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91. 青い炎と薫の恐怖

第二部 "呪われ姫と風狼の王" 、開始です。再び薫視点です。

 (テノヒラ)が青く光る。


 水色にほんの少し紫が混ざったような色。

 勿忘草(ワスレナグサ)みたいな……孤独とか、寂しさ、そしてどこかに、ほんの少し何かの恨みを含んだような、そんな色だなと思った。


 私が驚いて自分の掌を見つめていると、そこからぼうっと青い炎が浮かび上がった。


 ふと視線を上げると、目の前には(アキラ)がいる。


「薫」


 やわらかい笑顔で名前を呼ばれた。私の大好きな、澄んだ音楽みたいな玲の声が胸に響く。



(だめだ。)



 どうしてか、私が思ったことは真逆のことだった。

 大好きだと思ってるのに、何が駄目なのと自問する。


 すると、優しく微笑んでいた玲は、ショックを受けたみたいに目を見開き、私を見つめた。

 なぜって、私が腕を高く掲げてボールをぶつけるみたいに、掌に浮かんでいた青い炎を玲に向けて飛ばしたから。



(やめて。)



 彼の胸に大きな炎がぶつかって、藍色の着物が裂ける。

 目の前で声もなく崩れる玲を、私は呆然と見つめていた。



     ◇



「いやっ……!」


 私は飛び起きた。


 これで同じ夢を見るのは三日目だった。

 以前、北の森で風狼(カゼオオカミ)にやられた傷がじくりと痛んだ。


「……なんでこんな夢……?」


 私は動悸がおさまらないまま、腕を押さえて布団に前屈みに倒れ込む。

 腕の痛みはおさまっていた。

 でも。


 あんなこと、絶対にしたくないし、やってはいけないことなのに?


 私は、自分の心が何かに浸食されるような、闇が迫るみたいな恐ろしさを感じていた。


読んでいただき、ありがとうございます!


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