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87. 流れ星を探そう 4 ーなつかしさの理由ー

日本に残っている薫の兄・郁視点のパート4です。

 神崎玲(カンザキアキラ)と出会ってから、僕の妹である薫は毎日、玲と一緒に通学していた。


 僕は時々通学路で見かける二人の楽しそうな感じや、玲の神秘的とも言える不思議な雰囲気……ただかっこいいとかではなく、何かほんの五ミリくらい現実から浮いてるとでも言うのだろうか。それはカンとしか言いようがなく、何か不思議な魅力のようなものとして、僕の目にすら映っていた。


 そして、二人がお互いにどんどん惹かれていっていることは、端から見ている僕の目にも明らかだった。


 不思議な雰囲気の玲。

 そして、日髙の家から召喚される運命の子供。

 でも、僕は何があっても薫の味方だから絶対に見守る。



 そう、僕は決意していた。



 季節は初夏になろうとしていて、五月初めの夕方だった。その日、薫も両親も、まだ家に戻ってきていなかった。

 僕はそっと両親の寝室に入り、クロゼットを開けた。


 薫は小さな頃から身体が丈夫だったけど、僕は子供の頃は少し弱くて、熱を出すことが薫より多かった。 あるとき、薫は幼稚園に行って、僕は家で寝ていた。喉がかわいてお母さんを探していたら、両親の寝室で、お母さんはクロゼットを開けて、何かを眺めてた。


「……おかあさん……」


「郁、起きた? 具合は?」


 お母さんの手が頬に触れる。僕は熱があった分、その手は少し冷たくて気持ちよかった。


「まだちょっとお熱あるね。お水飲む?」


 うん、と頷いて、僕は聞いた。


「何見てたの?」


「これ? お父さんとお母さんが高校生の時の写真よ。バンドってわかるかな~音楽やってたときがあるの」


「…………」


 僕はその古い写真をじっと見た。めっちゃ若いお父さんとお母さんの隣に、にやっと笑った感じの男の人も写っていた。


「このひと、だれ?」


「……これはね、龍樹」


「りゅーじゅ?」


「お父さんとお母さんの大の仲良し。外国に行っちゃってもう会えないんだ……」


 お母さんは悲しそうだった。そうなんだ。と僕は思って、それ以上聞くのをやめた。


「なつかしくって見てたんだ。じゃあ、冷たいお水がいいかな? ジュースがいいかな?」


 写真をクロゼットにしまって、にっこり笑うお母さんに、ぼくは「じゅーす!」と言った。



 そんな想い出を、あいつ、玲の顔をみた時から、徐々に思い出していた。

  初対面からしばらく経ったその日、こっそりクロゼットをあけて見て、やっぱりと思った。

 僕は記憶力がいい。

 

 玲に最初に会ったときに感じた既視感はこれだった。


 玲は、母さんたちの友達の龍樹さんって人に、そっくりだったんだ。




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