月のブランコ
ポン君はお母さんの言いつけを良く守る子だったので、とても早くお布団に入りました。
でも今日はなぜだか寝付けません。
きっとお月様が明るいからかもしれません。
明るいお月様を見ていたら、ポン君はお月様から大きなブランコが下がっていることに気がつきました。
ちょっとだけ、ポン君はそのブランコに乗ってみました。
ポン君がブランコをゆすると、とても高いところにいるお月様が、世界を案内してくれます。
「見てごらん、世界は広いのだよ」
ある国では真っ白な雪の中を、犬と一緒に駆け抜けている子供がいます。
ある国では子供がお母さんと一緒にチューリップを摘んでいます。
ある国では子供が象に乗ってお父さんのお手伝いをしています。
ある国ではカッコイイスポーツカーに乗ってお父さんとお母さんとドライブに出かけていて。
ある国では砂漠の向こうの井戸に水汲みのお手伝いをしています。
そして……。
ある国では帰りの遅いお父さんとお母さんを待って、一人でご飯を食べている子供がいます。
ある国では高熱にうなされているのに、冷たい土の上に一人寝かされている子供がいます。
ある国ではみんなが寝静まったあとも、一生懸命小さな手で難しい勉強をしている子供がいて。
ある国では、お母さんと一緒に戦争に行ったお父さんの無事を祈る子供がいます。
ある国では、たった一人、真っ暗な中を逃げている子供がいます。
世界は広くて、楽しくて美しくて、そして、切ないほどに苦しいところでした。
ポン君はとても悲しくなりました。
それを見てお月様は言いました。
「でもね、僕は、平等に皆を照らしているのだよ。明日になれば太陽さんがまた、皆を照らすのだよ」
ポン君はその言葉を聞いて、なんだか少し安心して眠くなり、おうちに帰りたくなりました。
ベッドにそっと月明かりのお布団をかけたお月様は、ポン君にお休みのキスをして、また次の子供に明かりを届けにいきました。
いつか、近いうちに時間を作ってイラストを描いて、動く絵本としてアプリ配信できればなと思っています。
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