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15.泡沫の愛を誓う-08

「……神議(かむはか)りが終わったのか」


「かむはかり?」


何だかよくわからない。この八咫烏も神様の類なのだろうか。月読様の神妙な表情が不安を煽り、緊張が走る。繋いでいる手に力が込められ、何だろうかと息を飲んだ。


「娘よ、神議りを知らぬのか」


「は、はい……。すみません」


「神議りとは、一年に一度、神様が出雲に集まって人の世における様々な縁について話し合うのだ」


「縁、ですか」


「そうだ。この度、月読様とお主との縁が話し合われた。我はその結果を伝えに来た」


「月読様と私の……?」


ドキリと心臓が揺れる。

月読様を見るも、相変わらず神妙な面持ちだ。


『神は人に干渉してはならぬ』


いつかの月読様の言葉が思い出された。月読様は私の我儘を聞いてくれた。その結果が人に干渉することになってしまった。私は自分のことばかり考えて、月読様の立場を何も考えていなかった。月読様はよくても、私たちは世の(ことわり)に反しているのかもしれない。


「月読様、神は人に干渉してはならないことをご存知か」


「ああ、わかっている」


「それを貴方様は犯してしまった。神議りの場においてそれが協議されたのだ」


「どんな結果であろうとも、私が喜与を愛していることに変わりはない。この想いだけは曲げぬ」


強くまっすぐな言葉に、胸がぎゅうっと締めつけられる。繋いでいる手は離さないとばかりに固く握られた。


「賛否両論であったが、大国主様が月読様の御心を信じると申された。ただし、数日間夜を失くした罰を申しつかっている」


「えっ、罰? 月読様がですか? 月読様は私を助けるために出雲に行ってくださったのです。罰なら私に与えてください!」


「いいのだ、喜与。罰は受けようぞ。その覚悟を持って出雲に行ったのだ。世に混乱を招いたことは事実だからな」


「でも――」


カァとカラスが鳴いた。黙れと言わんばかりのその威厳に気圧され、思わずぐっと口をつぐむ。



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