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主人公、牧場を作る

「そうか・・・猪が不猟・・・ね。」


「ああ、まぁ、結構このあたりは探索しまわったからな。もっと森の奥に行かないと猪は手に入らんだろう。」


俺もデュークも頭を悩ませていた。


カイト領の最大の蛋白源、それは猪だ。いわば俺たちの生命線。鉄器が手に入ったことで弓を作り、一時的に狩猟数は増えた。勿論増えたところで食料は無駄にはしていない。すぐに簡単な食糧庫、それも氷の属性魔法を付与したもので大事に保管してある。


だが、それにしても猪の狩猟数減を何とか補わないといけない。


「探索地をもっと拡大するか、それとも川の漁に人をもっと割り当てるか・・・」


「まぁ、それが妥当なところだろうなぁ。」


「だとしても、それもいつまで続くか・・・だな。あ、そうだ」


「ん?」


俺はインターネットで猪の牧場を検索した。


すると、あるわあるわ。まぁ、豚を狂暴にしたような獣だからな。まぁ、牧場といってもフェンスで覆った囲いに猪を置いとけばいいのだから楽なものだ。


問題は食料かな。当面は森でとれた俺たちが食べれない木の実などを中心に与えるとして、いずれは飼料を栽培しなければならないだろう。


だが、いずれにせよ、まずは牧場づくりだ。


「なぁ、デューク、これを見てくれよ。」


そういって、インターネットで猪牧場の風景や作り方をデュークに見せた。途端にデュークの眼が輝き始めた。


「なるほど、じゃあ早速牧場づくりに入りますわ。」


「ああ、そうしてくれ。」


ちなみに、豚の場合は体重のおよそ半分が肉となるらしい。体重が80kgの豚なら40kgという恰好だ。猪と豚を同じように考えていいのかどうかはわからないが、まぁ、大きくは変わらないだろう。


そして、成人男性が1日に必要とする蛋白質(日本人の場合65g)を日本人よりちょっと多めの70gとした場合、どれくらいの猪の肉が必要かといえば、およそ372gだ。


計算しやすくするために1人あたり1日400gの猪の肉が必要ということにして、さらに体重が80kgの猪を肉にする(つまり40kgが肉として得られる)と仮定しよう。さらに、人口が増え続けるとして500人を賄わなければならないとする。


そうすると、計算としてはこうなる。


400g × 500人 ÷ 40kg(40,000kg) = 200,000 ÷ 40,000 = 5頭/1日


つまり、年間で考えると約1,900頭になる。


ふぅ、結構な数の猪である。というか、普通に考えて蛋白質のすべてを猪で補うのは無理がある。今日飼育して明日食べれるわけではないのだ。80kgの猪に育てるのだって4~5年の月日が普通は必要だ。まずは100頭くらいを飼ってみて徐々に増やしていくしかないだろう。


というわけで、猪牧場はデュークが進めてくれるだろうからいいとして、今日は何の兵士を作るべきかと頭を悩ませる。ちなみに、カイト領15日目の人口は以下の通り。


<カイト領の人口(15日目)>

王:1名(♂)

ガイド?:1名(♀)

従者:1名(♀)

ドワーフ:20名(♂:10 ♀:10)

エルフ:12名(♀)

ハーピー:6名(♀)

人間:300名(♂:150 ♀:150)

犬族:12(♂:6 ♀:6)

兎族:15(♀:15)

ウッドゴーレム:3体

-------------

合計:371名(男:167 女:201 不明:3)


あれからドワーフとエルフ、ハーピーの人員を補充し、さらに犬族と兎族を増やした。


ドワーフとエルフを増やしたのは、有能な生産人口を増やすためなのだが、ハーピーおよび犬族を増やしたのは探索能力を上げるためである。


さっきデュークとのやり取りからもある通り、カイト領の近辺ではもはや食料を採取することが難しくなってきている。犬族はハーピーのように空を飛ぶことはできないが、地上からの探索活動についてはかなり有能だ。その優れた鼻を使って獲物を追っていける。


兎族を増やした理由には訳がある。


兎族は遠くの音を聞き分ける能力にたけている。最近、農地の拡大や探索領域の拡大によって、ついに魔獣と接することが増えてきた。


幸い、魔獣はワイルドボアといった猪を一回り大きくしたものや、バンパイアバットと呼ばれる吸血性の巨大な蝙蝠、さらにグリーンスライムなどのランクが低い魔獣で、兵士が死ぬという事態にまでは至っていないが、油断はできない。向こうから急に襲ってこられたら大けがを負うかもしれないし、さらにはもっと強力な魔獣が表れるかもしれない。


