万感
入学式。心新たに…そんな季節なんだろう。
皆少なからず浮き足立っているかもしれない。
その中で、やっぱり私の心は荒んでいる。多分。
どうせ友人など出来やしないのだから、さっさと唯一の趣味の読書に耽ってしまいたい。
図書室結構でかかったな。小説とかもあったし。
やたら長ったらしい体育館で行われる儀式とか、つまらない集団学校見物は高校になってからもあったんだな…
いや当たり前か?なきゃおかしい…
頭の中で下らない考えを巡らせていたら、新任らしい爽やかな笑顔の担任教師さんが明日の予定を告げ、プリントを配っていた。
もう終わりか。
ぼーっとしてたら意外とすぐに終わったな。
幸い席が廊下からは遠かったので、ある程度人が出てから帰ろうとゆっくり行動する。
「あの…」
初めは自分が話し掛けられたと気付かなかった。
「え?」
「あの…帰るの…良かったら一緒に帰らない?」
「えっ!?」
あ。やばいびびられた。
「はぁっ!?」的なテンションで聞き返してしまった。
「あ…駄目…?」
「いや違う違う大丈夫、一緒に行こうよ。」
精一杯、ひきつりつつも笑顔で答える。
化粧もしてるし、明るい茶髪だけど凄いおとなしそうな子。
「あっほんと?大丈夫?」
「ああうん大丈夫。じゃっ行こっか。」
−−−
とりあえず色々頑張って喋るなりしたものの、正直話し掛けられた事に結構動揺していた。
家の方向はほとんど同じだったから、また一緒に帰ろうかなんて話もしたな…
たいした理由はないんだろうが、他にもっと喋れる奴居ただろうに。
せっかく話し掛けてくれたにも関わらず、なんだか気が重い。
…どうすっかなぁー。十五の女の子と何話せば…私も十五で女だけど…
どうしよう。
自ら話し掛けない上に、面倒で皆の輪から結局抜けてしまう自分は話術なんか1ミリすら持ち合わせていない。
本当に全く。
皆無。
面白みゼロ。
今日だってすでにつまんねえコイツって思われてたかもな。
あー自分駄目だ。
なんでこんな葛藤してんだろ。
最初友人作らないし作れないだろうとか思ってたけど…どうせなら…
欲しい。
てか一回話しただけでここまで色々考える自分キモい。
…高校生になれて浮かれてるんだろうな。
あと久しぶりに新しい人と出会った…というか喋ったから。
さっきからちょっと学校で話せたら何言おうとか考えちゃってるし。
凄い喜びすぎだ自分。
あーどうしよう。
‥仲良くなれるといいなぁ。
やっぱ自分キモイ。
ここまでお読みいただき、有り難う御座います。
書いている内にいつの間にかこんな感じになりました。
明るい作品ですかね…?
ギャグやほのぼのとしたものは好きなんですが…。
これは色々変な事になった気がします。
でも書いていて凄く楽しかったんですよねこの作品。
最後に、長々とお付き合い有り難う御座いました。