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主人公、兵装を考える

カイト領のインフラ問題は粗方解決の目途がたった。これで衣食住については一旦問題なくなるだろう。だが、まだまだ考えなければならないことは多い。


「勤めていた会社もそこそこブラックだったが…ここはさらにブラックだな…」


ブラック企業、ホワイト企業とはよく言ったものだ。その一つの判断基準として労働時間というものがあるが、はっきり言ってカイト領における労働時間?のほうが遥かに多いと思う。

ちなみに、ごく一般的なカイトの一日の生活の流れはこんな感じ。


7時:起床

8時:朝食

9時:部下からの報連相

11時:兵士製造

12時:昼飯

13時:領内の見回り&必要な道具をインターネットで購入

15時: 部下からの報連相

18時:夕飯

19時:川で沐浴

20時:課題の整理と対策の検討

23時:二人の時間(察してください)

0時:就寝


まぁ、さぼろうと思えばさぼれる。だが、それはそのうち確実にカイト自身の首を絞める結果になるから気が抜けない。首を絞めるということは、イコール、自分の命がなくなるということ。


この世界は弱肉強食なのだ。他のガバナーがいつ自分に襲い掛かってくるかわからないし、敵は他のガバナーだけではない。野生の魔獣に、まだ遭遇してはいないがこの世界の原住民。これらとは全て緊張感をもって臨む必要がある。


さて、話が少しそれたが、そういう状況だから衣食住の安定の目途が立ったとしてもやることは沢山あるのだ。


次に考えなければならないのは国防である。


今のカイト領は長屋といわれる居住地が乱立しているだけの状況で、こんなところを敵に攻められたらひとたまりもない。だから、昼夜問わず領の周辺には見張りを設置して常に警戒態勢に当たってはいる。


そして、都市防御という点においては都市計画の一環として城壁・城門の建設を進めているところだから、これはまだいい。問題は兵士の装備だ。


「鉄がだいぶ普及してきたとはいえ、まだ槍刀に弓、それにエルフの魔法程度なんだよなぁ。」


魔法というものは地球に存在しなかった戦力ではあるが、それ以外の槍刀に弓というのは、それこそまだ古代レベルと変わらない。


「相手の強さが全く分からないが、元ゴブリンキングだったザシュでさえ軽く人間離れした力を持ってるとか言ってたな。」


それはウルグからの情報だ。


正直ザシュの能力値がどの程度だったのかはカイトも知らない。


ステータスは本人以外知りようがないのだから。だが、カイトのように地球から転生してきた者以外の規格は人外レベルと見るべきだろう。


「しかし、ゴブリンキングってのが強いのかどうか知らんけど、それで人外とか言ってたら、その上のような存在、元勇者とか元魔王とかってどんだけヤバいんだよ…いや、勇者や魔王とかじゃなくても、ちょっとした英雄とか凄い魔術師とかでも十分ヤバそうだな。」


彼らは素の能力値がカイトより格段に上のはず。ということは当然MPもカイトより多いだろうことは想像に難くないわけで、兵力で言えば敵のほうが多いとみるのが正しいだろう。


「つまり、1対多を前提に兵装を考えなきゃいけないんだよなぁ…」


というわけで、インターネットショッピングの出番である。


「なんだかお決まりのパターンのような気がするが、それだけ合理的ということなんだろうな。」


ショッピングで買ったのは銃火器だ。


名称:AK-47


別名カラシニコフ銃とも呼ばれる、代表的なアサルトライフルである。アサルトライフルというのは自動小銃というトリガーを引いていれば自動で弾を打ち出してくれる銃で、AK-47の分間発射弾数は600発に上る。


何故この銃を選んだかといえば、


理由1:1対多を考えた際に、単発式やリボルバータイプの銃より圧倒的な手数が稼げること。

理由2:ネット情報によれば、構造がシンプルかつ、多少泥や水が入っても使用できる頑丈な銃であること。

理由3:インターネットショッピングで買えること


ということだ。いや、買えるものならマシンガンやガトリングガンなんてのも欲しかったのだが、流石にネットで売っていない。いや、売られていたら逆に怖いのだが。


それにまだ欲しいものはあった。大砲に狙撃銃、それにロケットランチャーやらバズーカ、手榴弾などなど。ただし、いずれも当たり前だがネットで買えるものではない。


「しかし、1丁で20万円かぁ…数をそろえるのには時間がかかるな。」


つまり、全APをAK-47の入手に使っても1日20丁までということになる。

ちなみに、今のカイト領の戦力は以下の通りである。


ドワーフ:50名

エルフ:50名

ハーピー:10名

人間:400名

犬族:50名

兎族:100名

猫族:50名

ゴブリン:20名

ウッドゴーレム:15体(うち10体はスモールサイズ)

