「赤馬」って?
「おはようございます!」
「ったくうるせぇなァ」
「火力の良さが私のウリなので!」
「お前はどこぞの元テニスプレーヤーか」
私、府合野揺楽戯。今日から本格的にヤ○ザの一員です!
「とにかく、今日からメラメラやっていきますので、よろしくお願いします!」
「若いヤツは元気があっていいねェ……」
この方は私の教育係で鷹鷺組の組長、鷹鷺兵太刀郎さん。ガチムチなおじ様です!
「……親方、あの子が……ですか?」
「あァ。原見うずら。お前の監視対象だ。……あと親方はやめろ」
「ではどう呼べば?」
「……『兄さん』だな」
「わっかりました兄さん!」
「一々敬礼すんな鬱陶しい」
電柱の陰から顔を覗かせると……いました。あの女の子が、原見うずらちゃんなのですね。
「最近妙な輩があの子の周りをうろついててな。何かあれば……相手を殺るのも厭わない。テメェの命を捨ててでもあの子を守り抜け」
「私の命なんて元から有って無いようなものです! 有事の際は……私のバーナーが火を吹きますよ!」
私がトーチバーナーで実演して見せると、兄さんは一つため息をついた。
「……その感性は親譲りか」
「はい! ウチの家族は三度の飯より火が好きだったので! ……まあ、今は両親二人揃って檻の中ですけど!」
そう、私は放火魔の娘。成人する前に母も父も逮捕され、私は一人、ひっそりとボヤ騒ぎだけで放火衝動を抑えながら生きてきた。
火をつけたい。
火をつけたい。
……でも、今はもう我慢しなくていい。
堂々と人を燃やせるんだ!
さあかかってこい不審者共!
※この物語はフィクションです。実際の事件等とは一切関係ありません。




