2話 現状把握
街の場所はさっきの綺麗なお姉さんに聞いて分かった
まず先にやる事は現状把握だな、うん! キュ
ん?何だブランどうした? キュキュ何でも無いのか?
ヨシ、第1のワクワクだな、影操作ってのを試そう
お姉さんが言うには、頭の中で分かっているって事だ
え~と影に意識を集中してと、ぬおっ!頭の中に出来そうな事が……成程成程ねほうほうへぇ〜分かった!
10メートル先に大きい岩が有る、あれを目標にと
影を意識、目標を意識、!今だ、影のえーと槍!
おぉぉお、岩の影から槍が2本出てるよ、次!
影の……く、鎖でほグハッ舌噛んら
今度は影から黒い鎖が2本出て岩に絡み付いている
こ、こりは凄いぞ、一件地味かもしれないけど、間違い無く俺が出した影の技能だぞ!
日本では味わえ無いよな、こんな事は!ワクワクだよ
この時点で、攻撃と捕縛の手段は手に入ったぞww
後は、隠身と癒しだったね、うーん隠身は対象が居ないと検証のしようがないな
癒しも怪我しないと分からないし…
Arc言語も誰かと会話しないとだしねぇ~
あ!まだあったよ、狩猟道具が有った
でもこんな小さな袋?ポーチみたいなのに何が入っているかな?まるでお楽しみ袋みたいだなワクワク
袋を逆さまにして中の物を出してみた
弓、矢筒、大きいナイフ、水筒?が落ちて来た
え?どう見ても袋の大きさでは入り切らない物が出て来た!
おぉぉ不思議な現象だなぁ、まさに異世界現象だよw
それぞれを手に持って確かめる様に確認してみる
この弓って確かコンパウンドボウって奴だよなコレ!
弓の上下に滑車が付いてるし
何よりもこの弓が大きい、見れば強力な弓って分かる
矢も矢筒に50本位は入っている
大きめのナイフは、まんまコンバットナイフだなコレ
映画で見たゴツイ作りで頑丈そうである
水筒?の様な物は、そのまま水筒だったみたい
ご丁寧に取説が入っていたよ
弓はやっぱりコンパウンドボウだ、但し異世界仕様の
折り畳み可能で、コンパクトボウにもなります!
だってコンパウンドボウからコンパクトにって……
異世界ジョーク?それとも女神ジョークなのだろうか
矢筒も影技能を込めれば矢が補填されるらしいね
至れり尽くせりだね本当に
ナイフも影技能を込めれば切れ味が回復とか便利だ!
水筒に関しても同様らしい
最後は魔道具だったかな?え〜と生活魔法と同等の効果が再現出来るか……ネックレス型なんだね
中央にあるのは宝石かな?取り外しが出来るみたい
これもお姉さんに聞いたから試してみよう
結果は
火、水、ライト、ヒールが出来た!むぅ癒しとヒールが被ってしまった
これにも取説があった
成程ね、宝石しゃなくて魔石だったのか!えーと効果が無くなって来たら魔石を交換すれば良いのか!
魔石って確か魔物を倒して手に入れる素材だったかな
あ!影技能で試してないのが有った、影収納だって
よぅし、全集中 影収納!!あ、あのアニメみたいな
掛け声になってしまったよ(笑)
おお、俺の影が何か広がったような不思議な感覚
ん?何か入ってるよ?何だろう、取り出しっ思ったら
影からポポポンって出て来て笑ってしまった
出て来たものを見て顔が自然とニンマリしていた
醤油、缶ビール、紙パック牛乳、インスント珈琲の4つが入っていた
あ!これアレだ、アンケートで何もない所に持って行きたい物で答えたやつだ!
これは嬉しいぞ、この世界に醤油は無いだろうからね
ビールにしてもだよ、俺のお気に入りのエビス様の
マークが特徴のやつだし
牛乳だって手に入るかどうかだし、これで毎日の朝イチの牛乳が続けられそうだ
それに珈琲も有る
そして取説も有った、影収納は時間停止するらしい
これはアレだね、異世界物によく見るアイテムBOXだ
そして中の物は使っても一定の時間で減った分は補充されるそうだ、なんて素晴らしい機能だろうか!
お姉さんの注意でも有ったけど、俺の種族は最強にはなれないらしい、これらの技能とかアイテムとか見ると、そんな些細な事は気にしない!
