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ザシュ、奇襲を受ける

『ザシュ様、報告があります。』


報告に来たのは1人のゴブリンジェネラルだ。


『話せ』


ザシュはゴブリンジェネラルに発言を許す。


『はっ、先日にもご報告した通り、アジトの西側を探索しているもののうち、何名かが行方不明になっています。本日もまた3名が行方不明のままです。』


ちなみに、アジトとはゴブリンたちの根城である洞窟のことである。

ザシュはしばらく考えた。損失は大して痛くない。1日で十分補充可能な人数である。問題はアジトの西側に何がいるのか?ということだが、配下の者からは目ぼしい情報は届けられなかった。


ちなみに、ザシュは3人1組で探索に当たらせていた。1,500名の兵士のうち、1,000人は洞窟の警護にあたり、残り約500人が周辺の探索に出向くという体制にしている。


なので、その1組分が丸まる行方不明になったという話だ。


『強力な魔獣か何かか、それとも他のガバナー、またはこの世界に住まう者達かだろうが、わからんな。』


それにしても、つくづく使えない配下共だと、ザシュは思った。3人1組にしている理由は何らかのトラブルがあったとしても誰か1人は逃げ延びて報告させるためにある。その責務を果たせていないのだから、彼から言わせれば無能というほかない。


『明日からは探索する兵士数を増員しろ。それで何か探ってこい。』


『はっ。必ずや。』


そういってゴブリンジェネラルはザシュの元を後にした。


ゴブリンジェネラルが出て行ったあと、ザシュはソルジャーコアを使っていつもの通り兵士生産を試みる。だが、少し様子がおかしい。いつもなら淡く光を発しているソルジャーコアに、その淡い光がない。


『ん?まぁ、良いか。ゴブリンの兵士たちよ、出でよ』


ザシュはいつもの通り兵士生産を試みたが、ソルジャーコアは反応しない。故障か?と思い、そばにいた神殿のガイドをたたき起こす。


『おい、ソルジャーコアが反応しない。これはどういうことだ?』


「・・・」


神殿のガイドは虚ろな目をしたまま黙りこけたままだった。彼女は食事もろくに取れず、すっかり体はやせ細り、そして顔色が悪い。しかも、これまでのザシュから受けた暴力の傷跡が体中にあり、痛々しい姿をしていた。


『ふん、役に立たんやつめ。しかし、これはおかしい。一度キャッスルコアの様子を見に行ったほうが良いか。』


ザシュはアジトとキャッスルコアの場所が離れていることを、この時ばかりは後悔した。


すると、どうも上層が騒がしい。配下のゴブリンどもの『ぎゃぁぎゃぁ』と騒ぐ音が聞こえてくる。


『おい、何があったか様子を見てこい』


ザシュは付近に控えていたゴブリンジェネラルに命じ、様子を探らせに向かわせる。

その後も配下の騒ぐ音はとどまるばかりか、むしろ大きくなる一方であった。


しばらくすると、様子を探らせに向かわせたゴブリンジェネラルが戻ってきた。しかし、かなり焦っているように見える。


『ごっ、ご報告します!』

『うむ、話せ。何があった?』

『現在、アジトは敵襲を受けています!』


ザシュは唖然とした。敵襲もなにも、一体だれが襲ってくるというのか?まだ敵になりそうなものなど確認できていないではないか?と。


『一体だれが襲ってきたというのだ?』

『それは分りません。ただ・・・敵襲により、アジトのすべての出入り口が封鎖されてしまいました!』


『なっ、何だと!?』


ザシュは驚いた。このアジトには合計5つの出入り口がある。それによって仮に敵襲を受けて逃げる必要が生じれば、敵が攻めてきた出入り口以外の出入り口から逃げ出せばよい。ソルジャーコアさえあれば、いくらでもやり直しはできる。そう考えていた。


それに、そもそも自分の首を狙うなら洞窟に降りてきて自分と戦わねばならないはず。出入り口を封鎖しては、確かにこちらも打って出るのは難しくなるが、同時に相手も自分を倒せないではないか。


だいたい、どうやって出入り口を封鎖したのか?封鎖したといってもこちらには1,500名もの軍勢がいるのだ。いくらでも対処のしようがあるというものだ。


『して、一体どのように出入り口が封鎖されたというのか?』

『はっ、どうやらロックゴーレムが出入り口を封鎖しているとのことです。そのロックゴーレムがまた硬く、こちらの攻撃が一切通じぬと・・・』


『チッ』


ザシュは舌打ちした。ゴブリンたちが持っている武器は主にこん棒や石槍、それに弓であった。確かに今の自分たちの手持ちの武器ではロックゴーレムに対して大したダメージは与えられないだろう。


『それにしても、ロックゴーレムとは・・・相手は一体何者・・・』


まさかガバナーの自分もゴーレムが実は作れるということなど知りもしないザシュには皆目見当もつかない。いや、実は神殿のガイドの持ち物はザシュが知らないものが多くあったのだが、現状に満足していたザシュは特段確認することもなく放置していた。


とにかく、目の前の脅威を何とかしなければならない。武器でだめなら魔法で何とかできないかと考えるが、ザシュが生産できる魔法が使える兵士はエルフのみであり、そのエルフは配下にいない。そしてソルジャーコアも故障のせいか新たな兵士を作れずにいた。


『くそっ!何から何まで空回りする。ええい!俺自らが出る。出口まで案内しろ!』


『ははっ!』


ザシュは立ち上がると巨大なこん棒を持ち、出口に向かう。そしてゴブリンソルジャーはザシュの後を慌てて追いかけて行った。

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