表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/93

エピローグ-05

「つ、月読様が私をからかってくるので……」


「からかっておらぬ。本当のことではないか」


「も、もうっ。そんなこと今言わなくてもいいんですよぅ」


「ははっ」


「ほら、からかっているじゃありませんか」


目を細めて楽しそうに笑う月読様。からかわれて悔しいのに、月読様がこんな風に笑ってくれることが嬉しいと感じてしまう、矛盾した気持ち。


「……なんだか、イチャイチャ戯れているように見えるのは気のせいかしら?」


「俺もそう思っていたよ。見えないけど」


「まあ、なんというか、若いのぅ」


「ほっほっ。いいもの見せてもらったわい」


「喜与ちゃん、顔真っ赤ー!」


「真っ赤だー!」


「やっ、やだっ! もう、皆さんで私をからかうんだから!」


両手で頬を押さえる。外は寒いというのに、私だけが火照っている。恥ずかしくてたまらない。


だけど――


月読様が笑ってくれ、斉賀家の皆さんも笑ってくれる。明るくて賑やかで、自然と笑みがこぼれてしまう。私の世界にこんな明るい場所があっただなんて、胸がいっぱいになって張り裂けそうだ。


ふえふえと満月が泣いた。


「みっちゃんも一緒に食べたいんじゃない?」


「みっちゃんも食べれる?」


「満月ちゃんも大きくなったら一緒に食べようね」


満月を抱っこしてあやすと、ふえふえ泣いていたのが嘘のようににんまりと笑顔を見せた。首もすわり、生まれたときよりもふっくらとしてより人間らしくなってきている。


「あらー、満月ちゃん笑うようになったのねぇ」


「子どもの笑顔は癒されるのう」


「じゃあ僕たちも笑わないとね!」


「あひゃひゃ、お兄ちゃんこしょぐるのやめて〜」


「ほっほっ、今年も良い年になるじゃろうて」


笑い声が部屋いっぱいに響く。

大勢で一緒にご飯を食べて、一緒に笑い合う。これが普通の家庭なのだと斉賀家は言うけれど、私にとってはとても特別で尊いもの。そんな時間を過ごさせてもらえて、本当に幸せだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