最強?それで腹は膨れるのか?楽しめるのか?否だ!
最強なんて有ったら、そんな物はくれてやるさ
俺の目下の目標は、面白く楽しく暮らせれば良いな
出来れば、まだ見ぬ嫁さんと俺とブランでだ!
はぁ~、エルフさんかぁお目に掛かりたい物だな
異世界と言えばドラゴンとかも居るのだろうか?
グリフォンとかフェンリルとかも居るのかな?
会った瞬間に襲われそうだから何とも言えないけど
アレだな、友達100人出来るかな?みたいな感じかな
様々な種族の人達と出会いたいなぁ
ヤバいぞ、やりたい事があり過ぎて優先事項を決めないとイケナイかもな(笑)
確認はこれで終わった、ブランも俺の肩でずっと大人しくしていて偉いぞ、なでなで!キュキュー
ブランも退屈しちゃいそうだし、そろそろ移動開始しますかね!
幸いな事に、現在地は広大な草原だから見通しが良い
戦闘もやむ無しだから、エンカウントしたら迷わずにバトル出来るかな、そこが少し心配だ
影技能はレベルが上がれば出来る事も増えるらしい
パターンを考えると、影で捕縛して影の槍か弓で攻撃だね、弓もブランクが有るからどうにかしないと…
うん、まぁそんなに早くエンカウントしないだろうから、それまでに心構えをしておかないとだね、キュー
そんな馬鹿な………歩き出して10分だよ!見晴らし最高な草原だよ、何ですか!何処から湧いて出たし
見た感じだと…豚…なのか?二足歩行の豚とか………
シャーー、おぉうブランよ、毛を逆立てて威嚇するのは構わないが、毛が、柔らかい毛が俺の顔に…べったり纒わり付くから!oh..癒されるわぁ
違う、そうじゃない!今はこの…この豚をどうにかしないとだぞ
こんなに接近されてたら弓は使えないし、とにかくだ
全集中!影ほ、捕縛ー
ブギャァァー、
今、影、影の、影槍ーーーーー
ブグォォーーーーー
2本の槍が豚殿の脇腹と太ももに命中したのだが
威力が足りなかった様ですね、豚殿が怒り狂い暴れ回っておりますよ、ただ血が止めどなく流れている
どうしよう、正直に言っても手に余る状態ですなぁ
何故俺が冷静にコメントできるかって!それは豚殿が
1人で暴れ回っているからさ、俺を放置して木や岩に当たり散らしているのであるよ!
それにしても二足歩行の豚殿とは、また不思議な存在
足は裸足でチョキだった、解せぬ足はチョキなのに手は人と同じ5本指って無いわぁー、引くぜ豚殿よ!
未だに俺は放置されている、なので観察を続けよう
上半身は裸だな、下半身はふんどしの様な物がある
武器は歯が欠けた剣か…そんな中、豚殿の動きが極端に遅くなった、フラフラしているし
あぁ~血を流し過ぎたね、そろそろ倒れるかな?
おや?俺と目が有ったよ!ブギャァァー
WOW俺に向かってきたし、どうするよ俺!どうする
うわ、剣が掠ったし!危な~、うわ、ひ、ふぇ!
動きが遅いから何とか躱せているけど、初の本格的な戦闘で体が思う様に動かないのよ、体が重く感じる
息が上がるし、何より怖い、本気で俺を殺そうと向かって来てるんだ、怖くて体が動かないんだよ
豚も血の流し過ぎで倒れる寸前なんだろうけど…
執念で俺を殺そうとしてくる
足がもつれて転倒してしまった、不味いヤバイヤバイ
豚が剣を振り上げる、終わった、俺は目を瞑ってしまった、だがいつまで経っても痛みも何も無い
目を開けると、ブランが俺を庇う様に豚と戦っていた
ブラン!読んだのが悪かった、俺に意識を向けたブランに剣が襲いかかった、キャウーン
は、ブラン、嘘だろブラン!豚は尚もブランに襲いかかろうと剣を振りかぶる
ふざけんな、この豚野郎がぁーーナイフを片手に持ち豚に体ごと突っ込んで行き、揉みくちゃになりながら夢中でナイフで突き、振り上げ、振り回した
気が付くと豚は動かなくなっていた
息つく間もなくブランの元に駆け寄る、ブランブラン
大丈夫か!キュウ~、ごめんな俺が、俺のせいでキュ
ブランの背中が大きく切り裂かれている
は!魔道具だ、ヒール!ヒール!ヒール!ヒール
キラキラと光ったブランの傷は塞がり元気になった
キュキュ、キュウー
良かったー、良かったよー、ブラン良がった~
ブランも引く程のガチ泣きをした
最後はブランに慰められて泣き治まったのである
俺の中で決意が固まった瞬間である!
