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2.色づく世界-02

草花は私の癒しだった。実家でもよく育てていた。気味悪く疎まれる存在だった私の、唯一の拠り所。


草花は私を罵倒しない、罵らない。ただそこに誇らしく咲いて、時折吹く風に揺られる。四季折々の草花は私に色の付いた世界を見せてくれる。


立派に咲いたキキョウを前に、私はため息を吐いた。どこか別の場所に植え替えることはできないだろうか。


ふと、名月神社が頭をよぎった。殺風景なあの神社に草花が咲き乱れたら、きっと美しく彩られるだろう。月読様の儚さには花が似合う。


今夜もまた名月神社に行ってみよう。昨夜の出来事が夢ではなかったことを確認するためにも。


キキョウを根から抜いて、庭の隅の日陰に隠した。家の人に見つかると捨てられてしまうから。


「喜与さん! 喜与さん!」


「はい、ただいま」


お義母様に呼ばれて急ぐ。

初秋だというのに日差しはまだ高い。うっすらと汗をかきながら、今日も家事に勤しむ。


つらいと思っていた心は、名月神社のことを思うと少しだけ軽くなる気がしていた。

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