玉虫色の解決
何もない荒野。砂漠。
そこに土の人形『ヤマツミクレイ』が立っていた。
「ふぅ……苦しい戦いだったなぁ」と、ヤマツミは独り言を言った。
そもそもヤマツミクレイにとって実践は初めてのものであった。いつも妹のツクヨミが操るリングクレイで練習、もしくは弟のワタツミと練習するくらいだった。
父上のイザナギとは練習はしない。
あの日以来、父上とは練習していない……。
そう、あの日以来、ずっと……。
「ん? あれは……」
遠くの方を見てみると、そこにはクレイが一体見えた。
大きな長い矛を持ったクレイ。
そのクレイは荒野の真ん中でじっと立っていた。
「父上!」
ヤマツミはそう言って、そしてそのクレイの元へと走っていく。
あのクレイは父上の乗るクレイ、『イザナギクレイ』だ。
大きな鎧と、大きな兜をかぶった武人のクレイ。その大きさはヤマタクレイの1.2倍ほどの大きさだった。
「父上、ただ今戻りました」
「そうか……」『父上』のイザナギが重い声で言った。
「それで……ヤマタクレイは倒したのか……」
「ヤマタクレイですか……すいません、また駄目でした……やはりカグヅチの力が強くて……」
「カグヅチの力か……」イザナギは言った。
「どうしてお前は負けた」
「え?」
「どうしてお前は負けたんだ」
「ま、負けたって、父上……」
「どうして負けた! どうして殺さない! 殺そうとしないんだ! 滅ぼさないんだ! どうして……どうして……」
「ち、父上……」ヤマツミはイザナギに寄る。
イザナギクレイは顔を俯かせていた。
「殺す気がないなら――――」
その顔は――鬼の形相だった。
そして、その鬼は告げる――
「お前が死ね」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。
それから、どれほど経ったか。
そこには一体のクレイが仰向けに倒れていた。
そのクレイは空を見上げ、天を見上げ。
遠くの世界を眺めながら、遠くの未来を眺めながら。
そのクレイには数多もの傷がついており、そのクレイには真ん中にぽっかりと穴が開いていて。
そして背中から車のオイル漏れのようにぽたぽたと赤い液体が流れていた。
彼は殺された。
狂った父親に、傷つけられて。
狂った父親に、洗脳されて。
そして殺された。
あまりにも最悪な結末。
山仁くんは――死んだ。




