決闘
ゲマインの突然の行動に、ナーシャは対応しきれずレイピアで応戦しようとするも間に合わず
その首に、斧の刃が喰い込「させるか!」剣を抜いていたのでは間に合わないので、
右手で、刃筋をずらしに行く。そして、AGIをフルに使ってゲマインの懐に飛び込んで
無くなった(・・・・・)右手の代わりに左手で正掌を全力で叩きこむ。
バキバキと、人体からしてはいけない音を出しながらゲマインはギルドの壁まで吹っ飛んで
壁に突き刺さって止まった。
「大丈夫か?ナーシャ!」
「な!・・・リュウタ殿・・右手が・・」
「あぁ、これなら大丈夫だ」
「大丈夫なわけがないだろう!そんな傷、竜の秘薬”エリクサ―”か神級回復魔法”神の息”
でしか治らないのだぞ!エリクサ―は市場にめったに出回らないし、神級回復魔法を扱えるものなど
この国にはいない!・・・すまない、私が甘かったばかりに」
「”神の息”」
「な!スズカ殿・・なぜその魔法を?」
「それはちょっと秘密です」
「分かった、余計な詮索はしまい」
「な、大丈夫だろ」
「だが、少なくともリュウタ殿に痛みを与えてしまった
私にできることなら何でもしよう、何かあったら言ってくれ」
「本当に大丈夫だから、もう気にするな」
「しかし!」
「終わりだ」
「・・・うぅ」
「リュウタ、話が終わったならゲマインも治療したほうがいいのでは?」
「ああ、スズ頼む」
「はーい」
「リュウタ殿、本当にもう大丈夫なのだな?」
「ああ」
「よし、なら私と決闘をしよう」
「ちょっ!大丈夫とは言ったけど、みんな俺の扱い雑じゃね?」
「良いから行くぞ」
結局流されるまま、ナーシャと決闘をすることになった。
「ナーシャ、最初俺は動かないから自由に打ち込んでこい」
「余裕だな、リュウタ殿。では、行くぞ
”身体強化””鬼化””竜神の加護””破壊神の加護””限界突破””筋力30倍”
”パワーアップ””ステータス筋力特化””筋力半減”」
「ちょっと待て、その筋力特化のスキルは何だ」
「フハハハハ!降参するなら今のうちだぞ。私の筋力は全てで120倍だ。
それに加えて、リュウタ殿の筋力は2分の一、流石に貴殿でも勝てまい」
「誰が降参するか、来い」
「では、行くぞ。うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
やはり、ナーシャは脳筋なのだろう。得物はレイピアだというのに、上段に構えて
正面から突っ込んでくる。動かないと約束したので、夜桜を呼び出して鍔迫り合いに持ち込む。
「ッ!」やばい、どんなにスキルを使われようとも勝てると思っていたが、ナーシャの筋力を
舐めていたようだ。鍔迫り合いのまま押し込まれる、と、ナーシャがもう終わりと言うかのように
力を緩めて、レイピアを引いたので、すかさず夜桜で振り払いレイピアを吹き飛ばし、
慌てて、レイピアを拾おうとしたナーシャの首元に刃を当てないように突き出す。
「これで終わりだな」
「ああ、やはり強いな」
「流石リュウ君」
「お疲れ様です二人とも」
「・・・なぁ、ナーシャ。お前最後力緩めただろ」
「緩めたが・・」
「いつも、敵に優しくするのか?」
「ああ、恥ずかしながら、生まれつきの性でな。
騎士として直さねばと思うのだが、話が通じないならまだいいのだが
話が出来るものを傷つけることが出来ないのだ」
「たとえ、それが強盗・・山賊だとしてもか?」
「リュウ君・・」 「大丈夫だスズ」
「ああ、助けられるならだれであっても助けたい」
「今すぐ騎士を辞めろ」
「なぜだ!」
「ナーシャは騎士をするには優しすぎる。そんなんじゃすぐに死ぬ」
「だが、私は民を救いたいのだ」
「お前には無理だ」
「ッ!!!もういい、私は騎士団に合流する。また王と出会おう」
「まて、ナーシャ」
「悪いが、リュウタ殿とこれ以上話すことはない」
「うっ!・・・・”■ ■ ■付与”」
「何を?いや!いい、さらばだ」
ナーシャは、怒って闘技場を後にした。
残された俺たち三人は、無言のまま宿に向かった