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クレイ=大地の傀儡=  作者: カッパ永久寺
三日目 死線
34/75

三度目

 ところ変わって、時代も変わって、

 現代、小売山(こうりやま)高校の職員室。

 そこに眼鏡をかけた女生徒がいた。

「先生、学級日誌です」女生徒の久那(くな)が言った。

「おう、ありがとうな乙女山」担任の教師が言った。

「そういえば……お前、藤ノ木の家の近くに住んでるんだよな」

「はい」

「……藤ノ木はまだ帰ってないのか」

「はい……、まだ帰ってません」

「そうか……」教師は落胆していた。

「そういえば……昨日は流山と姫野も休んでたんだな。……お前と藤ノ木と流山と姫野と、よくつるんでるが、お前、3人のことでなにか聞いてないか?」

「さぁ……聞いてませんねぇ」

「そうか……、藤ノ木と姫野は……まぁ、あれだから置いとくとして……、流山もかねぇ……。それで乙女山が残ってると……。まさかまた何かしでかしてんのかねぇ、姫野のやつ」

「はぁ」

「大方流山はそれに巻き込まれてるとかかねぇ。まぁ、あくまで推測だが。本当にお前何も知らないんだな」

「はい……、私も何も聞いてません」

「そうか……」


 武と絢が休んでいた。

 というより、いなくなっていた。

 絢が突然いなくなることはよくあることだが、今回は武もいない。

 ……まぁ、絢に巻き込まれて武もいなくなったこともあったけど。

 

 久那は帰路を歩いている。

 茜色の夕焼けを、山が浴びている。

 空でカラスが鳴いていたり、虫が鳴いていたりしている。道の端には田んぼがずらりと並んでいる。田んぼには一面に透明の水が満たされている。今、その水面は茜色の空を鏡面のように映していた。

 この町では最近、こんな(うわさ)が立っている。

 ……箸墓古墳が、夜中に光りだすという。

 箸墓古墳は、最近巨大土人形が出土して話題となったところだ。

 そこが夜中に光りだすという噂がある。

 しかもその噂は、巨大土人形が出土した後から広まったもので、『土人形様のタタリ』とか言われてたりする。

 祟り、神隠し。そんなものがこんな時代にあるのだろうか。


 夜。

 久那は布団から起きる。

 時刻は0時前。枕元にあった眼鏡をかけ、そのままの姿で部屋を出て、泥棒のごとく抜き足差し足で家を出る。

 そして玄関を出て、一人夜の道を歩いていく。


「ここね……」

 久那は木々に覆われた古墳を見る。そして辺りを見回してからその中へと入っていく。

「ホント私って何やってるんだろうね……」久那が自嘲気味に言った。

 そして、木々の中をぐんぐん進んでいくと、

 正面に大きな土の人形が見えた。

「絢はこれを見に来たのかしらね」

 武人の埴輪のような不思議な人形。しかも大きい。しかも作り物でなく本物。

 しばらくその人形を眺めていると――

 ピカアアアアアン!

「⁉」

 久那は、白い光に包まれた。


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