応援
絢とホノニギはともに荒野を歩いていた。二人はモサク一族の遺跡を目指していた。
「早くいかないといけませんねぇ。武くん大丈夫でしょうか……」
「大丈夫です……武くんならきっと……」
二人は真剣な面持ちで歩いていく。
「くふぅ~……。それにしても長いですねぇ。というかまたこの道をたどっていくとは思っていませんでしたよ。足ががくがくしてますよ」
「確かに疲れますねぇ」
「自転車とかあったらいいんですけどねぇ」
「こんな時代に自転車なんてありませんよ……」
とかなんとか言いながら二人は歩いていた。なかなか遺跡にはたどり着かない。
「ホノニギさんは、……この戦いが終わったら元の時代に戻るんですか」
「そうですねぇ。……もうこのことが終わったら、僕も戻ったほうがいいでしょうねぇ。ヤマタクレイに乗せてもらって帰ろうと思います」
「……『終わる』ってどういうことなんでしょうねぇ」絢はきく。
「えっ……」
「終わるとは、どういう定義で終わるということなんでしょうか。……相手を倒したら終わりということでしょうか」
「終わったとしても……それですべてがおしまいになるとは思えませんねぇ。終わった後も僕たちは生きていくんですから。……それに僕たちは元の時代に戻るんです。……そういう意味では終わりではなくて『始まり』なのかもしれませんぇ」
「始まりですか……」
「終わり……始まるんです。これからも続くんです」
「そうですか……。また始まるんですか」絢はうんうんとうなずく。
「この時代から離れるのは正直寂しいですけど……でも、私たちには元の時代がありますからねぇ。その時代を生きていかなくちゃいけませんねぇ。こんな長い間別のところに居たらおうちの人に怒られちゃいますしねぇ。うちにはおうちの人いないですけど……」
「そうです……僕たちは元の時代で生きていかなくてはいけません」
二人は荒野を歩いていく。