幕間:ホワイトトルーパー試作機 第一号 その2
「おお!ついに完成したかぁ!」
続いて工房に呼ばれたのはデュークだ。なぜ呼ばれたかって?勿論テストパイロットとして呼ばれたのだ。
「えっ!?俺が着てもいいのか?いやぁ、俺なんかでいいのか?」
デュークはちょっと照れる。「貴方が栄えある1番目です!」と言われて喜ばない人は中々いない。しかもデュークもスターウォーリアーズの大ファンなので、その思いも強い。
「ええ、勿論です!」
「ああ、是非頼むぞい」
ミヨとバティスタはいそいそとデュークに鎧を着せる。
そしてついにホワイトトルーパーがカイト領に出現した。逞しい体躯、悪そうな面、そして光沢のあるボディー。良い、非常に良い。
残念ながらデュークには自分の姿が見えないのだが、ミヨとバティスタのボルテージは最高潮に達する。
しかし、古代か中世の工房か?と思われるような場に、場違いなまでにSF的なシルエット。ファンタジーである。
「おおぉ!なんと神々しい…」
「まさに美の化身と言って差し支えないかと…」
大いに差し支えあるのだが、二人の美的センスではそういうことらしい。まさかこの装甲のデザイナーも神々しさを求めて作ってはいないだろう。だって悪役なんだから。
「うん?随分と動きやすいな。可動部分がちゃんと考えられているな。いいぞぉ。」
デュークもご機嫌だ。
「そうじゃろうそうじゃろう。ちゃんと関節部分を考えて作っておるからなぁ。どれ、飛び跳ねてみてくれんか?」
「おう、じゃあやってみるぜ?それ」
デュークはジャンプするが、普通にジャンプできる。飛び跳ねても大丈夫なようだ。
「おお、本当にすごいな。しかし、やはり鉄製だからか重いな。」
「まだ付与魔法を発動していませんからね。発動すれば軽く感じられるはずです。」
「ふむふむ、なるほどねぇ。」
「おお、そうじゃ、デュークよ、このポーズしてみてくれ。」
バティスタの要求は映画の各シーンを集めたホワイトトルーパーの勇ましいポーズの数々。
「こうか?」
デュークは一つ一つ絵を見ながらポーズをとっていく。
「「おおっ!」」
「せいっ!」
「「うはぁ!」」
「とぉ!」
「「素晴らしい!」」
ポーズをとるたびに掛け声を上げるデュークと、そのたびに歓声を上げる二人。
見事にコスプレ文化に感化された二人だ。是非とも秋葉原に行ってみていただきたいものである。
「さて、一通り楽しめましたから、付与魔法をすべて起動してみましょうか。デューク、”起動”と言葉を発してもらえますか?」
その言葉が付与魔法発動のトリガーとなっているのだ。
「そんじゃ、行くぜ?”起動”」
ブォン
と、途端に付与魔法が一斉に起動し始めた。計7つの魔法が一斉に発動する。付与された魔法は常駐型の魔法で、起動状態にあり、かつ魔力がある限り常に発動し続ける。
ちなみに、付与魔法によって消費される魔力はデフォルトでは身の回りの、例えば空気中とかの魔力を先に消費する。ただ、それだけでは足りない場合、人の体にある魔力も使おうとする。それでも足りなければ発動を止めてしまうのだが…
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
工房にデュークの絶叫が響いた。
「ありゃ?」
「えっ?」
ちょっと目が点になる二人。
と、ミヨがはっとして何かに気づいた。
「ミヨ様?なにか分かったようじゃが?」
「えっと…付与魔法をつけ過ぎて魔力欠乏状態に陥ったみたいです…」
ひきつった笑いを浮かべるミヨだが、デュークはたまったものではない。
「俺…そもそも魔力ないんだけど…ガフッ」
デュークの意識はプツリと途切れ、目が覚めたのは翌日であった。
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