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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

カーストの檻

作者: Akira Ninomae
掲載日:2018/08/01

とある書籍に触発されて書いてしまいました、初投稿です。よろしければ読んでみてください。

 僕らはある序列の中で生きている。それは言うなれば社会性を有する生物にとっては必然であり、致し方ないことなのかもしれない。

 今年で僕は十七歳になった。義務教育を九年間きっちり修了し、後期中等教育。いわゆる高校生真っ只中である。今まで大病なく生きていたことにはまず、感謝すべきなのであろう。そう、ただ生存してきたことに関すれば。

 

 ――ある序列。それは学内に生まれるカーストである。学級身分制度(スクールカースト)とでも称すべきか。

 そのスクールカーストはどういう訳か、四月のクラス替えが終わり、五月病が蔓延しだす頃には強烈に目に見えてくる。

 大きく分別すると、四分割くらいであろうか。最上位たる者たちは勉学、運動、容姿、交際能力と何をとっても非凡である。次点の者たちも、それに準じる素質を持つものの、何か一つが欠けているのだ。欠けている、とは言え、当然序列が三番目の空気の様な僕など彼らの歯牙にもかけない相手だから関係はない。そして、よくよく問題提起のポジションとして取り扱われるのは最下層たる者たちだ。その最下層に立ち位置を余儀なくされた者たちは、上位にいる者たちには殆どの事で及ぶことはない。及ぶとすれば趣味や他愛もない雑学であり、唯一まともに勝負できるものは学問だけであった。身体能力や容姿では、第三位の僕が言うのもはばかられるが、太刀打ちできる要素は残念ながら皆無に等しかった。

 

 さて、なぜ僕がこんなことを言っているのかと言えば、悲しい事に我がクラスでスクールカーストが原因で死人が出た為である。

 誰が死んだのか。普遍的な回答であれば、最も序列の低い生徒を連想するだろう。しかし、事実とは得てして予期せぬ結果を生む。

 序列が二番手に存在する人間であった。僕がその話を聴いたのは自宅で冷めた味噌汁をすすりながら、ニュースを見ているときであった。

 

 そいつの告別式がつつがなく進む中、妙な違和感が腹の底で渦巻いていた。僕を除くクラスメイト全員が泣いていたのだ。

 おかしい。彼がいなくなって、ある呪縛から解放されるものが大勢いるにも関わらずだ。

 

 いわゆる彼は人を見る人間だった。損得勘定で動き、ストレス発散とでもするのが世相的には正しいのだろう。下層に位置する者たちに対して執拗な嫌がらせを行うような奴であった。それを最上位の生徒や教師たちには巧みに隠匿し、高評価を得ていた。よく言えば処世術に長け、悪く言えば狡猾である。

 

 先に述べたとおり、僕の序列は下からカウントしたほうが早い。しかし、彼からは身体はおろか、精神的な嫌がらせを受けた事はなかった。いや、厳密に言えば何度か受けた事実は、あるにはある。小学生の頃であった。

 一方的な嫌がらせを受けていたのだが、子供の頃から僕は妙に達観していたらしく、そのことごとくを無視していた。それが彼の癪に障ったのだろう。嫌がらせはエスカレートしていった。そして、とても些細なきっかけで僕の逆鱗に触れて(このとき実は母と取っ組み合いの喧嘩をした直後であったことは覚えている)痛い目にあって以来、それが遠いトラウマになっていたのかもしれない。

 いずれにしろ、見る人間が見ればそれなりに卑怯な姿が滲んでいたのではなかろうか。

 

 そんな彼も()()()はスクールカーストの深部に飲まれ死んだのであろう。確固たる証跡を押さえたたわけではない。しかし、焼香を終え、隠し持っていた目薬で涙袋に液体を詰め込んでいた僕とすれ違ったグループの何人かは、口元が歪に見えた。それは、まるで笑いを噛み殺しているかのような不気味さを放ち、直感的に彼らの仕業だと悟った。

 門扉と死者に一礼するように見せかけて、振り返りざまにそのグループの一人に目を向ける。ブレザーの後ろポケットには、僕の右ポケットに忍ばせた同じ形状のふくらみと、黒いサインペンが覗いていた。


 彼の死因は、全身の複雑骨折と内臓破裂によるものだった。世間一般に言うなら飛び降り自殺。現場には自筆と思われる遺書が遺されており、部活動の悩みも親しい人間には明かしていたらしい。

 

 ――しかし、僕にはどう考えても殺されたようにしか思えない。物的証拠は何一つないが、状況証拠と何より告別式での薄ら寒さを覚える涙にあった。

 殺害方法も検討できぬ、この邪推を誰かにリークするつもりもないし、強請りのネタにも扱うつもりは毛頭ない。ただ、窮鼠猫を噛むどころか、肉を切らせて骨を断った彼らに幾ばくかの恐怖を覚えた。

 一般的な思考では最下層がいじめを受けて自殺を図ることが多いかもしれないが、今回のケースは非情に稀だろう。

 

 僕は、改めてこの学級身分制度(スクールカースト)の檻の中で、空気でいることをこれからも徹することを誓った。

 あと何年、僕はこの社会(カースト)の檻で空気を演じ続けるのだろうか。きっとそれは僕が死ぬその一瞬までなのだろう。

掌編として1000文字程度に抑えたかったのですが、難しいですね。およそ倍近くになってしまいました。。。内容は支離滅裂ですが、スクールカーストについて言及しました。筆者自身は恐らく下層に位置する人間だったと思います。

無意識下できっとこういった学級身分は生まれているんでしょうね。それは働き出してからも同じです。


しかし、カテゴリはヒューマンドラマなのだろうか。。。

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