まだ幼体のブランが俺を庇って怪我をした!これは否
認められない、俺がまともに戦える様にならないとだ
影の技能の技も名前を決めないと駄目だ
戦闘中でも噛んでる様では話にならないな、短く呼びやすい名前だ、(仮)捕縛と影槍にして置こう
あ、ナイフが豚にさし放しだ!回収しないと…
今思えば、この豚ってオークって奴じゃないかな?
異世界物で定番の魔物だよなコレ、オークだとしたら女の敵って奴だったよな確か
そうだ!魔石って有るんじゃないか?それも回収したい所だけど解体は…ちょっと難易度が高過ぎるよな
んー本の知識しか無いのだけどさ、魔石って心臓の位置に有る説が多いよね!
よし、強くなるって決めたのだから、せめて最低でも魔石は回収出来る様になりたい、いや、ならないと
思ったより魔石の回収は早く済んだ、ただ俺の方が少し問題有だった
やはり魔物とは言え、人型にナイフを刺すのが精神的に来る物が有った、まぁ途中でリバースしてしまった
オークって本によっては食用だったりしたんだけど…
流石に今の俺には解体も食用にするのも無理だ
お姉さんも言ってたな、倒した魔物は持てない場合は燃やせと、いけるかな魔道具でFIRE!
生活魔法でも魔物って燃やせるんだな、燃やした後に緊張感が切れたのか腰が抜けたかの様に座り込んだ
影収納から水筒を出してブランと一緒に飲んだ
何にしてもブランが結果無事で良かった!
俺も初戦闘を経験したな、こんなに怖いとは思わなかった、何にしても俺は強くならないとだ!
今から街に向かえば、街道には出られるかな?
この平原で夜を過ごすよりは街道の方が安全な気がする、ブラン大丈夫なら直ぐに移動を始めよう
街までは間に合わないかもしれないけど、近くまでは行けるはず、この平原に居るよりは安全だろう
キュキューキュキュ
早歩きで移動中!どこまで行っても見晴らし最高の草原だ、余程の油断が無い限りは魔物の接近に気付く
オークの時の様な失態はもうしないと誓った
体感だと昼頃だろうか?小腹が空いてきたな!キュ〜
そうかブランもか、確かリュックにまだあったはず
おにぎり2個、お茶と缶コーヒーにサンドウィッチ
サンドウィッチは影収納に入れて置けば保存できるな
おにぎり2個有るから、ブランと1個ずつわけような
キュキュキュー
さて、鮭と明太子だな。ブランはどっちが良い?
キュ キュー キュ
ん、半分づつに分けて食べるか?キューキュー
2人でおにぎりを半分づつ分けて食べた、お茶も分けた
ブランは、おにぎりが気に入った様だね(笑)
キュキュ キュキュ
ふふ、嬉しそうに跳ねて喜んでいるな、ヨシヨシw
食後30分の休憩を取り、移動を開始した!ブランも
俺の隣を跳ねながら一緒に移動している、可愛いぞ!
陽がだいぶ沈んで来たな、体感で17時頃かな?
とりあえず街道は見えて来たから、これを左に行けば1番近い街レフテンに着くはずだから、もう少し歩いて野営出来る場所を探そうな!キャキュウー
やっぱりブランは俺の話を理解しているんだね、ちゃんと返事もするし賢いぞブラン!キュキュ
へぇ〜、街道の脇にちょっとした広場があった
馬車がアッチコッチに止まりそれぞれが野営の準備をしている様だ
第1現地人発見だな、服装は…俺の服装はどうかな?
