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主人公、まさかの石器時代からスタート

都市国家名:カイト?


まぁ、都市の名前はまだ決めていないので、好きに呼べばいいのだが、二日目にしてその人口は以下の通りだ。


<カイト領の人口(2日目)>

王:1名

ガイド?:1名

従者:1名

ドワーフ:5名

人間:300名

-------------

合計:308名


うん、都市というよりは村、それもかなり小さな村だろう。


いやいや、人口こそ村レベルだが、今のカイト領を村というのは村に失礼だろう。なんたって俺たちは家もなければ田畑も牧場もない。ただ約300名がジャングルにいる、というだけだ。


これは非常にまずい。明日はわずかな食料をめぐって争奪戦が起こるかもしれず、大雨でずぶ濡れの中で就寝しなければならないかもしれず、いや、本当にまずい。


なので、衣食住の確保。これがカイト領にとって最大の問題かつ至急解決しなければならない。


「ふむ、事情は分かったのじゃが、まぁ、釣り竿はよい。川で釣りをしたいのじゃろう。して、なぜに石斧・・・?鉄はないのか?」


ドワーフといえば武器、武器といえば金属、金属といえば鉄・・・なのだろう。とても分かりやすい。斧はまぁ武器になるだろうが、石というのが気になるのだろうと思う。


「知れたことだ。そもそも鉱山がない。あったとしても鉄鉱石から鉄を抽出する施設もなければ燃料もない。ただ、鉄を求める時間もないのでね。で、だ。斧を求める理由はただ一つ。この周辺の木を片っ端から切り倒して、それを元に家を作る必要がある。屋根のある家で寝泊まりしたいだろう?」


「ふむ、確かにそうじゃな。じゃがなぁ・・・一つ問題があるのじゃ。」


「問題というと?」


「わしら、石斧なんぞ作ったことないぞい?いやな?わしらの先祖はもしかしたら石斧を作っとった時期があったかもしれんが、少なくともわしらはその経験がない。主よ、作り方を知っておるか?」


ああ、なるほどな。まぁ、石斧なんて普通作らんわな。だが、作り方を教えることはできる。


この世界に召喚されたガバナーは前世の経験や知識をもとにしたスキルが与えられている。


俺が得たスキルは「インターネット」。前世の職業がインターネットショッピングを手掛ける会社だったからだろう。


このスキルは、APを消費して地球のインターネットの情報にアクセスすることができるというもの。Webサイトに1ページアクセスするのにAPを1消費する。今の俺のAPは100だから、100ページアクセスできるということだ。


ただ、このスキルはあくまでインターネットの閲覧のみ可能としており、ブログやチャットなどへの書き込みはできない。さらに、このスキルはWebサイト情報をホログラフのように投影し、俺以外のメンバーに見せることも可能だ。


