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ライナス、カイト領を発見する

他のガバナーと同様に、ライナスもまた初回ボーナス得点の人間の兵士300人を生成した。


ザシュとは違い、男女均等に150人ずつ。オーソドックスな流れであはる。


さて、兵士生産までは良かったが、その後に待っていたのは衣食住の問題。


食料もなければ寝るところもない。着るものも今持っている1着のみ。


「おい。これはどういうことだ?」

「どういうこと…とは?」


何のことかわからず、オウム返ししてしまう神殿のガイド。


「お前は俺に王になれといったな?」

「はい。その通りですわ。」

「では、早速家と食料と着るものを準備するがいい。」

「それはできません。私はただのガイドですので…そのようなものを生み出す力はありません。」

「ではどうしろというのだ?」

「どうもこうも、ライナス様とその部下の皆様が頑張って用意するしかありません。」

「何だとっ!?」


ライナスは憤った。


ライナスは正に自分が思い描いたような国が天から降ってきて、自分はその国を思うように従えて他国を侵略すればいいと本気で思っていたのだ。


だから、まさか内政やら生産活動やら、そのような戦えない者どものすることなど、ライナスが率先してやることとは考えていなかったのだ。


「興覚めだ。おい、そこの男。お前だ。」

「はっ、はいっ!」

「そこらにいる兵士をうまく指揮して家を作り、食料を取ってこい。」

「しかし…我々には武器も防具もなく、道具すらありません…」

「そこを何とかするのが貴様らの仕事だろうが!さっさと行け!」

「ははっ」


兵士は慌てて任務に向かう。他の兵士もそれに続きすごすごとやれることをやろうと作業を開始する。


流石の神殿都市のガイドも呆れた。





数日が経ち、神殿のガイドから兵士のつくり方を知ったライナスはエルフやドワーフを量産した。


ただ、特に何か命令するわけでも無く、「他の者に従って作業しろ」というばかり。


「ふん。魔力は十分にあるから兵士だけは作っておくか。あとは奴らがいいようにするだろう。」


魔力を有効活用するという点においてはまずまずだが、ライナスには特に目的があったわけではない。とりあえず人数だけ増やしておけば生産活動はいいようにやってくれる。というだけで、食料の備蓄や家の余剰などお構いなしに兵士だけは増やしていく。


ライナスの周辺にまだ食料と言えるものが十分あるうちは良かったが、次第に膨れ上がる人口を狩猟と採取だけでは賄えなくなる状況が見え隠れし始めた。


「…今日の晩飯はこれっぽっちか…」

「ああ…腹いっぱい食いたいなぁ…」

「おい、今日の寝床はどうするんだ?まだまだ全然足りないぞ…」

「俺が知るかよ。」


次第に兵士たちの不協和音は高まっていく。


だが、ライナスはお構いなしだ。


自分だけは兵士の窮状などお構いなしに腹いっぱい飯を食い、寝床は用意され、暇つぶしに自らが生み出した女の兵士を抱く。


「ライナス様。本日のお役目は私が」

「タリアか。いいだろう。あとで寝床に来い。」


最も多くお呼ばれするのはライナスの従者、タリアである。


ちなみに、ライナスは別に兵士内での男女の云々を禁止してはいない。好きなようにすればいいとさえ思っていた。


だが、一般的な感覚を持つ他の兵士からすれば、ライナス達の今の状況は非常にまずく、とても女を抱いていられるような場合ではないと感じていた。





さて、さらに時が経つと、ついに兵士の一部では十分な食料と寝床がないために病気で死ぬものが表れはじめた。


病気ばかりはいくらエルフに回復魔法や治癒魔法を使えるものがいても何ともならない。


兵士たちもバカではないから、知恵を振り絞って農場や牧場を作って食料の生産を試みてはいるが、そう早く食料生産が軌道に乗るはずがない。


ライナスはライナスで、兵士からの求めに応じてワイルドボアやホーンラビットといった魔獣を生産し、肉だけは確保していたのだが、肉だけでは人間の体は維持できない。


ここにきて、ようやくライナスも状況的にまずいと思い始めた。


既に森でとれるバナナやタロイモといった主食足りえるものも自分の口に回るか、というほど供給状況が悪くなったからだ。


そんな時、部下から報告が上がった。


「町です!町を見つけました!それも豊かそうな町です!」

「なにっ!?本当か?」


彼らが見つけた町。それはカイト領であった。


ライナスはこの世界に来て初めて興奮を覚えた。


貧困にあえぐ合計約2,000人のライナス領の住民たちもまた生きる望みをカイト領の収奪に見ていた。

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