そういうわけで、いち早く近くの魔獣を察知するために兎族は優秀だった。


ただ、最近デュークから人間の兵士数が足りないという話をよく聞くので、今日は人間の兵士を生産しようと考えていた、そんな矢先のことだ。


「あ、カイト様~」


「シーラか、どうした?」


はぁはぁ、と俺のところまで走ってきたのだろう、シーラは息を切らしていた。


「つっ、ついにレベルが上がりましたぁ~!」


「おおっ!?」


確か俺のレベルは1だったはず。それがついにレベル2になったようだ。


「そういえば、どの程度の経験値を積めばレベルが上がるのか聞いたことがなかったな。」


「そうですねぇ、私も言った記憶がありません」


堂々と言い切るシーラに若干青筋を立てつつ、話を進めた。


「で、レベルが上がるとどうなるんだ?」


「ふふふ、レベルが1つ上がると、HP、MP、APに自由に割り振れるポイントが100Pt与えられるんです。凄いでしょ!」


「おお、そりゃすごいな。それならMPに全部割り振るけどね。」


「APは増やさなくていいんですか?」


「APは足りないとは思うけど、MPほどじゃないからな。今のカイト領は常に人手不足だ。」


「そうですねぇ・・・ナイナイづくしですけどね。」


というわけでさっそく割り振るとした。今の俺のステータスはこんな感じだ。


----

朝霧アキト

Lv:2

HP:150(日本人だったころ、HPは100だったらしい)

MP:200(+ 100)

AP:100

----


MPが2倍になった。これはインパクトがでかい。


ちなみに、レベルと経験値の関係はこんな感じらしい。


---

レベル必要経験値計算式

1初期値-

2100100 * 2^0

3200100 * 2^1

4400100 * 2^2

5800100 * 2^3

61,600100 * 2^4

73,200100 * 2^5

86,400100 * 2^6

912,800100 * 2^7

1025,600100 * 2^8

1151,200100 * 2^9

12102,400100 * 2^10

13204,800100 * 2^11

14409,600100 * 2^12

15819,200100 * 2^13

---


「ちなみに、レベル5になると新しいスキルが得られますよぉ?」


「え?マジで?ちなみにどんなスキル?」


「それは分りませんねぇ・・・お楽しみです♪」


「へいへい、そういうと思ってたよ。」



というわけで、気を取り直して今日も兵士生産だ。デュークの要望通り今日は人間の兵士を増やすとしよう。


<カイト領の人口(16日目)>

王:1名(♂)

ガイド?:1名(♀)

従者:1名(♀)

ドワーフ:20名(♂:10 ♀:10)

エルフ:12名(♀)

ハーピー:6名(♀)

人間:320名(♂:160 ♀:160)

犬族:12(♂:6 ♀:6)

兎族:15(♀:15)

ウッドゴーレム:3体

-------------

合計:391名(男:177 女:211 不明:3)



「そういえば、シーラに言うことでもないが、そろそろ恋人とかカップルができても不思議じゃないなぁ。」


というのも、村のあちこちで男女間でイチャイチャしている光景を見る機会が増えた。

俺には残念ながらそのような浮いた話は全くないのだが。


「それは仕方ないですよねぇ。自然な営みです♪」


「それはそうだが、となると、今の長屋住まいというのはみんなにとってストレスだろうな。」


「ほぇ?どうしてです?」


シーラはどうやらわからないらしい。不思議そうな顔で俺を見つめてくる。


「いやいや、恋人同士ならエッチなこととかしたくなるだろう?今の長屋は男女別に作ってるからな。そういうことしたくてもできないでしょ。かといって、人目を避けるために夜な夜な村の外れまで出かけて行ってそういうことをするのも危険じゃないか。」


ここまで話をしてようやくシーラも合点がいったらしい。


「なるほど!じゃあ、逢引部屋を作るんですね!」


何故かキラキラと目を輝かせている。ガイドのお前も使うつもりかいな。相手誰だ?


