いち 婚約破棄会場にて
よろしくお願いします!
「お集まりの皆様、残念なお知らせをせねばなりません。サナルラディア王国王太子グリオン・サナルラディアは婚約者リリシアーナ・フェンディル候爵令嬢との婚約を破棄いたします!
リリシアーナ・フェンディル候爵令嬢はわが父である先帝の死後より、王太子妃の仕事を拒絶するようになりました。由々しき事態です。私の祖母である王太后の死後より王太子妃の仕事は滞りがちであり、何度も叱責しましたが、改善しませんでした。父の死後は自身の仕事を全くしないようになった。誠に遺憾であります。
致し方なく、婚約を破棄し、新たな婚約者として、こちらのシスティーナ・ロックフォード伯爵令嬢が王太子妃となります!システィーナ・ロックフォード伯爵令嬢は既に先月から王太子妃の仕事を引き継ぎ、立派にこなしております。次期国王の伴侶として、私を支えるにふさわしい王太子妃となるでしょう。」
グリオン王太子の宣言に会場はざわめきつつ、次第にパラパラと拍手が起こった。拍手は大きくなり、祝福の声が上がった。
「グリオン王太子様、システィーナ伯爵令嬢様、おめでとうございます!」
「次代の国王、王妃様に祝福あれ!」
会場の熱気が高まっていく。
壇上には王太子グリオンとシスティーナ伯爵令嬢が満面の笑みで会場の貴族たちにキラキラした瞳を向けていた。
一応、壇上の端にいた婚約解消されたリリシアーナ。薄い金色の髪はパサパサ。緑の目は虚ろ。げっそりと痩せ、ぼんやりした生気のない顔でそれらを見ていた。そして、壇上を降りて会場から静かに出ていった。
リリシアーナ付きの侍女アンナはその後を追った。
アンナは廊下でフラフラして倒れそうなリリシアーナを見つけ、駆け寄った。
「リリシアーナ様!」
アンナがふらつくリリシアーナを支えると、リリシアーナは微笑んだ。
「アンナ、ありがとう。部屋へ連れて行って。あー、王太子妃の部屋、私はまだ使えるのかしら?客間でも、どこでもいいから、寝させて。やっと、寝れる、、、。もう、仕事しなくていいのね、、、。」
「はい、リリシアーナ様はもう王太子妃ではなくなりました。存分に寝てください。」アンナ。
「嬉しい、、、」リリシアーナがか弱い声で呟いた。
ヨロヨロのリリシアーナをアンナが支えて歩く。
「さ、客室です。安心してお眠り下さい」アンナ。
後を追ってきたリリシアーナの護衛が客室の前に立った。
客室に入るとアンナがリリシアーナのドレスを緩め、脱がしていく。
「ねー、アンナ。あのご令嬢がしたって言う王太子妃の仕事って、もしかしてー?」
リリシアーナがまわらない頭でアンナに聞いた。目は半分以上閉じられている。
「慰問と視察でしょうね。歓待を受けるだけの慰問。行くと連絡してからの堂々の視察。そして歓待パーティー。報告書も上げない、ただの各地歓待受け旅行です!」アンナ。
「やっぱりー。何しに来たんだって、苦情来てたあれかー」リリシアーナ。
「そうです!王太子も付いてきて、護衛ゾロゾロの迷惑慰問と忙しいのに手間かけさせやがって視察です。」アンナ。
「はは、、いいネーミングだー。うまいねーアンナ、今回のめちゃくちゃになったパーティーの謝罪を手紙にして各貴族家に送って、王太子妃交代の知らせも公布しなくちゃー」リリシアーナ。
「お嬢様、もう何もしなくていいんですよ。お嬢様の王太子妃役は終わりました。はい、コルセット外しました。ベッドにお入り下さい。護衛が守りますから、安心してお眠り下さい」アンナ。
スースースースー
リリシアーナの寝息を確認し、アンナは寝室を出た。
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