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8.月読の回想-1-02

「……つく……よ……さま……」


「気がついたのかしら?」


「いや、うわ言だろう」


喜与が薄っすらと目を開けて、手を伸ばす仕草を見せる。その手をしっかりと掴んだけれど、握り返してはくれない。ぐったりと力が抜けている。


「喜与、私はここにいる。お主が苦しまぬよう、痛みを取ってやるからな」


それくらいしか神にはできないから。

せめてもの処置だ。


触れている喜与の手から、激しい痛みが流れ込んでくる。熱くて皮膚が張り裂けそうな痛みだ。こんな酷い仕打ちをした伴藤を恨む。いや、そもそも私が喜与を娶ってやればこんなことにはならなかった。伴藤と離縁させ、私の側に置いておけば……。


だがそれはすべて夢物語だ。


神は、人に干渉してはならない。それなのにどうして娶るなどという考えになるのだ。他人から見えない存在と夫婦(めおと)になるということは、あり得ないだろう。


それに私はこの名月神社から出ることを許されていない。なぜなら私は夜を統べる神だからだ。私がこの場から離れれば、この世界の夜の均衡が崩れる。


そういう役割を担っている。


それが当たり前の世界だと思っていた。

喜与と出会う前は――

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