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心の場合〜1

 私は生まれた時から心が読めた。子供の時は力を制御できなくて夜になっても両親の夢が垂れ流されていて寝れなかった。

 だけど少しづつ制御することを学んで小四の時には完璧に制御できていた。

 それでも常に気を張っていないとすぐに心を読んでしまう。


 正直小学生の時に制御できていて良かったと思っている。授業中に寝て一瞬制御できずに高校の同級生の心が1分間だけ読んでしまったことがある。

 はっきり言って最悪だった。そのせいで私は男子のことを忌避するようになってしまうくらいには…


 嫌な記憶を封印して私は今公園のブランコに乗って隣の少女に話かける。


 私の読心は5m以内の全員の心を読む。人と話すときは常に気を張っている。でも未来といるときは違う。読心術を常に使っている。


「あ、それでね。この前You tubeで見たんだけど重力って引っ張る力じゃなくて空間を曲げる力らしいよアインシュタインが言ってた」


「アインシュタインが生きてる時にはYoutubeはないはずよ」


 私はブランコの鎖を両手で持って後ろに倒れた。そのまま足を上にあげて不恰好な状態で彼女に言った。


「そうゆーことじゃなくて〜ゆっくりの人がアインシュタインの言葉を引用してただけ〜」


「そう。」


 彼女無情 未来(むじょうみらい)に冗談は通じない。


 心を読んでも本当にそう思っている。彼女は心で思っている事と言っている事が同じだから私は気を抜いて読心術を使っている。


 そういうところも好きだ。


 未来は通信制高校に通っていて私は全日制。ここの公園は私の高校から近い場所にある。


 高校は電車通学だから平日の夕方学校終わりの1〜2時間くらい未来と話をしている。 

 そんなことを続けて1年くらい経ったのか…


「あ、そういえばさぁ。もし電車の中でスマホ落としたらどうなるのかな?」


「スマホの位置も動くわ」


 彼女はずっと無表情だ。今の話を広げようとも考えてない。言われたことしか考えない。

 

「どうこと?」


「仮にスマホを落としてから一秒間で手に落ちてくるとするでしょ。そこでスマホを落とすと…「あっ!」どうしたの?」

「やばいやばい電車の時間が来る!ごめん!じゃっ、また来週ね!」

 

 公園の時計の時間は6時を回っている。

 家まで急行で30分くらいかかる道だ、各駅停車だと確実に門限に間に合わない。


「バイバイ」


「えぇさようなら」


 私は目一杯手を振って挨拶をした。未来は手首を動かすだけ。 

 相変わらず無愛想だな〜と思いながら、ダッシュで駅に向かった。



  


「ふぅ間に合ったぁ」


 何とか間に合った私は座席に座った。

 いつもと同じ景色。ただただ景色が左に流れていく…


 そういえばスマホを落としたらどうなるんだろ?未来は位置が変わるって言うけど。

 とりあえずやって見よっかな。

 

「よっと。…あれ変わんない?」


 バックをクッションに30cmくらいあげて落としてみた。けれどそのまま落下してきた。


「もう少し上げないとダメのかな?」


 腕を目一杯伸ばして落としてみる。


 けれど結果は変わらない。


「未来間違えてんじゃん」



 〜〜〜



「ただいま〜」


 駅に着くと寄り道せずにそのまま帰った。私の家は駅から3分くらいの一軒家だ。おじいちゃんが買ったやつだからローンとかはないけど少し古いからボロボロのところがある。

 

「おかえり〜今日は唐揚げよ」


「マジで!やった〜」


 私は家でも読心術を使わないように気を張ってる。心を読んでも何も良いことがない。

 別に家族を信用していないわけではない、ただ怖いだけだ。

 心の内で悪口を言われていたら立ち直れないかもしれない。それにそもそも普通の人は心が読めない。だからこれが健全な関係なのだ。






 夕ご飯を食べ終え自分の部屋に来た。私の部屋は2階の奥にあって家族はここを通らない。


「ふぅ、やっぱ疲れるなぁ」


 常に気を張るのはかなり疲れる。自分の部屋と未来と話をしている時は気を休めることができる。


「あ〜、癒しが欲しい〜」


 未来といるとすごく安心する。心がやすらぐというか何というか…


「好きだなぁ」


 そういえば何で未来のことが好きなんだろ…

 たしか未来と会ったのが一年前で…う〜んあんまし覚えてないや。なんか悲しいことがあって未来に泣きついたんだっけ…?え〜とそれで未来の心を読んで私のことなんか気にも止めてなくてそれがムカついて…


「いやいや、何で好きなのかを考えるんだった」


 う〜ん




「わからん」


 結局1時間くらい考えたけど分かるなかった。

 けど未来のことが好きなのは分かる。


「恋、何だろうなぁ」








 いつ好きになったのかは分からない。



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