というわけで、さっそく俺はスキルを発動し、石斧を検索、そして動画を再生する。ちなみに動画の再生も1ページにアクセスしたとみなされ、消費APは1Ptで済む。


「どうだ?この流れで作れるか?」


「ほうほう、なるほどなるほど、うむ、全く問題ない。ではさっそく取り掛かろう。何本欲しいんじゃ?」


「本数はあればあるだけ欲しい。石斧は武器にもなるからな。配下に300人の人間の兵士がいるから、できれば300本は欲しいところだ。できるか?」


「そうじゃなぁ。おそらく1人当たり、1日5本くらいの製造スピードじゃろう。」


ということは一日の生産量は25本だ。全員に行き届かせるのに12日はかかるな。かなり時間がかかってしまう。


「わかった。明日またMPが回復すれば兵士製造ができる。明日もドワーフを製造するよ。」


明日またドワーフを製造すれば、生産量は一日に50本にはなる。悪くない数字だ。


「うむ、それがいいじゃろう。ではさっそく取り掛かるぞい。」


「よろしく頼む。ああ、そういえばお前の名前は?」


「儂か?バティスタという。よろしく頼むぞ、主殿。」


「こちらこそよろしく頼む。ではバティスタ。お前をドワーフ達のリーダーとする。」


「任された。」


そういって、バティスタ達は釣り竿と石斧の生産にとりかかった。



夕方になると、探索に出ていた兵士たちが続々と帰ってきた。手には大小の木の実や、どうやってとったのかわからないがそこそこ大きな猪のような獲物を持っている奴もいた。


川からはミヨが頑張ってくれたおかげか、大量の魚を手にしていた。


「大量の魚を手似れました。マスター。」


ミヨは嬉しそうに俺に駆け寄ってきた。


「ああ、ちょうど見ていたところだ。かなり大量だな?あれならかなりの人数を賄えそうだな。しかし、どうやってあれだけの魚を捕ったんだ?」


捕ってきた魚はピラルクのような風体の巨大魚だ。それを10名の兵士全員が1匹ずつ持っている。釣り竿も網もないのにどうやって捕ったのか不思議でしょうがない。


「高い木から川を見下ろしたら泳いでいるところが見えましたので、魔法で仕留めました。」


「うん、ミヨがすごいということは理解できた。しかし、今の説明だと魚は全部ミヨが捕ったことになるが・・・他の兵士たちはどうしてたんだ?」


すると、魚を持っている兵士たちが明後日の方向を向く。


ああ、なるほど、魚を捕るという点においては役には立てなかったか。でも、仕方ない。道具無しで魚を捕れてしまうミヨがすごいのであって、兵士たちに非はない。


「まぁ、気にするな。今ドワーフたちに釣り竿を作らせている。次はそれでトライしてみればいいさ。それに、魚の運搬ご苦労だった。」


途端に兵士たちの表情が明るくなった。


「「「はい!次こそは!」」」


うん、何事も前向きに考えないとな。


さて、次はデュークのほうだ。デュークはというと、収集してきたものを一か所に集めているところだった。


「デューク、お前たちのほうもいろいろと見つけたものがあったようだな。」


俺はデュークに声をかけた。


「ああ、色々見つけてきたぜ。ほれ。」


といって収穫物を俺に見せる。ふむふむ、木の実・・・あれはヤシの実か?それにバナナっぽいものもあるな。さらに芋・・・もしかしてタロ芋かもしれない。


植物以外にも捕獲した動物たちがいた。主に猪のようだ。それが10体も・・・


ミヨがとってきた魚とデュークがとってきた食料を合わせれば、今日一日分は賄えるかもしれない。俺はデュークを慰労した。


「デューク、よく頑張ってきてくれたな。猪はともかく、木の実とかは食べられるかどうか一度味見しないといな。」


「ああ、それなら問題ないと思うぜ?こっちに持ってくる前に食えるかどうか一応味見もしてあるからな。じゃないと重たいもの持って帰ってきたのに無駄でした!ってことになって悲しい思いするのは嫌だからな。」


「ああ、なるほどな。ただ次回からはそれでもいいから、持ち帰ってから味見しよう。探索中に腹壊されたらたまらん・・・」


「わっはっは、ちげえねぇ。」



さて、早速夕飯の準備を始めた。


先に食べるのは魚のほうだ。1匹で30人は賄えるであろう巨大な魚だ。味は分らないが、腹は満たせるだろう。


さらに、バナナとタロイモも調理する。バナナは生食で、タロイモは蒸して調理した。調理では火を扱えるミヨが大活躍だ。そして・・・


「ぎゅるるるるるる」


「お前は今日はなんも役立たたないのな・・・」


腹を鳴らしているのはシーラである。今もよだれを垂らして魚が焼けるのを今か今かと待っている。


「ぎゅふふふふふ。いいのです。役立たずでも無能でも何とでも罵ってください。今の私の頭は目の前の魚のことでいっぱいなのです!」


「ああ、うん、まぁ、見てればわかるよ。」


さて、みんなの腹が満ちたころ、ドワーフたちが作っていた釣り竿と石斧も完成したようだ。


「おお・・・さすがドワーフ・・・」


この何もない森の中でどうやって作ったの?と突っ込みたくなるが、まぁ見事にしなる竹のような素材でできた釣り竿と、これまたどうやって研磨したの?と言いたくなる滑らかかつ刃の部分はとても鋭い石斧。


「ふん!わしらドワーフにかかればこんなもの朝飯前じゃわい。」


バティスタは誇らしげに笑う。


「いや、本当にいい仕事をしてくれる。助かる。では、デューク、これを部下に渡してくれ。そして石斧を持った奴らは明日からこの辺の木の伐採と家づくりだ!」


「あいよ。」


うんうん。まだ家もない俺たちだけど、確実に一歩ずつ前進しているのが分かる。さあ、明日からは家づくりだっ!

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