エピローグ-01
お正月を迎え、斉賀家は恵方詣の対応に明け暮れながら、忙しなく働いていた。
私は永真と真太にお手伝いしてもらいながら、食卓に御節料理を並べる。
「お豆食べていい?」
「今日はつまみ食いは駄目よ。皆でいただくんだから」
「えー。食べたい食べたい!」
「今日は特別なの。月読様もご招待しているのよ」
「月読様? 名月神社の御祭神だ!」
「月読様が来るの? 僕も見ることできる?」
「できたらいいわよね」
「うわぁ、楽しみー!」
ぴょんこぴょんこ楽しそうに飛び跳ねる子どもたち。月読様が見えなくても、名月神社を管理する斉賀家として、御祭神のことは教え込まれているらしい。そんな子どもたちは、月読様が来てくれることを喜んでくれる。それが何よりも嬉しい。
月読様に料理を振る舞う計画は、何を作ろうかと散々考えたけれど、せっかくお正月で御節料理をたくさん作るので、それを月読様にも堪能していただこうと考えた。斉賀家からも、御節料理はすべて任されている。だから斉賀家の皆さんにも振る舞うことになる。
永真と真太がよくお手伝いと言いながらつまみ食いをしていて、美味しいと言ってくれていたから大丈夫だとは思うけれど、やはり少し緊張する。皆さんのお口に合うといいのだけど。
やがて仕事を終えた皆さんがぞろぞろと居間に集まってきた。そして並べられた御節料理を見て感嘆の声を上げる。
「すごい! これ喜与さんが全部作ったのかい?」
「はい、畑で採れたお野菜も使わせていただきました」
「僕たちもお手伝いしたー」
紅白なますにお煮しめ、黒豆、田作り、昆布巻、伊達巻。焼物には、名月神社に奉納された鯛を焼かせてもらった。それらがところ狭しと並べてある。斉賀家は毎年御節料理を食べているらしいけれど、こんなに品数豊富なのは初めてということだった。