に 3日寝た
よろしくお願いします。5話で完結です。
アンナは手近な客間にリリシアーナを入れ寝かせた後、急ぎフェンディル候爵と会わねばならなかった。
遅れて付いてきていた護衛2人にリリシアーナを守らせると、アンナ直参のメイド2人に交代でリリシアーナの世話をするよう手配。
アンナ自身はリリシアーナの父である候爵に面会するため、候爵と今後の打ち合わせをするために一旦リリシアーナの側を離れた。
ぐっすり眠り、少し起きては病人食を食べ、また寝てを繰り返し、リリシアーナは3日間過ごした。
その間、王宮はてんやわんやだった。
本来は王太子と王太子妃の結婚の前祝いの会場だった。なのに、王太子は他の令嬢との結婚を宣言したのだから。
慌てたのは執政官達だ。
宰相、大臣、文官達は真っ青になっていた。王妃もその一人だった。
宰相や大臣、文官達はリリシアーナの担当している膨大な執務量を知っていた。
リリシアーナに無茶を言うグリオン王太子に苦言を呈していた。
「王太子妃様はすべき執務をきちんとなさっています」と。
グリオンは「仕事とは何たるか」を勘違いをしたまま育った。
隣国王女だった王妃は文官の作った出来上がった書類に押印するだけが仕事だった。幼い息子グリオンに「お母様のお仕事は?」と聞かれ「私の仕事は押印するのみだから簡単なの」と答えた。
大臣たちがグリオンに、「確かに文官は書類作成をしてくれるが、案を出し論議し意見をまとめてきちんとした文書の草案は上の者がするのです」と諭したつもりが。
夢想の「あったらいいな、出来たらいいな」のレベルの草案をグリオンは出し続けた。結果、簡単な押印のみに仕上げた書類だけがグリオンの仕事になった。
リリシアーナの退場した会場で、グリオン王太子はさらなる爆弾発言をした。
「わが王国は安泰であることを皆に報告したい。既にシスティーナの腹には次代の子が育っている。王子か王女だ。私は我が子のためにもこの国をしっかりと治めていく所存だ。皆も応援してくれ!」
会場はまた静まり、次第にパラパラと拍手とお祝いの言葉が挙げられた。
会場のあちこちで、王太子妃がいながら、他の令嬢と?と言う声も囁かれていた。
何しろ、リリシアーナ候爵令嬢は婚約者時代から王城に通い詰めていた。
王太后の崩御のために先帝からの王太子への譲位とグリオンとリリシアーナの結婚式は延期された。しかし、「結婚式延期のため、リリシアーナ・フェンディル候爵令嬢に王太子妃の地位を授ける。リリシアーナ王太子妃は王族の公務を勤める」との公布か先帝より出されていた。
王太子と婚姻していないのに「王太子妃」という、異例の公布であった。
半年前から「王太子妃」の地位にリリシアーナは就いていた。
半年前、王太子とリリシアーナの結婚式の10日前に王太后が崩御。
さらに一ヶ月前に先帝が突然崩御した。
城で働く者たちは知っていた。
隣国王女の王妃は王妃の執務を王太后に丸投げ。押印するのみの仕事しかしていない事。
王太后は王太后の執務と王妃の執務を。
先帝は王の執務。
リリシアーナは王太子の婚約者としての仕事と王太子の執務。そして王の執務と王太后の執務の補佐。
王妃と王太子はほぼ印を押すだけの簡単な仕事をしていた。(国政にまつわる重要な案件はゼロ)
王太后が崩御し、王とリリシアーナが執務を手分けしてこなしていた。そのための王太子妃の位の授与であった。
その後、膨大な量の執務をしていた陛下が倒れ、崩御。
全てがリリシアーナにのしかかった。
重要案件を最優先にこなす日々。
結果、王太子妃の執務はたまる一方。
目出度く、今回王太子妃の執務放棄による婚約解消となった。
リリシアーナは数ヶ月ぶりの安眠を堪能した。グーグースースー、グーグースピースピー。
3日寝たあと、アンナとメイド、護衛と共に、夜間ひっそりと王城を出ていった。
「王太子妃ではなくなったので、もう仕事は持ってこないでください。帰宅します」と客間に書き置きを残して。
つたないお話し、お読み頂きありがとうございます。




