かっこよくなろう!!!
その日、私たちは屋上で協定を結んだ。
自分たちを高め合う、『運命共同体』として。
「えーっと」
永野くんは、私が書いたメモをざっと読み上げる。
【運命共同体のルール】
・本音で話すこと、ただし互いを尊重すること
・プラスになる指摘をすること
・おしゃれや美容に関する知識を互いに持ち寄ること
「要するに……お互いに外見に対する指摘をしつつ、褒め合おうよ、ってことですか?」
「その通り! 互いに切磋琢磨しあえば、成長できると思わない? 永野くんはカッコよく……私は美人に……たぶん、なるはずよ!なるに決まってるわ! 2人で行うクラブ活動みたいに思えばいいのよ」
「なるほど、確かに」
私の言葉に、永野くんはうなずいて立ち上がった。
「悔しいけど、今の私たちは誰も見向きもしない底辺よ」
「辛辣すぎる。いえ、それはいいとして……でも活動ってどうやるんです?」
「そうね。明日はちょうど、土曜日よ! ってことは一緒に服と本を買いに行きましょうか」
「一緒に……服を?」
「そう! おしゃれな服と本を研究するためにね。街には、とてつもないオシャレな人たちで溢れているわ。それを分析して、それぞれに生かすワケよ」
「え、俺たち2人で街に……? って、それ、もしかしてデートですか……?」
永野くんはソワソワしながら、ちらちらと私を見やる。なんだろう、『男女2人で出かければデートです』となるとでも?
「違うわ。お互いのどこに、そんな要素があるのよ」
「それは……まあ、確かにそうですけど。いや、出かけるのはいいんです。でも、2人きりだと、学校の誰に見られるかわかりませんよ。見られても構わないってことですか?」
「私たちは、どうでもいい存在なの。誰に見られたって、構いやしないわ。話題にすらならない程度の人間よ。これから、誰かにみられるような存在になるために、私たちは街に繰り出そうっていってるの」
「でも、男女2人だとデー……」
「しつこい」
私はピシャリと言い放ち終わらせーーそれぞれの連絡先を交換して、その日、永野くんと別れた。