了解
しばらくして、ミーシャの先生が戻ってきた。
その間に、ミーシャとクロイは、これと言って会話をする事もなかった。
ミーシャの謝罪が成ったおかげが、クロイから出ていた殺気のような怒りも幾分おさまっていた。
その事に、ミーシャの先生
レイ・R・イレンは、緊張を解くことが出来ていた。
「私は……レイ先生がお屋敷と執事を持っていることに少し驚愕してしまっています。」
ミーシャは、そんな事を思わず口にしていた。
「あはは…私は、ほら…一応貴族ですからね」
適温に温められた紅茶の入ったカップで顔を隠すようにしながら、レイは、答える。
あの沈黙の降りた部屋へ、いそいそと戻ったレイは、クロイとミーシャを自らの家へと招待したのだった。
晴れていたこともあり、中庭に朝食のセットを用意したのだった。
とはいえ、今は、朝と昼の合間。
ミーシャとレイは、朝一番で召喚魔法の補習を1対1で、行っていたため、その前に食事は済ませてある。
お昼ご飯も兼用して作られたクロイの食事は、少し豪勢なものとなっていた。
「美味そうじゃないか。ありがと、レイ……先生」
「あはは…クロイさん、無理して私に先生なんて付けなくていいですよ。そんな事より遠慮なく食べて下さいね。お口に合わなければ、別のものを用意しますが……」
愛想良くしようと思いながらレイは、喋るが言葉の最後がすぼんでしまう。
クロイは、気になった、なぜレイ・R・イレンは、こんなに気を使っているのかと
パンとスープを頬張り、それをミルクに似た味の黄色い液体で胃に流し込んだクロイは、レイに質問する。
「なぁどうして、そんなに気を使っているか聞いていいか?」
その言葉にミーシャとレイは、手をかけたカップを鳴らした。
2秒ほど、ミーシャとレイはアイコンタクトを取ると意を決したようだ。
「勇者召喚というのは、古来よりヒトを初めとする定命のもの達が神や魔王といった自然ならざるもの達を打倒する存在を呼び出すためのものです。
故に、勇者達は、ヒトの身でありながら人ならざるチカラを持っているのです。」
そこまで言って、クロイから視線を逸らす。
「……だから、俺が怖いと?」
「はい」
「なるほど……だが俺自身にそんなチカラがあるとは思えない。普通の家庭に生まれた普通の高校生だ。」
「高校生というのは、役職とかなのですか?それより、チカラについてはどういうことなのでしょうか?自覚が無いと……そういうことですか?」
クロイは、別に中二病でもなんでもないのだが、こんな時だけは少し考えてみた。ステータスとか、魔法とか、己のうち眠るものとか
考えて、恥ずかしくなる
「何、赤くなってんの?風邪なの?」
「違う違う違う。だけど、そう。自覚は、ないんだ」
「そう……なら、鑑定をかけてみれば分かるんじゃないかな?先生」
「…そうですね。鑑定、してみますか。」