#92 二度と来ないで...
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#92 二度と来ないで...
9月の後半。
体育祭の日が近づいてきたある日のこと。
暑い日差しの中、校庭ではその本番に向けて準備や練習が行われている。
今年も姉ちゃんや優斗さんが見にくるのだろうか...
教室での授業中、体育祭の練習が行われている校庭をボーっと眺めていた。
すると...
「はい、北海道は何気候?春野。」
地理の先生に指名される僕。
しかしこのときボーっとしていた僕は校庭を眺めたまま...
「...あ、ああ...それは今度聞こうと思って....」
山村に質問された感覚でそう答えてしまう。
その直後、教室のみんなはぶふっと笑いをこらえはじめた。
しまった、今何を...?!
「春野。今は授業中。大喜利大会の時間じゃないだろ!」
そしてワハハ、とこらえていたみんなが笑い出した。
とてつもなく恥ずかしかった。
「ちょっ...!翔、何してんっすか...!あー面白っ」
「わかりますわかります、その気持ち...!」「と、も...面白すぎるよ....!」
ほんとにほんとにやだ....!
あまりの恥ずかしさに、僕は思わず勢いで教室を出て行ってしまった。
「ちょっと。トイレならそう言ってから行きなさい?」
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誰もいない隣の教室の前にある手洗い場。
とりあえずここで顔を洗うことにした。
すると...
「...あれー。何しているですか?授業中じゃないんですかー?」
突如現れたのは隣のクラスのこのは。
...っていや。このはこそ授業中なのになんでここに?!
「あ、僕ですか?僕はね...教室に忘れ物取りにきました!」
一言も喋っていないのにテレパシーのように話が通じるこのは。
さすがだな。
「...そ、そうなんだな...俺は...えっと....」
「...あ!もしかしてクラスのみんなから笑われたのが
恥ずかしかったですか?!」
なぬっ、と図星を指され再び恥ずかしくなる僕。
っていうかなんで知ってるの!!
「やっぱり!...さっきちょうど翔くんのクラスから
大きな笑い声が聞こえて...その直後に翔くんが飛び出してきたから
たぶんそうなのかなーって...」
「おい、だったらいつからそこにいたんだよ...!」
「えー?ちょうど笑い声が聞こえてくる前くらいですかねー?」
なんでだ....
なんでそんなタイミングよくそこにいる!!
「な、なあ...ってことはさすがに俺が何言ってるかまでは聞こえてな...」
「あ、聞いてましたよ。」
ちゅどーん!!
なんでやねん!!
聞いてましたよ、じゃないよ!!
え?え?っていうかまさか扉越しに?
「北海道は何気候だったかを先生に聞かれて...
それは今度聞こうと思ってた...みたいな...!!」
ぐはっ!!
お、俺、そんなこと言っ...た...?!
「いや、悪魔かよ...このは...」
「あ...すみません....ちょっと喋りすぎちゃいましたね...」
そういうことじゃなくて。
...なんて話していると
階段のほうからこのはの友達で同じクラスの岩田くんがやってきた。
「...いた。あまりにも遅いから様子を見てこいって先生に言われた。」
「あ、そうだったですー...」
岩田くん(と先生)のおかげでようやく忘れ物を取りにいくこのは。
ああ...ようやく解放される...
「...それじゃあまた。翔くんも早く
授業に戻ったほうがいいと思いますよ。」
そう言って何の悪気もなく手を振るこのは。
いや、お前が言うな!!
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ガラガラ...
後ろの扉からそっと教室に戻ってきた僕。
すぐに山村や水野さんたちに気づかれた。
「...お帰り...友...」
ノートををとりけながら小声で呟く山村。
そんな山村の横を低い姿勢で通り抜け、自分の席に行こうとしたそのとき...
なんとその席には美里愛が座っていた。
「な...なんでいるんだよ...」
「いいえ。これはあなたのためを想ってです。」
...は?理解が追いつかない。
「ですから、あなたがいない間に進んだ分の、
授業のメモを書いておいてあげたのです。迷惑でしたか?」
いやいやいや、だからって僕の席に座る理由にはならないでしょ!!
...当然この様子を先生に見られていた。
「こらー。授業中に勝手に席移動しないの。」
「いえ。これも委員長としての仕事なので。」
「そうか。なら仕方ない。」
くっそー、こんなところで委員長権限使いやがって...!
っていうか先生も先生でそれ許可するなよ...
...で。俺は一体どうすればいい?
美里愛の隣に座るわけにもいかず、ただただ困惑していた。
仕方ないので美里愛の席に座ることにする。
しかしなんだか悪いことをしているようでどうも落ち着かなかった。
そっと席を立ち、美里愛に自分の席に戻ってもらうよう交渉する。
「な、なあ...もういいだろ...お願いだから席に戻って....」
キーンコーンカーンコーン....
「...んんっ、授業は一旦終わり。...春野と委員長はあとで職員室来るように。」
結局このあとこっぴどく怒られた。。。
(いや、なんで!!)
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放課後。
ようやく家に帰ることができる...
地理の授業から数時間経ったが、山村や幸佳は
その話題を出してこなかったので一緒に帰ることができた。
校門を出て大通りのところで信号待ちをしていた僕たち。すると...
「...あれ。姉ちゃんじゃね...?なんでこんな時間に...」
信号が変わったあと、僕は姉ちゃんのところに向かって話しかける。
「姉ちゃんお帰...」
しかし声に反応し振り向いたその人は、姉とはまったく違う別人なのであった...
「す、すみません、人違いでした...」
不思議そうにその場を去っていく女性。
僕はただ立ちすくむことしかできなかった。
「と...も....ごめん....今のは一体....っ!」
追いかけてきた山村は必死に笑いをこらえながら僕に話しかける。
そして...
「翔って面白いんだな....!」
幸佳のその一言でとてつもなく恥ずかしくなった僕。
2人を置いてそのまま家へと走り去っていった。
ああ...今日という日が二度と来ないでほしい...
走りながらそう思う僕なのであった...
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
気軽に反応を頂けると嬉しいです。
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