表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

同情するなら母を返せ。

閲覧ありがとうございます。

 おかあはいつも、知波ちなみと一緒に空を見る。


 私を置いて、知波ちなみと一緒に空を見る。


 母親に、会えると信じて。


 自分達の時間が、再び動くと信じて。


 だから二人は、星に願って空を見る。


 二人だけの世界。二人だけが、入っていい領域。


 その領域には、笑顔しか存在しない。


 笑顔しか、存在してはならない。


 そうして二人は、天を仰いで空を見る。


 私を置き去りにして。



「お母さん、知波ちなみのこと見えてるかなぁ?」

「うーん、わかんない。見えてたら、返事してくれるかなぁ?」

「うーん、わかんない。でも、知波ちなみがいい子いい子してたら、きっと会える」

「もっともっと、わたしがいい子になれば、きっと会える」

「そうだよね」

「うん、そうだよ」



 やっぱり二人は、今日もきらめく空を見る。


 この薄汚れた大地から、穢れ無き二人は空を見る。


 望んで。


 願って。


 微笑んで。


 そしてきっと。


 堕ちる。


 だってあんなに綺麗な流れ星は。


 いずれ燃えカスになってしまうのだから。


 いつか二人は、消えて行く。


 泡になって、塵になって。


 でもそれまでは。


 二人で一緒に、空を見ている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