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19 不思議な王宮へ(4)



「……あんの……クッソ親父め!!」


私はサルドゥストに話を聞かされ固まってしまい、いったん整理させてほしい旨を伝えた。

すると王宮の一室を準備してくれ、その部屋のベッドの上に大の字になりながら冒頭の言葉を叫んだところだった。


「お嬢。大丈夫っすか?」


声がした方を確認するとチーシャがベッドの傍らに立っていた。

3:00pmで着ていた服から赤のシンプルな軍服に着替えている。


「チーシャ。私は脳みそが爆発しそうだ」


「そんなお嬢に申し訳ないんっすが、陛下から服を仕立てるようにと仕立て屋が来てるっす」


「は? 私はそんなものいらないぞ?」


「いや。多分必要になるっす……。

事情は今日の夕食の時に陛下が話すっす。

とりあえず、気分転換に仕立て屋と話さないっすか?」


「……分かった」


確かにこのままここに居ても私は何も分からないし、まだサルドゥストの話も途中だ。

生産性のない時間を過ごすよりも、気分転換にその案に乗るのもいいだろうと私はベッドからのそのそと這い出た。


「こっちっす」とチーシャに連れて来られた場所にはガタイの良いムキムキマッチョな5人男性が立っている。

そしてぴっちりとした色違いのスーツに身を包んでいる。

全員が同じ顔だった……。

私を見ると彼らは一同に体をくねくねさせながら私に挨拶をした。


「「「「「はじめましてぇー。私たちぃ、クロースシスターズでぇす」」」」」


「…………あぁ。有栖川牡丹だ。アリスと呼んでくれ」


「お嬢相変わらず順応性高いっす……。

彼……いや彼女たちは服飾のプロっす。

こんな感じっすけど、センスは良いんで安心してくださいっす」


「何よぉう」

「もう生意気だわぁ」

「そんなこという子にはセクシーランジェリーの刑にするわよぉ」

「あらそれ素敵ねぇ」

「アリス様の下着もそうしちゃおうかしらぁ」


「「「「「きゃーーーーーー」」」」」


なんとも姦しい。


「まぁ何かよくわからんが、確かに服も下着も一着も無い。

そしてこの世界の常識も持ち合わせていない。

だからお前たちに任せる。

よろしく頼んだ」


「「「「「はぁーい」」」」」


彼……いや彼女たちにチーシャは部屋から追い出される。


「また終わったら迎えに来るっす」

そう言ってそそくさと部屋を出て行った。


「アリス様は色白ですわねぇ」

「何色でも似合いそうだわぁ」

「まずはサイズを測りましょう」

「まぁ細い!! 羨ましい!!」

「まぁお胸もあるわぁ」


「………………」


あまりの姦しさに私は口を挟む隙も無く、されるがままになっていた。

すると私の体のあちこちを採寸しはじめたクロースシスターズたちが黙っている私に何を勘違いしたのか、飛び上がるように離れる。

シュパっと音がするように同時に動くその姿に私は関心を覚えていた。


「……ごめんなさい」


クロースシスターズの一人がいきなり謝るので私は何に謝られているか分からず首を傾げる。

すると次の者が説明を始める。


「初めて私たちと会う人なのに……。

私たちなんかにべたべたと体を触られて不快だったでしょう?」


全員がしょんぼりしながら頭を垂れる。

その姿をおかしく思い私は笑いながら彼女たちに向かって口を開いた。


「あやまる必要はない。

お前たちは自分たちの仕事をこなそうとしているだけだ。

そこに容姿も性別も関係ない。

お前たちはサルドゥストが私を預けていいと判断した者達だ。

私はそれを信じる。

だから気にすることは無い」


私の言葉に一斉に顔を上げて、ウルウルした目をこちらに向ける。

ムキムキマッチョが5人同じ顔で同じ表情でこちらを見ていることに私はおかしくなって声をだして笑う。


「あはははは。私はお前たちが気に入ったぞ。

お前たちに私の服は全て任せよう。

存分に私を着せ替え人形にするがいい」


「「「「「アリス様!!」」」」」


「はりきるわよ!!」

「こんなに素敵なんだもの!!」

「元がいいから更に上を目指すわよ!!」

「時間の限りアリス様の服を準備しましょう!!」

「これで陛下もいちころよ!!」


最後だけ意味の分からない言葉が聞こえたが、私は彼女たちになされるがまま体を預けた。


彼女たちがそれぞれハイタッチをするたびにドレスや普段着、寝間着や下着そしてアクセサリーや靴がどんどんと現れる。

そしてそれを手に赤いぴっちりスーツを来たクロースシスターズの一人が私に着替えを促す。


「試着のお手伝いをするわ。

あちらのカーテンのなかでいいかしら?」


「あぁ。頼む」


私は彼女と二人でカーテンの中に入る。


「君たちの名前を教えてくれ。

スーツの色は毎日変わるのか?」


次々と私を着替えさせていた手が止まる。

そしてきょとんとした顔で私を見る。

何もおかしいことを言ったつもりはないので、私はその反応を不思議に思い、私はきょとんと私を見るその目を見つめる。

するとはっとしたかのように口を開く。


「アリス様は私たちの名前をお知りになりたいのですか?」


「あぁ。しかし君たちは本当に似ているから見分けがつけられない。

だから今のスーツの色が変われば私にも分からなくなってしまうからそこは困るな」


「……私たちはそれぞれ今のスーツの色を自分の色と決めています。

デザインは変わってもメインに使用する色は変えません」


「そうか。それならよかった。

問題がなければ君たちの名前を教えてくれ」


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