「ま、、まぁ、そういうことだ。それかいっその事みんなに個室の家を作り始めてもいいかもしれないが、そこまでの余裕はないからな。お前の中では逢引部屋っていうんだな。俺の中ではラブホテルっていうんだが。」


「ラブホテル・・・ですかぁ?よくわかりません。」


「ふむ」


といって、インターネットでラブホテルの外観や部屋の中を写真付きで見せてやった。なんか女性にラブホテルの画像を見せるのって卑猥だな。


「ふっ、ふわぁぁぁ。なんですかこれ。神殿都市でもここまで立派なお部屋はありませんよぉ?是非行ってみたいですぅ」


誰と行くんだ?

とは聞けない。


「まぁ、当然こんな立派な部屋なんて作れない。だが、個室を用意してやるくらいならできるかな。しかしなぁ・・・」


「ん?何か心配事でも?」


「ああ、つまり、そういうエッチなことをすればいずれ子供ができるだろう?」


「まぁ、そうですねぇ」


「ということは、そいつらは一時的に仕事ができない。」


「まぁ、そうですねぇ」


「ただでさえ人手不足な状態で、さらに働ける人が減るというのは正直辛いものがある。だけど、仕方ないよな。みんな生きてるんだし。」


しかしまぁ、兵士として製造されたにも関わらず、実際には兵士としての仕事はほとんどなく、その上子供までできるとなると、俺が作っているのは兵士じゃなくてただの人のような気がする。


そして、生きている人間をして「兵士を作る」と平気で言えてしまう自分は既にまっとうな人間じゃないんだろうなと思う。


モノじゃないのにモノ作るかのような感覚で作り出しているところに、まだ忌諱感を感じるのは俺が地球の日本という国から来たせいなのかもしれない。


「ま、この話はここまでにしておいて、そうだ一つ聞きたいことがあった。」


「はいはい、何ですか?」


「今度猪を飼う牧場を作ろうと思っているんだが・・・例えば魔獣って飼育できるの?」


そう、実は魔獣を倒すようになってから、魔獣の有用さに気づいてしまった。


ワイルドボアなど、巨大な猪のようなものだ。それでいて猪と同じように肉も食えれば毛皮も活用できる。それに猪と違って魔石が取れる。


この魔石が曲者だ。


なんでも、魔力が結晶化されたものだという話は聞いた。だが、今のところ活用できていない。貯まる一方だ。そこは今ミヨやエルフたち、それにドワーフたちによって活用方法を検討してもらっているところではあるが、役立たせる方法が確立すれば魔石の需要は跳ね上がる。


となると、魔石を得るために魔獣を狩るということも視野に入れなければならないが、猪同様に乱獲してしまえばいずれいなくなってしまう可能性もあるし、そもそも魔獣を一体一体相手にしないといけないのはリスキーだ。狩猟しようとすれば怪我もするし、最悪死ぬことだって覚悟しなければならない。ミイラ取りがミイラになりかねない。


ならば、猪みたいに飼えないか?と思った次第だ。


さてさて、シーラの答えはというと


「飼えますよ?当り前じゃないですか。」


「・・・」


ちょっとシーラは慌てた。ていうか、できるんなら早く言えよなと。


「いや、だって、考えてみてくださいよ。魔獣とは魔力を蓄積できる獣と考えてくれていいんですよ?勿論凶悪な奴もいますけどね。だったら獣と同じように飼育できるものもいますよ。そ・れ・に、ガバナーには魔王とか魔族といった魔獣とフレンドリーな方々もいるんですよ?当然そのようなガバナーは魔獣を飼育しますって。」


「なるほど。わかった。だけど問題はどうやって飼育場所まで魔獣を連れてくるか?ってことだな。オスとメスを連れてきて繁殖し始めればいいが、どうやってそいつらを生かしたまま飼育場所まで連れていくのかと?とっかかりがしんどいな。」


「ああ、そのことなら・・・」


と、また豊満な胸元からごそごそと何かを取り出す。

ほんと、こいつの巨大な胸元は四次元おっぱいに違いない。夢と希望とエロスにあふれている。


「これこれ、モンスターコアです。」


「モンスターコア?なんだそりゃ?」


「これは、一度倒したモンスターを作り出せるアイテムなんですよぉ。これを牧場に設置しておけば・・・・「ちょっ、デューク! デューーーーーーク!」」


今まさに牧場建設を始めようとしていたデュークが至急呼び出されたのは言うまでもない。

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