主人公、ザシュの部下と会う
さて、先日カイトに殲滅された?ザシュとその配下たち。実はまだ生き残りがいたりする。
それはカイトに捕獲されたザシュの部下たちだ。
彼らはカイト領とザシュのアジトの中間地点を探索中にブルをはじめとした獣人部隊に捕獲された。ザシュを倒した後、彼らをどうするか?という議論があったがカイトは彼らを一旦生かすことを考えていた。
というのも…
「人手はいつも足りないからな。利用できるなら利用したい。」
それを側で聞いていたミヨとビシスは基本的に反対意見だ。
「いつ寝返るか分かりません。私は反対です。マスター」
「いつゴブリンに襲われるか心配でなりませんわ」
なるほど。心配なのも最もだ。そもそも、他のガバナーの部下だったもを部下にすることができるのか?という疑問がある。基本的に、俺が生産した兵士は俺に忠実だ。それは俺が創造主だからだろう。
まず、その点から確認が必要だ。ということでシーラに確認することにした。
「ガバナーがいなくなった場合、その配下の兵士を召し抱えることは可能です。その際、ソルジャーコアを使って以前のガバナーとの主従関係の解除と、カイト様との新たな主従関係の締結が可能ですよ~」
ということらしい。
その点が確認できたから今俺はザシュの部下たちがいる牢屋(といっても、ただの長屋に見張りを置いているだけだが)を訪ねた。
「何の用だ?」
ザシュの部下だったゴブリンの一人が口を開いた。こちらを警戒しているようだ。
ザシュの部下は長屋の中では自由にさせているし、飯も三食与えているので体調は問題ないように見える。それに尋問といっても精神魔法が使えるエルフに頼んで一時的に彼らの意識を操作したに過ぎないので、体にダメージを与えるようなことはしていない。尤も、精神魔法で相手を操作するという時点で、ダークな感じは否定できないが…
「体調面の心配はないようだな。今日訪れたのはほかでもない。単刀直入に言うぞ?俺の部下にならないか?」
すると、ゴブリン全員が俺に視線を向ける。「何言っているんだこいつは?」というような驚きの表情が見て取れる。
「正気か?俺たちはザシュ様の部下だった者達だ。ここから出られたらお前の首を掻き切ってザシュ様の墓前に捧げるという考えだってあるんだぞ?」
「ほぉ、お前たちにも忠誠心というものがあるんだな。だが、一つ聞いていいか?そのザシュはお前たちに何か報いてくれたか?見た感じ、創造主だからといって人使い荒く雑に扱われていたように見えるがな。」
といったところで、横に控えているデュークが「お前も十分人使い荒いよ」とジト目で視線を送ってくるのに気づいたが、華麗にスルーすることにした。
「それは…」
どうやら、ゴブリン達もザシュの部下に対する扱いには多少なりとも思うところはあったようだ。
何故、ザシュの部下に対する扱いがひどいものだろうと思ったかといえば、ゴブリン達から尋問した内容から考えたことだ。
ザシュがガバナーの初回ボーナスで人間の女性の兵士300人を得たのち、ザシュは彼女達を性欲のはけ口としてのみ扱った。この点はまぁ、人間としての立場からすれば許せないと思うのだが、ザシュがゴブリンのガバナーだったことを考えれば、取りうる手段だ。
問題は、ザシュは彼女たちを独り占めしたということ。
部下思いの大将なら、彼女達を部下に分け与えるという選択だって取りえたはずだが、それをしなかった。つまりは部下を雑に扱っていた、と考えることもできたわけだ。
「俺なら、お前たちを大事にする。三食与えるし、身の回りの必要なものも準備する。成果を出せばそれに報いる考えもある。ただ…カイト領内の女性を与える…的なことはできないがな。」
すると、ゴブリン達の眼の色が変わったように見えた。ただ、少し残念がっているようでもある。
「女は…ダメか…」
そこか?そこだったのか?
こいつらはどれだけ女に飢えているのだろうか…
「まっ、まぁ…カイト領内は自由恋愛は認めているから、相思相愛ならいいんじゃないか?」
「ゴブリンに惚れる人間やエルフの女がいると思うか?」
いや、そんなに自分を落とさなくても…とも思うが、まぁ、現実的にはそういうものなのかもしれない。
「ゴブリンにも女性がいるだろう?俺がゴブリンの女性を兵士生産すれば解決しないか?」
「ゴブリンの女か…まぁ、この際贅沢は言えんな。分かった。貴様を新たな主人と認めよう。」
なんか複雑な気分である。結局女でつられやがった。よく、人の欲求として「金、地位、女」とか、「酒と女」とか言われるが、やっぱりあれは一つの心理なんだなと感心した。
「ああ、これからよろしく頼む。」
こうして、元ザシュの部下だった5人のゴブリンが仲間に加わった。MPで生産すれば25ptという安価ではあるが、1ptたりとも無駄にはしたくない俺としては助かる話だ。
「早速だが、俺はゴブリンという存在を良く知らない。ゴブリンというのはどんなことに優れているんだ?」
「さぁ?他の種族と比較したこともないし、ろくに喋ったこともないからな。ゴブリンが何に優れているのかなんて考えたことはないな。ただ、俺たちは人種だろうが魔獣だろうが相手を殺すことへの躊躇や忌諱感がない。狩猟や暗殺というのが得意といえば得意な気はするがな。」
淡々と語るゴブリン。
ふむ。もしかしてワイルドボア牧場の管理を彼らに任せてもいいかもしれないな。あれはワイルドボアを肉にする手前、どうしてもワイルドボアを殺さなければならず、人間の兵士の間ではワイルドボアを殺す作業を嫌がっている節がある。
それに、暗殺といのも気になる。
「なぁ、暗殺というのはどういう風にやるんだ?」
「俺たちはよく毒を使う。こういっちゃ何だが、ゴブリンは他の種族に比べて肉体的にも魔力的にも優れている存在ではない。だから正面から1対1で戦えば高い確率で負けるだろう。だから毒を使い不意打ちする。」
「ふぅん?ということは毒に詳しいのか?」
毒というのは生物の生命活動にとって不都合を起こす物質のことだ。動物、植物、微生物、鉱物など様々なものが毒となりうる。毒に詳しいというのは、それらの知識を持っているということ。もし、その知識が生かせるなら大きなアドバンテージだろう。
「ある程度は理解しているつもりだ。だが、俺たちが知っている毒物がこの近辺でとれるかどうかは調べてみないとわからない。ザシュ様の配下だった時は食料の獲得が第一だったので、毒物の探索までは手が出せなかったからな。」
「なるほどな。俺の考えはある程度固まった。お前たちには牧場で飼っているワイルドボアの飼育および屠殺・肉への加工と、毒物の調査・探索を命じる。」
「承知した。」
ゴブリン…思った以上に使えるじゃないか。こういうことならもっと早く生産しておけばよかった。
この後、俺たちはソルジャーコアに向かい、主従関係を結んだ。さらに、女性のゴブリンを10名、男性のゴブリンを5名生産し、ここに20名のゴブリン種族がカイト領の一員として加わった。
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