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主人公、鉄器を生産する

太古の昔、人類には石器時代というものがあった。


その名の通り、生活に必要な道具を石器で補ったのだ。石斧もその一つだ。それ以外にも、包丁、矢じり、剣、槍などなど、さまざまなものを石器で作ってきた。


だが、石器というものは生産性が高くない。石器を作るのも大変だし、石器自体の性能もよろしくない。どんなに長い時間かけて磨き上げた石斧も、やはり鉄製の斧には切れ味で劣る。素材自体の硬さなら鉄器に引けを取らないものもあるだろうが、如何せん鋭利さで負けるのだ。


さて、カイト領は今石器時代と鉄器時代の境目にある。


え?青銅器時代はどうしたのかって?


うん、華麗にスルーした。いやいや、周りに銅や錫があれば話は違ったのかもしれないが、あいにくその二つの金属は出土しなかった、というより探す間もなくウーネというエルフの少女が鉄を生み出してくれた。


さて、鉄の塊が多く手に入ったからといって、すぐに鉄器が手に入るかといえば答えはノーだ。鉄の塊を使って道具を作るための道具が必要だ。つまり、鎚、鋏、炉、鞴といった鍛冶道具たちだ。


それらの鍛冶道具たちはミヨの錬成魔法の協力もあって無事完成した。いや、ミヨの活躍はそれだけではない。鉄の塊を熱するのに必要な木炭もミヨの属性魔法のおかげで手に入った。


そんなミヨは今度は人間の兵士と協力して現在大きな窯をいくつか作っている最中だ。あとで説明するが、窯があればレンガや土器、木炭といったものを生産できる。


窯で作れるものは魔法でも代用できる。属性魔法の火魔法を使えば同じようなことができるだろう。そのようにして魔法に頼るというのも一つの手だが、魔法に頼りっきりの生活というのは危うい。


まぁ、そんなこんなで必要なものを手に入れたドワーフたちは今俺の目の前にいて、10人のドワーフたちが炉を囲んでせっせと生活に必要な道具を作っている最中だ。


「ようやく鍛冶師らしい仕事ができるってもんじゃ。がはははは。」

バティスタが嬉しそうに鎚をふるう。


彼らに作成をお願いしたものは多岐にわたる。


1.ナイフ

2.のこぎり

3.釣り針

4.裁縫針

5.槍

6.斧

7.鍬

8.スコップ


といったものだ。


それをドワーフたちが手分けして作成していっている。ちなみにその鉄の塊を生み出してくれるウーネは公房の端ですやすやと寝ていた。


既にMPはすっからかんであり、今日の役目は終えた!という満足そうな顔をしている。


ドワーフが作った道具は人間達にせっせと配られていく。彼らは既に家を35棟作り終え、今では井戸と、先ほど話をしていた窯、それに農場の開墾に励んでいた。


どれもこれも生活に必要なものばかり。


まず、井戸については言うまでもないだろうが、これまではミヨが錬成魔法で作った土器に川の水を入れて、それをエルフたちが火魔法で沸かすことで賄っていた。または、飲み水代わりにヤシの実の汁で喉を潤していた。ヤシの実はともかく、川の水をそのまま飲むなんてことは自殺行為だ。井戸が完成すれば水の問題は一気に改善されるはずだ。


次に、窯。窯で作れるものはかなり多い。第一に土器があげられる。まぁ、窯が無くても作れるっちゃ作れるが、低温で焼き上げた土器は脆い。さて、窯で作られた土器は汲んだ水を貯めるにしても、料理にしても、生活の様々な面で活躍してくれる。土器がない以前の生活はまさに原始時代そのものだろう。今の俺たちは料理といってもバナナの皮に食材をくるんで蒸し焼きにするか、直接焚火の火で焼いて食べるということしかできなかったのだから。


窯の恩恵はそれだけではない。


レンガだ。今のカイト領は塗装されていないぬかるんだ土の上だ。これは衛生上良くない上に、動くのも一苦労だ。だからいずれはレンガで道を作り、移動を楽にしたいものだ。


それが済んだら次は建物の建材として活用できる。ここは亜熱帯の気候だからレンガ造りの家というのは通気性上あまりよろしくないのだが、それでも全てを木製にするのは強度の面で不安がある。火に弱いし、朽ちるのが早い。だから強度が必要な場所にはレンガを活用する。すぐに作るつもりはないが、例えばいずれ作るであろう城壁なんかはさすがに木で作る気はしない。


木炭も需要は多い。鍛冶には欠かせないし、料理をするうえでも必要だ。


農場も作業は順調のようだ。


ビシスをはじめとしたエルフたちが木を伐採し、残った根っこをウッドゴーレム達が引き抜いていく。根っこを人の力で抜こうとすると、これは重労働だ。だが、大気中の魔力を活用して半永久的に活動してくれるゴーレムたちであれば話は違う。


人間の兵士たちはゴーレムが根っこを抜いた後を鍬で耕し、そこにバナナの苗やタロイモを植えていく。収穫が楽しみである。


え?俺は何をしていたのかって?


勿論大活躍である。


何かを作るにつけ、インターネットで作り方を教えている。都度みんなから「ほほー!」、とか「なんと・・・こんな方法が・・・」といった具合で喜ばれてはいる。だがまぁ、地味だし単に俺に与えられたスキルを使っているに過ぎないのだけどね。


毎日MPとAPは空っぽになるまで使い続けている。


そんなこんなで延々と作業を続けてくれるウッドゴーレムも既に3体は作った。そんなカイト領の人口は以下の通り。


<カイト領の人口(8日目)>

王:1名(♂)

ガイド?:1名(♀)

従者:1名(♀)

ドワーフ:10名(♂)

エルフ:6名(♀)

ハーピー:4名(♀)

人間:300名(♂:150 ♀:150)

ウッドゴーレム:3体

-------------

合計:326名(男:161 女:162 不明:3)


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