ストーンゴーレム:6体

グリーンスライム:1,500匹

-------------

合計:730名、21体、1,500匹


ただ、勿論全員でいざ戦場へ!とはいかない。生産職まで戦場に連れて言っては生活基盤が損なわれてしまうし、最低限の都市防衛のための人員は残しておかなければならない。


「ドワーフは戦場にあまり連れていけないな。兎族もどちらかというと生産と防衛が主な活動だから数は限られる。人間の兵士を連れていきすぎると都市建設が遅れる…いかん、兵士数が全然いないぞ??」


実際に軍隊として戦場に送れるのは400名程度だろうと思う。それでもかつかつだ。

じゃあ、この400名にAK-47を持たせるとすると、400×20AP(20万) = 8,000AP

ということで、まぁ計算するまでもなく揃えるのに400日はかかる。


「ありえん。1年以上かかるとか、その前に攻められる可能性大だっての…」


というわけで、やはりこれはAK-47を領内で生産できるようにするしかないだろう。


そして、必要なのは銃身だけではない。弾が必要だ。1分間で600発撃てる化け物みたいな銃だ。1回の戦闘でどの程度消費するのか定かではないが、1人当たり1,000規模では考えておいたほうがいいだろう。


というわけで、それも領内で生産する必要がある。


「うへぇ…バティスタがどんな顔するか、正直怖いな。」


金属の加工は領内ではバティスタ達ドワーフの鍛冶工房しかないのだ。あそこで頑張ってもらうほかない。




武器についてはそんな感じでいいとして、次は防具。


AK-47をメイン武器にするわけだから、当然中世騎士が着ていたようなフルメタルの全身アーマーなんて選択肢はない。そもそも、鉄も足りないし、こんな森の中じゃ動きづらくてかなわないだろう。


というわけで、やはり陸軍自衛隊とかの軍服を参考にする。あとは魔法攻撃への備えをどうするか?という点に尽きるわけだが、こればっかりはカイトは知識が不足しているので考えがつかない。


「魔法攻撃への備えはミヨやビシスと相談して決めるか。」


ということでレプリカだが陸軍自衛隊の軍服を1着ネットで購入する。靴と鉄帽まで入れると10万円もした。全身迷彩柄だ。


「これに弾まで加えると…一体1人当たりでAPいくつ消費するのかって話だよな。いや、まぁ、無理なんだけどさ」


あらかた兵装の構想が固まったところで、AK-47と陸軍自衛隊の装備を抱えてバティスタのところに向かった。どうやら工房には珍しくいないらしく、探し回っているとどうやらとある長屋の中にいるとのこと。


その長屋につくと、どうも熱気が高い。というのも部屋の中は満員だ。10名で寝泊まりしている長屋になぜか40名くらいは入っているんじゃないだろうか。


「長屋壊れても知らんぞ…」


長屋は高床式に作られていて、6本の柱が建物を支えている恰好にいなっている。勿論、荷重計算なんてせずに立てている。


どうも長屋の中の面々はカイトが最近購入した映画に夢中のようだ。


プロジェクターにDVDプレーヤー、そして音響設備。そして見ている映画は「スター・ウォーリアーズ」という世界的に有名なスペースバトルモノの映画だ。


ブォン、ブン、ブン、ブン


映画の中でダーク・ベール卿が光る刀を振り回している。漆黒の甲冑とマントで身を包むお馴染みのシルエット。敵役であるにも関わらず、その圧倒的な強さとカッコいい外見から大人気のキャラクターだ。


ダーク・ベール卿の周りには白い甲冑を着込んだ兵士たちがいる。彼らは光線を放つ銃を敵に向かって打っている


チューン、チューン、チューン


鳥のさえずりではない。銃声だ。


いやぁ、子供の頃はよくこの映画を見たものである。なぜか主人公よりダーク・ベール卿に惹かれていた自分。子供は正義の味方が好き!というが、そんなことはない。強いものが好きなのだ。


さて、映画が終わって場がお開きになったところで、バティスタを捕まえて兵装の話をした。


「ほぅ、これが銃というやつか。映画では見たが、実物を出してくれるとはなぁ。」


ちなみに、みんなに買ってあげた映画はスター・ウォーリアーズだけではない。


戦争映画の「ランドー」シリーズや、機械人間が登場する「ター○ネーター」などなど、戦闘に参考になれば…と思い、購入して見せてやっていた。


「ああ、これがあればかなり戦闘は楽になるはずだ。でな?これを流石にインターネットショッピングで買うのは数量的に無理があるから、何とかバティスタに製造をお願いできないかな?と思ってるだが…」


「まぁ、銃だけならともかく、服はヌイに相談せんとまずいじゃろう。そもそも銃もばらしてみないとわからんがのぉ。」


まぁ、ごもっともである。

と、二人で話をしていると、ミヨとデュークも話に加わってきた。というわけで、二人には最初から話をしてやる羽目に…


そして、「どうだ、この恰好なかなかだろう?」話を振ってみたのだが、意外な答えが返ってきた。


「やっぱ却下じゃな」

「気分が乗らねぇ」

「もっといいものがあります。マスター」


あれれ?意外と不評?


