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#81 旅行の前に

~おとめtheルル~

20代くらいの青年。

イラスト、アニメ、ゲームが趣味。


文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。

小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。

#81 旅行の前に


7月後半。

終業式も終わり今年も奄美大島に行くため準備を進める中、

姉の元弟子、泰三の最終公演があるとのことで

それを見に行くことになった僕たち。


関西の売れない芸人だったはずの泰三だが、僕たちに会ったあと

観客が何倍にも増え、じわじわと人気を伸ばしているらしい。


そして今日は日曜日。

夏休みに入ったこともあり、街はいつも以上に賑わいを増している。

僕と姉はさっそく例のお笑い劇場に足を運び、チケット売り場を見て驚愕する。


「って、ええ?!こんなに...?!」


およそ1ヶ月前、同じ場所で同じ人が公演していたとは思えないほどの

行列ができていた。


「あれ...場所、間違えたかな...?」


「おい。」


「ごめんごめん、嘘。冗談。」


などと僕たちは覚悟を決めて行列の最後尾に並ぼうとしたところ、


「...あら、あなたは泰三の...!」

そう声をかけてきてくれたのはそう、泰三の奥さんだった。


「ああ、奥さん!!お疲れ様です!!」

そう言って頭を下げる姉、美月。


「...もしかしてあなたたちも最終公演を見にきてくれたの?」


「はい!もちろん!」

...すると奥さんはチケット売り場の裏のほうまで僕たちを連れ出して、


「やだもーう!連絡さえしてくれれば

いつでも見にきてくれてよかったのにー!」

そう言いながら特別席への扉を開けてくれる。


「いえいえそんな...!タダでしかも特別席にだなんて...」

謙遜する姉だったが、


「何言ってるの、美月ちゃん。あなたのおかげで

私も泰三も変われたのよ...。」

...と言われ、そこまで言うならと嬉しそうに席に入るのであった。


「...やれやれ。単純だな...。」


--------------------


泰三の最終公演が始まった。


ブー....


「どうもどうもー!関西でお笑い芸人やってます、

宇連泰三と申します!!こんにちはこんにちはー!!」


<キャー!!> <おおー!!> <パチパチパチ!!>


はじめて見たときの場内と

まるで別人のような盛り上がりを見せる場内。

こんな短期間で人って変われるんだ。


「えー、まずは皆さんにね、お知らせがあるんですや。」

何だ何だ、とざわつく場内。


「なんとなんと...?私宇連泰三は

東京に引っ越しすることになりましたぁー!!」

ええー?!とかおおー!とかいろいろな声が聞こえてくる。

な、なんだって...?!


「と、いうことで引っ越し作業が落ち着いたら

また公演やると思いますんで、これからも末永くよろしゅうございます!!」


<パチパチパチ!!>

...と、みんなから大きな拍手が鳴り響く。


「っちゅーわけで...そろそろはじめますか!!」


----そこからおよそ1時間、あっという間に時間が過ぎていた。

公演の様子はというと、鉄板ネタのチョコレートカレーであったり

最終公演限定のネタだったりを披露し、劇場は終始大盛り上がりであった。

そして何より、泰三自身が全力で楽しんでいる様子だった...!


---------------------------------------


「お疲れ、泰三!!無事にやり切ったわね!!」


劇の終了後、裏方に戻ってきた泰三とハイタッチする奥さん。


「んわあ、なんか奥さんも前より明るくなってる!」

姉が叫ぶとその声に気づいて驚き、嬉しそうにオロオロする泰三。


「師匠!!見に来てくれてたんですか!!」


「まあね。しばらく見に来れてなかったからさ、

せめて最終公演だけでもーって思って!」


「師匠ぅぅー!!」


こうやって見るとやはりあの頃の泰三である。


「弟くんも、一緒に来てくれてありがとね。」

奥さんが僕にまで声をかけてくれた。


するとここで姉が引っ越しの件について質問する。


「...ところで泰三?東京に引っ越してくるって本当?」


「あんな大勢の観客の前で嘘なんてつくわけあるかい!!

引っ越しはホンマやで!これから引っ越しの準備しに大阪に戻るけどな!」


「へえー、本当!」


となるとまた騒がしくなりそうである。


「それでそれで?東京のどこに住むことになるって?」


「新京市の、メゾン大野ってところやねんけど...」


「って、同じ住宅じゃんかい!!」

なんと泰三が引っ越し先に選んだのは

僕たちが住むアパートと同じなのであった。


「あらまあそんな偶然が...!これからよろしくお願いしますね、美月ちゃん。」


「いや、師匠と呼んでくれ!!」

泰三と奥さんの楽しそうに話す声に僕たちもなんだか嬉しくなるのであった。


-----------------


夕方。家に帰って旅行の準備を進める。

その途中...


「...あ、泰三さんにコスプレ少女のことを聞くの忘れた。」

ひとりそう呟くと、


「何何何?コスプレ少女ってあのゲートにいたっていう少女?」

いつのまにか姉に聞かれていた。


「なんだ、いたのかよ。...そう、泰三さんが会ったっていうコスプレ少女。

この前終業式の日に転校してきて...」


「終業式の日に転校?!アハハ、そんなことあるー?!」

やっぱりそちらのほうが気になっていた。


「いや...まあ...俺も最初はびっくりしたけどよ...」

そう呟くと、話を戻す姉。


「まあだけれどもうすぐここに引っ越してくるんでしょー?

だったらそのときにでも聞けばいいよー。」

そうだな、と頷く僕。


それより明後日からはまた奄美に行くんだからと

止めていた手を動かしていく僕。


「...あれっ。もう準備進めてるの?

今日はもう疲れたから明日でいいじゃーん。」


「そんなこと言って...。どうせ明日になって慌てるんだろ...?」


「...ってヤバっ!コンロのガスつけっぱなしだった!!」

そう言って慌てて台所へ戻る姉。まったくやれやれである。


「翔ー!今日の夕飯はオムライスでいいー?

親子丼?んー、卵使いたいからそれもアリなんだよなー...!」

何も言っていないのに勝手に話が優柔不断になっている。


「...はいはい。オムライスのほうがいいかもなー。」

するとわかった、と返事がしてオムライスを作りはじめる姉。


まあ...なんだかんだで姉といる毎日は楽しいし、

ここにきてよかったな、と改めてそう思う僕なのであった...。


続く...


はじめまして、おとめtheルルです。


クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。

気軽に反応を頂けると嬉しいです。


少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、

どうかよろしくお願いいたします!

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