表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

幼き者の拠り所。

 私は急いでキャンデイーを集め、たまたま近くにあった「お菓子詰め放題」とプリントされた小さな袋に詰め込んだ。元々のパッケージは、真ん中できれいに裂けてしまっていた。


「おかあ、どこ行ったの……?」


 私、原見はらみうずらは小五の頭脳を回転させ、おかあが行きそうな場所を模索した。


 おかあは、外出するとよく私とはぐれる。おじいもいるときはどちらかが見張っていれば問題ないけれど、おじいがギャンブルへ行っていて私しかいない場合はそうもいかない。うっかり財布の金額を遥かに超える物を買いそうになるのを止めたり、チラシを見ながら案内する必要があるからだ。今回は、私が通りすがりのおばあさんにマヨネーズの棚を教えている間におかあがどこかへ行ってしまったのだ。間違えて会計を済ませずに店の外へ出てしまう前に、おかあを止めなければならない。


「……まずは出入り口近くへ行って、そこから探していこう」


 そう呟いて一歩踏み出した直後、背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。


「あっ! うずらちゃんいた!」


 振り返ると、そこには知波ちなみと手ぶらのおかあがいた。知波ちなみは、おかあが学食のパートとして働いている学校「星花女子学園」の中等部に通う二年生だ。

 ちなみに年下の私が知波ちなみのことを呼び捨てにしているのは、ちょっと嫌いだからだ。本人は全く気にしていないけれど。


知波ちなみがおつかいに来てたら、野菜売り場でたまたま灯代子ひよこと会ったの! 偶然だよねー!」

「ねー!」


 ……認めたくないけど、たぶんそれは運命だと思う。そう思うのは、私だけだろうか。

 ちなみに年下の知波ちなみがおかあのことを呼び捨てにしているのは、おかあととても仲が良いからだ。本人達はお互いをまるで古くからの親友のように…………いや、それとは違う。そんな言葉よりももっと……。


「……ところでおかあ、カートとカゴはどうしたの」

「………………あっ! どっかに忘れてきた!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