おかしい。地球の住人だったら両手を挙げて賛成してくれると信じているのだが。AK-47というアサルトライフルを手に持ち、全身迷彩柄で固める兵士。いいじゃないか…


しかし、こんな反応はこれまでで初めてだ。何かほかに良いものでもあるのだろうか?


「何か代案でもあるのか?」


「やっぱこれだろう。いや、これ一択だ。」


何故かデュークの鼻息が荒い。


「おお、やはりお主もそう考えておったか?いやぁ、気が合うのぉ!」


あれ、バティスタも同じ考え??


「私もそれしかないと思っていました。十分実現可能なレベルかと。」


そして、ミヨも…なんだこのアウェー感は…


ちなみに、みんなが指示したものは「スター・ウォーリアーズ」のDVDのパッケージ。


「ちょっと待て。まさかお前たち、この黒い甲冑とライトブレード、それに光線銃を兵装に考えていたりするわけ??」


おいおい、あれはフィクションですよ?


技術的に全く理解不能な領域だ。

それにあんな恰好で森の中を歩けと?敵に見つかりやすいし、良い的じゃないか。


「ああ、その通りじゃ。いやな?結構真剣で考えてみたんじゃよ。まず、あのスタイルの甲冑を作るのはなんてことはない。色を付けるのも問題ない。王に”ペンキ”なる塗料を出してもらえればこちらでカッコよく塗ってやるわい。」


「いやいや、こんな森の中であんな甲冑着込んでたら動きにくいうえに暑いでしょ?」


「その点も考慮済みです。マスター。スライムから採取したスライム状の素材を用いて、以前見せていただいた”全身タイツ”?なる下地のスーツを作成し、鎧と体の摩擦を軽減させるとともに、動きにくさを軽減させることが可能かと。また、そのスーツと鎧に”気温調整”の魔法と”肉体強化”、”対魔法防御”、”対物理攻障壁”の魔法を付与すればこの暑い森の中でも十分に活動可能かと。」


なに、その超重厚長大な魔法の重ね掛け効果…


「そんなことが!?」


「あの光線銃も十分再現可能じゃぞい?要は電撃を放てればいいんじゃよな?それも銃の形をした道具に雷系の魔法を付与してやればなんとかなるじゃろう。」


「あの剣はさすがに難しいな。まぁ、形状はまねて、あとは強化魔法とか付与すればいいんじゃないかねぇ。」


そこまでしてあの形状がいいのか。てか、銃はもはや銃の形じゃなくてもいいんじゃないかと。杖とかに付与魔法つけても効果同じだよね?


「「「というわけで、カイト様にはダーク・ベール卿になってもらいます」」」


おいマテ…


この世界に、地球から来た奴が俺以外にいたとする。

そいつがダーク・ベール卿の恰好をした俺を見て何と思うか?


イタイ奴にしか見えないだろう。


「というか、このプランじゃないと俺たちは協力できねぇなぁ…チラッ?」


「わしもこのプランじゃないと作るモチベーションが…のぉ…」


「私も戦闘のモチベーションが下がり、戦力ダウンしてしまうかと思います。マスター」


なんだ、この結託は。


しばらく考えてはみたものの、ふぅ、と俺はため息をついた。


まぁ、みんなが一生懸命?考えてくれた結果なら、それを信頼して任せてみるのも大事なことなのかもしれない。ビジュアルだけでなくちゃんと機能・効能まで考えてくれているみたいだし?ここは任せようかという思いも出てきた。


「分かった。この件に関しては3人の意見を取り入れることにしよう。必要な道具とか素材があれば言ってくれ。」


途端に喜びの表情を浮かべる3人。だが、最後の言葉でずっこける羽目に…


「じゃあ、カイト様は剣術を覚えないとな。」


「なん…だと?」


「いや、ライトセーバーを扱わないといかんじゃろ?剣を学ぶのは必要なことじゃ。」


「俺が戦う必要なくない??」


「戦う男はかっこいいです。マスター」


ぐはぁ…そのセリフ、逃げられない奴じゃん。


「もうわかった。好きにしてくれ…」


さて…彼らの考案した兵装が完成するのが楽しみである。

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