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主人公、ボーナスの軍隊を手に入れる

気づけば既に夕方になっていた。今日一日いろんなことがあった。この世界に転生され、説明を受けて、そしてこれから作る町の中心を定めた。そして初めての従者の召喚。


元居た世界では味わえないファンタジーな体験。それは刺激的であり新鮮であった。ガバナー同士は争う存在でもあると教えられたから、最悪明日には俺はまた死んでいるかもしれない。いや、ガバナーじゃなくてもこの世界には地球にはいなかった魔獣や亜人、魔族なんて存在がいるという。それらに今日これから殺される可能性だってある。


だが、この高揚感はどうしたことだろうか?危険がいっぱいのはずの異世界なのになぜか心が嬉しそうに踊っているのだ。


明日も大変だろうが、きっといい一日になる。そう感じた。


「さて、日も暮れてきたから今日はもう寝よう。」


「そうですねぇ。今日はいろいろと疲れました。じゃあ焚火の準備でもしましょうか。」


まぁ、お前のおかげでもっと疲れたけどな・・・と心の中で言ったのはシーラには秘密だ。

そしてシーラは焚火の準備といったにもかかわらず動く気配はない。


「では、私が行ってまいります。マスター」


「ああ、俺も行こう。」


こうして、俺とミヨは焚火に使えそうな木の枝を集めて回った。


ミヨは属性魔法全般を使えることが分かった。ただし、使えるといっても中級程度の魔法を全般的につけるということで、強力な魔法は使えない。だが、それこそが汎用性が高いということなのだろう。


現時点においてはその汎用性が役にたった。


目の前でパチパチと燃える焚火がその証左だ。これで火魔法が使えないとなったら、今頃は木と木をこすり合わせて摩擦熱で着火する、サバイバルでしかやらなさそうな方法をとらざるを得なかった。まぁ、今もまさにサバイバルなわけだが。


さて、もう寝よう。


俺の横ではシーラがすぴーすぴーと寝息を立て(おそらくこいつはどこでも寝れるタイプだ)、ミヨは見張りを買って出てくれたので目を閉じつつも周囲を警戒してくれている。



次の日


俺は食欲をそそる良い匂いによって目が覚めた。


「おはよう、ミヨ。えぇ!?朝食を準備してくれたの?」


「おはようございます。マスター。朝食といっても、川でとれた魚を焼くくらいしかできませんでしたが・・・」


「いやいや、それで十分だよ。ありがとう。」


そういって俺はめのまえの魚にかぶりつく。マス系の魚で脂がのっていて旨い。ただ、残念なのは塩がないこと。


「そうか、塩をどうにかしないとな。」


塩というものは単なる調味料であるだけではない。塩分不足によってめまいや脱水症状、果ては意識を失うなんてこともある。人間にとってなくてはならないものだ。


「うにゃ?くんくん?ふはふは?朝ごはんですかぁ!?」


お前は犬かと。いうまでもなくシーラである。


「はい、シーラ様。焼き魚ですが、よろしければお食べ下さい。」


「いただきます!いただきます!はふはふ、おいしー」


思いっきりがぶりと魚に食らいつき、口いっぱいに魚の肉をほおばるシーラをジト目でみつつ、俺も魚をほおばる。


「ミヨは食べなくて平気なのか?」


「私は今焼いているものを食べますので大丈夫です。」


「そうか・・・先に食べちゃって悪かったな。今度からは一緒に食べよう。」


「いえ・・・私はあくまで従者ですから・・・」


「いや、こういうのは一緒に食べたほうがおいしいし、従者って家族みたいなものなんだろ?だったらなおさら一緒に食べよう。」


「マスターがそうおっしゃるのなら」


ミヨは優しく微笑んだ。


さて、みんな朝食で腹が満たされた時だった。


「さぁ、カイトさん、次のステップにまいりましょう!」


「次のステップ?なんだそりゃ?」


「フフフ、実はガバナー初回ボーナスはまだあるのです!」


ほほぉ?それは昨日のうちから俺に伝えておくべきものじゃないのかね?と思いつつ、話を促した。


「なんと、兵士300名を初回ボーナスとして差し上げることになっているのです!」


「ちょっと待て!」


シーラはびくっとした。あれ?私なんかやりましたっけ?っていう顔をしている。


「・・・それってさ、人間の兵士?」


「そうですよ?」


「・・・もちろん、飯食うよな?」


「そりゃ、人間ですからねぇ?」


「いや、ちょっと考えろ。このジャングルの中でいきなり300人も人増えたらどうやって養うんだ?300人の一日分の食料でも相当な量だぞ?しかも、300人の人間をプレゼントって意味わからないんだけど、どういう素性の方々?」


「・・・えっと、まず素性から申しますと、”神殿”がストックしていた人間の魂を受肉させた者達です。ああ、変な意味でとらないでくださいよ?れっきとした人間ですからね?」


さらっととんでもないことを言うものだ。魂のストックだとか、受肉させるとか、倫理的に大問題だな。だがまぁ、そうでもしないとこんな土地で人は増えないか。


「で、食料は今日から必要になるんだよな?」


「・・・そうなりますね。」


「なるほど。とりあえずシーラは今日から当分飯抜きが確定したわけだが、しかし参ったな。食料がない。本気で魚つるか、森で食べれるもの探し回らないといけないな。」


「わっ、私の食事抜きですか!?ひどい!あんまりですぅ・・・」


「いや、まぁ、流石に冗談だが、食料問題は切実だ。だが、これって今のタイミングじゃないとだめなのか?もうちょっと食料のあてができるまで保留できないのか?」


「それが、ボーナスタイムは決まっていまして・・・今日までなんですよね。」


「そんな決まりを作った奴をぶん殴りたい気持ちでいっぱいなのだが、仕方ない。兵士300名も用意するのはボーナスじゃない限り結構大変なんだろう?じゃあ、やってくれ。」


「はいはいはーい!じゃあ、やりますね♪」


すると、シーラは宝玉を取り出した。それは「ソルジャーコア」と呼ばれる、魔力を元に兵士を作り出す宝玉。ソルジャーコアは光を放ち、合わせてソルジャーコアから根が生えたかと思うと地面に刺さり、キャッスルコア動揺に根っこで支えられながら宙に浮いた状態となった。


「さて、準備はできました。それではカイトさん。兵士よ来い!と念じてください。」


「そんな簡単でいいのか?・・・まぁ、やるけどさ。兵士よ来い!」


すると、ソルジャーコアから光が放たれ、俺の目の前に300名の人間の兵士が誕生した。みな結構鍛えられた良い体をしている。肥満体系やヒョロヒョロとした頼りなさそうな兵士はいないようだ。


また、300人の男女比はちょうど1対1のようだな。それは助かる。全員男でもムサイ集団になるし・・・全員女だとさすがの俺も気が引ける。


「彼らはランクDの一般兵です!平均的な能力値はHP100, MP0で魔法は使えません。武器はよほどマイナーなものでなければ一通り使えるように訓練されています。」


「なるほどなぁ。」


と、俺はまじまじと兵士たちを見る。


「で、兵士なのに何で全員武器は持っていないんだ?」


そう、現れた兵士たちは武器防具は持っていなかった。丸腰の兵士を一体どうしろと?

流石に服は着ていた。服といってもタンクトップに長ズボン、それにサンダルだが。まぁ、裸で現れなかったのはこの際救いだったのかもしれない。それにしても装備が粗末すぎた。


「へ?」


ジト目の俺に対し目が点になるシーラであった。

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