表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/93

11.感情のままに-月読side-06

夜明け前だというのに夜が薄くなる。昼夜の均衡がまたおかしくなる。

うさぎが外の明るさに慌てた。


「あまり力を使うと、あなた様の力が弱まると思うが」


「かまわぬ」


できる限りの痛みを取ると、私の指はカタカタと震え、全身は刃物で刺されたようにズキズキと痛んだ。私が荒い息を吐く代わりに、喜与の呼吸は静かになっていく。それでいい、それでいいのだ。喜与が痛くなければ、それでいい。


「喜与、よく頑張った。お主の傷が癒えるまで、私が付いているからな」


「ボクも付いててやるから、早く良くなるのだぞ」


うさぎと手分けして喜与の赤くただれた皮膚に薬を塗り、そして清潔なサラシで巻いた。それを三日三晩繰り返した。


時々医者と斉賀の者が様子を見に来たが、喜与の穏やかな顔に不思議そうにしながらも、生きていることに安堵していた。


毎日喜与の痛みを取っていた私は、力を使いすぎたのか、蓄積された痛みに負けてふと意識をなくしてしまった。


夜が薄くなる。私の力が弱まったせいで、また世界の昼夜の均衡が崩れた。それを人の世界では、奇跡だ、(たたり)だなどとざわめいていたことなど、知る由もないことだった。


ただ私は喜与を助けたいだけなのだ。

それ以外何がある。

夜がなくなったっていい。

世界がおかしくなってもいい。


喜与が助かれば、それでいい。

それでいいのだ――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