・・・・何かのバグか?


「残念ですが違いますよぉ」

「っ!?」


読まれた!?

嫌な予感がしてすぐさま機体を離脱させようとするが次の瞬間、背後からの衝撃でそれは叶わなかった。


「なにっ!?」


初めて体感する直撃の振動に揺さぶられながらライフルを構えて後ろへ振り返ってみるもののそこには誰もおらず、砕けたテールブースターが瓦解して落ちていく光景しか映らない。

増援ではない・・・狙撃?それとも別の何か・・・なのか?


『全方位より多数ロックを確認』

「なんで!?」


今度はキチンと警告を耳に入れてエネルギーシールドを展開していたので直撃することはなく、周囲に目を配ったその視界に小さな・・・と言ってもPCのキーボードほどの大きさの物体が先端の黒い穴をこちらへ向けていたことに気付いた。

それは俺の察知に気付くと直ぐさま移動を開始しており、よく目をこらすといくつもが周囲を漂っている。

そして一定の距離を移動して再び先端を向けて・・・内部から熱線を吐き出す。


「これは・・・!遠隔操作武できる武器か!」


アニメやゲームでよく目にする自立型兵器。

現実で体感できるとは思いもよらないが今はそんなことで悦に浸れる状況ではない。

数など分かる訳もないし、俺にとっては初めて相手にする種類の武器。思考よりも本能的にマズイと判断してすぐにその場から離れるがその自立兵器は餌に群がる魚を思わせるように背後から一直線に迫ってきており今もなお断続的に熱線を放っている。テールブースターを破壊された白桜では振り切ることは難しいと言える。

迎撃できるかは疑問だがこのままでは張り付かれて一方的に嬲られる未来しか見えない。

なるべく狙いを絞らせないようとにかく動く、そして予測されないように上下左右ランダムに行動する。いくら神器の速度が速いといっても相手も同じ土俵に立っていることを考えると同じ方向へ移動し続けるのは止まっていると思われても仕方ないからだ。

そうして回避行動を取りながら捉えられる自立兵器に対してASライフルを放つが相手兵器の動きが俊敏すぎて掠らせることすら不可能だった。


「くっ!」


どうにかしてこの兵器を凌がないと・・・!


今は何とか直撃は避けられている。しかし逆を言えば現状ではそれを維持するので精一杯だということであり、もしもこれ以上敵が攻撃手段を増やせば一気に流れが傾いてしまうだろう。そうなる前に・・・敵がこの状況に満足している間になんとしても攻勢の一手を刻む。そしてその一手が・・・逆転の可能性が、このASライフルにはあった。

手元のレバーが取り付けられている端末からASライフルに関するデータパネルを呼び出し、そこに表示されている「デストロイモード」のタッチボタンを素早く押す。


「ん?」


サートは自身の敷いた自立兵器の網の中をギリギリで避け続ける俺と俺の持つ武装の変化に気付き、その思考が「強化された状態」へ到達するまでおよそ5秒ほど。

その猶予だけで十分だった。ASライフルはその体を拡張させ、内部構造を露にする。

すでに狙いはおおよそつけてあった為、俺はロックしたビットがサートの姿と重なると同時にその引き金を引くと最初に使用した時と同じように通常時とは比べ物にならない程のレーザー熱線が発射されていった。

デストロイモードから撃ち出されたレーザーは後ろにかき消した自立兵器の残骸を軌跡に残して真っ直ぐにサートへ直進していくもののやはり本人が戦い慣れしているのか、距離が離れ過ぎたのかアッサリとそれを避けてお返しとばかりに両手のライフルを構える。


「それは・・・!」


初めて撃った時もそうだったが一撃目はやはり当たらないものだ。

ならその一撃は相手に回避を強要して回避行動に意識を集中させる為に使って――


「予測できた!」


包囲網を突破する!

どうやら予想した通り、敵はこの火力に多少なりとも動揺したようで回避に専念したのか周囲を漂うビットの動きが目に見えて鈍重になっている。

間違いなく、今がチャンスそのものだった。

ここぞとばかりに左手のエネルギーソードを振るう俺は次々に自立兵器を破壊していき、残り数が4つほどになったところで・・・ロックが消えた。


「え・・・?」


目の前にある筈の自立兵器が・・・姿はハッキリ見えるにも関わらず、認識できなくなったのだ。

どうしてこんなことが?

これではロックによるレーダーのサポートも使用できない上にロックをかけられても気付けないということにつながる。

まさか何かしらの能力が・・・?

それと同時に俺のレーダーに、こことは別方向からの接近を知らせる通信が入ってそちらに意識を割かれてしまった。


「後ろ、がら空きですよぉ」


その一瞬を見逃さず、いつの間に上を取っていたのかサートは呆ける俺の背中を蹴り飛ばして屋上の駐車スペースへ叩きつける。

下敷きとなった小型車が盛大な音を立てて中折れしていくが、そのお陰でコンクリートへの直下は防げたようだ。ついで・・・今白桜はアラートを鳴らさなかった、つまり先ほどロックが外れたのは間違いなくコイツ・・・サートの仕業であることも伺える。ちょっと高い授業料だがな。

妙に冷静だということを自覚しつつ俺は上空でたたずむサートと少し離れた位置にいる守次を交互に見てニヤリと笑った。


「どうした“末裔”?

1対2とはいえ、まさかもうリタイアか?」


劣勢な俺を煽りたいのか守次はあえて「末裔」という部分を強調するがあまり気にならず、そのまま笑みを崩さずに喋った守次のほうへ顔を向ける。


「・・・・・・・なんだその表情は」

「いや・・・ひとつ教えておこうと思ってな」


挑発に乗らないこちらへあからさまに不満な表情を浮かべているが今この状況において訂正しなければならない点が1つある。


「教える?

ふ、何を?」

「残念だが1対2じゃない・・・・」


言い終わるや否やまるで狙っていましたと言わんばかりに飛来した極太レーザーが俺と守次達との間を通りぬけながらそこに残っていた自立兵器を残さず飲み込んでいった。


「・・・・・・・・・・・2対2だな」



#16 完



《#17 2on2》




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