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夢物語  作者: 如月 煉
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第一章【夢物語】第五話【神と神(自称)】

涙を拭い、落ち着いたところで僕はまた前を向いた

気を使ってくれてなのかエナは決して僕の方を向かずに少しゆっくりしたペースで歩いていた、当然僕も歩みを止めることは無かった




しばらくするとエナは立ち止まり前を見据えていた


エナ「こちらがこの世界の神であらせられる方の待つ場所です」


僕は驚愕した………

それこそ言葉にするのも恐ろしいくらいに言葉につまった

しかし、言わなければならない。言わなければ気が済まない

深く深呼吸をして僕は禁じられた言葉を叫ぶ………





竜馬「ボロ!ちっさ!汚っ!古っ!俺のばあちゃんの家の借家の方がまだまとも!!!」


エナは驚いた顔でこちらを振り向くが、悪い。驚いたのは僕の方だ


ゲームやアニメの世界では神とは荘厳なる神殿の中で玉座に座り肘をかけながらこちらを見下すものが大半だ

仮にだ、それがいい過ぎだとしても神だぞ?

三畳一間程度の畳の部屋しかなさそうなこの廃屋はなんだ?

縁側に座り込みながら遠くを見つめる80過ぎの爺様くらいの想像が容易に出来てしまう

なんならお茶菓子は煎餅だ


エナ「コホン、神は無駄を作らない倹約家なんです。贅沢は一切しないので信頼や信用もとてもある御方なのです」


なるほど、無駄を省きすぎて頭のネジまで節約しているのか

とりあえずアレだな、最低限の威厳すらないって事はなんとなくわかった


竜馬「で?その神は?今から会うのか?」


エナ「はい、そしてあなたもわかると思います。この世界の神のお力を……」


そういうとエナは玄関に僕を誘った


どうみても西洋騎士な美女、古臭い日本の古民家に住む神、全裸の僕。なんだこれは?


引き戸が開き、ついに神がその姿を見せた………


眼を疑った、そして沸き立つ親近感

何故だろう、なぜ今、彼は…………



全裸で仁王立ちしながらコーヒー牛乳を腰に手を当てながら飲んでいるのだろう


そして、僕は、いらない敗北感もついでに味わった


*「……………っぷはっ!やっぱり風呂上がりのコーヒー牛乳は格別ですね!週に1回の贅沢!たまりません!!」


エナは呆れた顔でため息をついていた


僕は自分の下半身を見てため息をついていた


*「おや?エナさん、戻って来てましたか。失礼、今ちょうどお風呂から上がったばかりでして着替えを忘れていましたよ」


エナはいいから着替えなさいとその神らしい何かに怒っていた

神はまあまあとエナを鎮めながら目の前で着替え始めた


僕は言うべきなのだろうか?それとも我慢すべきなのだろうか?


いや、言おう。言わなければならない



竜馬「野郎のサービスショットなんか誰得だ!!せめてそこは美人美女であるべきだろうがオッサン!!」


神、もといオッサンはキョトンとした顔でこちらを見つめた


*「えっと………どちら様でしたかね?あ!新聞なら結構ですよ?私には物知りなエナさんがついていてくれてますので」


爽やかな笑顔で勧誘のお断りをされたがよく見ろオッサン、俺は丸腰だ

さらに付け加えるなら今新聞が貰えるのなら俺は契約したいくらいだ


エナ「違います、彼が以前お話した創造主です。それと彼に何か服を貸しては貰えませんか?色々と私も困るので」


ですよね、全裸のオッサン2人に囲まれた美女とか最早身の危険を感じますよね


*「そうでしたか!あなたが!いやぁ、お会いできて光栄です、まずは自己紹介を……」

竜馬「紹介する前に服を着ろ、そして僕にも服をくれ、出来れば新品のラッピングされている未着用の物を」


神と神の初の会話だった……

僕は思った、この世界は僕が今まで作り上げた中でも類を見ない最強にして最悪なストーリー展開があるのだろうと



ようやく着衣に身を包んだ僕と、先程とはあからさまに違う威光放つオッサン、もとい神がそこにいた


エナとは違う、黒の甲冑に守られ肩から下がるビロードマントは金とも言えるような上品さと上質さを物語っていた


腰の横には身の丈ほどもあるであろう刀を抜き身で据え置き、くしゃくしゃだった髪はしっかりと伸ばされていた


*「さて、確か名前は坂本龍馬君?だったかな?」


竜馬「酒元竜馬です。来客の名前を間違えないで頂きたい」


エナ「竜馬殿!」


*「いやいや、エナさん、大丈夫ですよ。これは大変な無礼でしたね竜馬君。許して欲しい、私の自己紹介を良ければさせて欲しいのだがよろしいかな?」


僕はこくりとうなづいた











*「初めまして、夢の世界の創造主よ」


ラスト「我が名はラスト、この世界における破壊神と呼ばれる存在がこの私です…………」




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