第一章【夢物語】第四話【同調と現状】
エナは歩みながら話し始める
鈍感な僕ですら今の現状やこれからの事、エナがなぜ去ったのか…
それには興味もあるし、知らなければならないと思い黙って後を追いながら聞き入る
エナ「まず、私があなたの夢に現れなくなった事、それはあなたの夢の世界と同調した世界、その波長の狂いがもたらしたもののせい…いわゆるバグです。」
エナ「創造主であるあなたが見ていた夢、その波長に偶然重なり合う世界があり、私はその夢に飲み込まれるように転移されました。気付けばその世界の神の膝元にいたのです。」
夢の世界に波長なんてものがあるのか、個人的には自由に世界を作り上げる事が出来るのが夢だと思っていたが、、、
エナ「こちらの神は大層豪気な方で怯える私を一人前の騎士にする為に尽力してくださりました、泣けば寄り添い、笑えば共に悦びを分かち合い、時に叱る事は合っても私を見捨てることはありませんでした。」
誰かは知らないがエナを世話してくれたのだろう
生みの親としては嬉しい限りだ
しかし、騎士にするとは…僕の設定上、エナは結構貧弱な部類に入る。
いわば《守りたい!か弱い妹キャラナンバー1》と言えるのだが………
随分と逞しくなってしまったものだ
エナ「今私がいるのは創造主の竜馬殿がいて、その方がいる。それで今の私は構成されています」
なるほど、神ってのは偉ぶってる奴もいるかと思っていたが情に熱い神もいる訳だ
エナ「おおまかに言えば今の話が私があなたの元を離れた話です、そして今の竜馬殿の現状の話になります。つまり、現世のあなたの状態ですね」
大して興味はない、現実世界なんて道端の葉っぱを食べる毛虫の排泄物の大きさほどの興味もひかれない
しかし、エナが話すならば聞かなければならんだろうて。
エナ「結論から言わせていただくと………」
エナ「竜馬殿は亡くなられる一歩手前ほどの重傷ですね、生きているのが不思議すぎるほどに………」
わー
僕ってやっぱり前世ゴキブリちゃんかなぁ………
こんな説明受けたことが無い、体力・精神力・頭脳・容姿が並以下と自負する自分にとっては寧ろビックリする程の生命力だ
エナ「詳しくいうと、頭蓋骨陥没、左腕骨折、右腕脱臼、肋骨は四本砕けていて、右足は反転、左足はちぎれていて修復不可能、脳波には異常ありと診断され現在集中治療室で迅速かつ丁寧に施術されていまして、そろそろ解剖手続きの準備が……」
竜馬「了解、全て悟った、それ以上は大丈夫でございます」
つまり、現実世界の僕は起きた瞬間から地獄に誘われると、よし、生きるのは諦めて次の話にいこうか………
何故だろう、エナは悲しそうに僕を見つめるが……
僕にはこれから起こるであろう不思議な夢の世界が楽しくて愉しくてドキドキが止まらないのだ、ワクワクが溢れるのだ
そして、涙が止まらないのだ…………
人物紹介①
・シュゲン
・竜馬の夢の世界での神としての名前
・エナを創造主として作った
・名前の由来は酒元の読みを変えただけのシンプルなもの
・まだ隠された謎がある……かもしれない