#69 熱海旅行~温泉旅館編
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#69 熱海旅行~温泉旅館編
5月。今年もゴールデンウィークの時期がやってきた。
山村と僕、姉と友梨亜おばさんの4人は
熱海まで行き、日帰り温泉を楽しむことに。
昼間に海鮮丼を食べたあと、なかなか良さそうな日帰り旅館を見つける。
そこの温泉にさっそく入ろうとしたところ、この旅館に泊まるという
美歩たち3姉妹+水野さんと偶然出会ったのであった。
受付を済ませ、男湯と女湯に分かれる。
「...あっ、山村と翔はあっちだからね!!」
姉が振り向いて言う。いや、分かってるわ!!
すると瑠香姉が続ける。
「何何何ー?お姉ちゃんたちと一緒がいいー?」
だっ、誰もそんなこと言ってねえし!!勝手なこと言うなよ瑠香姉ーー!!!
「...さ、早く僕たちも入ろう。」
いろいろ言われても意外とノーリアクションな山村であった。
---山村と2人。
露天風呂に行くと、ゆったりとしてとても気持ちのいいお湯だった。
そして時間がまだ早かったのか他のお客さんはほとんどいない。
「へえ、思ったよりもゆっくりできそうだねえ...」
足を伸ばし、全身がお湯に包まれる。
「しかし、なんだね...その...」
珍しく山村の言葉が詰まる。
なんとなく言いたいことを察した僕は、代わりに返事してあげた。
「そうだよな...1年以上一緒に過ごしてきたのに
こうしてゆっくり話すのってなかなかなかったし...」
空を見上げる。
星が段々輝きを増してきていた。
「僕は山村と出会えてよかった。おかげでこの1年
楽しく過ごすことができた...」
すると山村が喜んで
僕に何も言わずに手を伸ばす。
「ありがとう、友...!僕も、君に出会えてよかった...
これからもよろしくね、友...!!」
お湯の中、強く握った手と身体中の温かさがとても心地よかった。
一方、姉たちのところでは...
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バシャバシャバシャ...
「あはは、すっごく気持ちいいっすわ!!」
「本当本当!癒されるー!」
姉と瑠香姉を中心に、賑やかで楽しそうな温泉旅館になっているのであった。
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「あー、楽しかったー!」
「...楽しかった?」
合流し、旅館の大広間へと向かう途中。
追加料金で、宿で出すのと同じ料理を食べられるらしい。
「けれどまさか翔くんのお姉さんと一緒に温泉入れるなんて
夢にも思っていなかったです...」
水野さんは色んな意味でのぼせている。
するとそれを見た美歩がペットボトルの水を顔に近づける。
「うい、水。」
「あ、ありがと...」
本当、幼なじみって感じだ。
まじまじと水野さんの横顔を見てしまったせいで顔が赤くなる僕。
「あれっ。翔ものぼせてるんっすか?佳穂姉のでよければあげるっすよ。」
「ちょっと美歩ー!!」
ちゃんと後ろで聞いていたらしく、すぐにペットボトルは佳穂姉に回収された。
「ご、ごめんね、翔くん!あとでちゃんとおごってあげるから...!」
なんだかんだ歩いているうちに大広間へとたどり着くのであった。
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キラキラキラ...
そんな効果音と共に目の前には豪華な懐石料理が運ばれてくる。
刺身や天ぷらなど、どれもおいしそうなものばかりであった。
「うわぁ!とっても美味しそう、いただきます!」
ここでも食にがめつい姉。しかし...
「あれー、どれから食べよう...おいしそうすぎる...」
こんなときもやっぱり優柔不断なのであった。
「ああーっ、やっぱり風呂上がりのビールは最高っすねぇ...!」
瑠香姉は既に楽しんでいる。
そして危うく友梨亜おばまでビールを飲もうとしていたのだが、
山村が気づいてそれを止める。
「ああ、ごめんごめん。今日は泊まりじゃなかったっけね。」
すると僕は思わずこう呟いてしまう。
「いや、このまま泊まりでもいいけどな...」
「ええっ?!」
...ということで旅館の人にかなり無理言って、
空いている部屋を借りることに成功した。
※通常は予約してから泊まりましょう。
「いやあ、通常料金の2倍取られちゃった...」
2倍の値段でなら泊めてくれるんだ...
ゴールデンウィークだったけど部屋が空いていたのが幸運だったのかもな。
ということで美歩たちと一緒に一晩過ごせるようになった僕たち。
部屋は美歩たちの部屋と合わせても2部屋しかなかったので、
僕と山村は水野さんと美歩の部屋に、それ以外の姉たちは
もう一つの部屋にそれぞれ泊まることになった。
って、なぜこの組み合わせになった?!!
部屋に向かうと、既に布団の用意がしてあった。
「なんだか楽しくなってきたねえ、友?」
山村のテンションが上がっている。
「ごめん、急に予定変更して...」
って言っても幸佳たちは明日もいないのか。
「いやいや、こんな偶然なかなかないしねぇ。一緒に楽しませてもらうよ。」
「相変わらずっすねー。」
そしてふと思い出したかのように呟く。
「そういえばこの4人で集まるのっていつぶりっすかね?」
布団に転がってそう話す美歩。
確かに僕たちはいつも一緒にいるイメージだが、
4人だけというのは意外となかったか...?
「そうね、なんだかこのメンバーだけだと不思議な感じ、です...」
水野さんも布団に転がる。
すると美歩が突然起き上がってバッグからトランプを取り出す。
「ほら、泊まりと言えばこれじゃないっすか?
まだまだ夜もこれからだし、みんなでやるっすよ。」
「いいねえ、美歩!」
こうして僕たちは夜遅くまでトランプをしたり
みんなで会話したりして楽しんだ。
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翌日。
僕が目を覚ますと、水野さんだけが先に起きていた。
「お...おはようございます翔くん...」
水野さんもさっき起きたばかりなのか、顔を洗いに洗面台に行った帰りだった。
そんな水野さんといきなり目が合ってしまったので、一瞬で目が覚めた僕。
「お、おはよう...水野さん...」
「そんなに照れなくてもいいんですよ...!」
ふふふ、と笑っている水野さん。
こんな複雑な気持ちははじめてだ...。
「お姉さんたちはまだ起きていないみたいですよ。
なので私は少し外に散歩でも...」
「い、一緒に行ってもいい、かな...?」
えっ、と驚き恥ずかしがる水野さん。
ちょっと...何を言っているのだ、僕は...
「いいっすねえ、2人で行ってくるといいっすよ。」
いつのまにか起きていた美歩に話を聞かれてしまった。
「僕も賛成。応援しているよ友。頑張ってね☆」
ちゃっかり山村まで話を聞いていたみたい。
みんな起きていたなんて...!!
「ちっ、違ーう!!!!」
恥ずかしくなった僕は、部屋を飛び出てトイレに逃げ込んだのであった...
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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