比べるとかなり浮いてる、リュックに着替え入ってるけどどれを着ても浮くね、こりゃ参ったな
こうなったら、このまま行くしかないな
広場入口にいたお歳を召したお姉さんに聞いてみよう
「すみません、少しお聞きしてもいいですか?」
なんだい?アタシみたいな者に話しても礼儀何て知らないから言葉使いは勘弁しておくれよ
そうだった、言葉使いが丁寧過ぎても駄目なんだった
「構わない、ここの広場は誰でもつかえるのかな?」
そうだねぇ、旅人や馬車が使う野営広場だから適当に使えば良い、他に迷惑を掛けなければ構わないのさ
「成程、分かった礼を言う」
商会か貴族様の関係か知らないけど…もうちょっと地味な服を着ないと駄目だよ!野盗に狙われても知らないよ!
「注意感謝する」
はぁ〜、貴族とかの関係者に間違われたかな?
向こう側の奥に行こう、丁度スペースに空きが有る
ふぅ、ここなら多少は落ち着けるね、確かリュックに
有った!ブランケットを出してブランと包まる
これで朝まで我慢しよう、ブランも暖かいしキュー
朝方、誰かに揺すられて目が覚めた
こんな所で寝たたのかい?ほらコレをお飲みよ!
どんな事情があるにせよ、成人したのか分からない歳の子供がお供も連れずに旅をするなんて無茶だよ
常識も知らなそうだし、何処に行くんだい?
「レフテンという街に行こうかと」
何だいレフテンかい、なら一緒だね!家の馬車に乗せて上げるからおいでよ!
「あ、でも俺は持ち合わせが……」
なんだい?お金も持って無いのかい!そう言えば服も大分切れたりしているね、盗賊にでも会ったかい?
大丈夫さ、お金なんか取らないよ、さぁおいでな!
手を引っ張られ強引に叔母さんの隣に乗せられた
さぁ、行くよ!
全くあんたみたいな子供を見ちまったら放っておけないよ!アタシはネイってんだ、レフテンで旦那が宿屋をやっているのさ、良かったら家に来な泊めてあげる
「自分は玲央、レオです」
レイオウかい、いい名前じゃないか!
「え、いやレオですレオ」
レイオウはレフテンに知り合いでも居るのかい?
駄目だ、レイオウになってるよ発音の問題かな?
「えぇまぁ」
そうかい、やっぱり訳あり何だね安心おし余計なことは聞かないからね
むむ、何か話が噛み合ってない様な気がするぞ
壮大な勘違いをしていそうで怖い
この時ネイは、ある事が頭の中に過ぎっていた
やっぱりこの子は貴族とかの関係者かその子供だね
着ている服もそうだけど、言葉使いが綺麗過ぎさね
大規模な侵略戦争が有ったって聞いたからね
きっと親がこの子だけでもと逃がしたんだろうね
玲央の予想通りに壮大な勘違いをしていた
「そうだ、ネイさん街に入る時は何か必要な物は有りますか?」
身分証と税として銀貨2枚が必要だね、持ってないかい
「はい、どっちも持っていませんので近くで降ろして貰っても良いでしょうか?」
そうだねぇ、乗りかかった船だ!このネイさんに任せておきなって
(訳ありなら身分証も出せないか!)
ほら、もう街に着くよ!何やってるんだい?降りなくても大丈夫さ、大人しく乗ってな!
「でも!」
いいから任せときなって、犯罪歴は無いんだろう
「ありませんよ!」
なら大丈夫だ、税は立て替えて上げるからからね
「え、なんでそこ迄…」
家にも子供が居てねぇ、同じ位の歳さ!冒険者になって1年で死んじまった、あの子と同じ位の子供がいたら心配になっちまうのさ、アタシのお節介だから気にしないで世話になれば良いのさ
「そんな、でも」
でもも何も無いよ、それにほらウチらの順番も来た
ネイさんが俺の分の税を払ってくれた、俺は犯罪歴が無いかをオーブで調べて無事にレフテンの街に入れた
ほら、ここが中央の噴水広場さ!家の宿屋はあそこさ
白馬亭って名前の宿屋さ、泊まる所が無かったらね
何時でもおいでよ!ほらこれを持っていきな
無理やり手の平程の小袋を掴まされネイさんは去っていった
小袋の中には銀貨が10枚入っていた
ネイさん…日本でも会った事ないよ、こんな優しい人
必ず後で会いに行きます
自分で稼ぐまではこの銀貨は使えない、いや使わない
少し歩いて情報を集めよう、ブランは俺の肩で大人しくしている