勇者との再会
泣き疲れて眠ってしまったリーナを二度と心配をかけないと約束をした手前
置いていくわけにもいかないので横抱きで抱えて西門へと向かった。
西門の前ではギルド長が、冒険者に指示を飛ばしていた。
「ギルドマスター。リュータです。今夜、いや、もう朝ですから昨晩ですか?
とりあえず、昨晩はありがとうございました。」
「気にするな。それにしても朝からお姫様を連れて登場とはうらやましい限りだな」
「もう、リーナには心配をかけないと約束したからな」
「ごちそうさん。さて、無事で何よりと言わってやりたいところだが、
聞いた通り魔物の大軍が王都の西方向から押し寄せてきている。
魔物の種類としてはアンデット系だということだが、やつらには物理攻撃は効果が薄い。
お前は魔法は使えるか、特に火魔法が使えるとありがたいんだが」
「初級魔法でよければ」
「僥倖だ、初級魔法でもないよりはましだ。どうも王都には脳金が多くてな。
魔法を使えるやつが少なすぎてな、王城に勇者の派遣も要請したから勇者が来るまでの
時間稼ぎになればいい。というわけで、勇者たちが来るまで前線に出て魔法を魔力の続く限り
ぶっ放してほしい」
「分かった」
「頼んだぞ」
ギルドマスターと別れて、指示された通り魔法使いらしきやつらが固まっている前線の方向に俺も移動した。魔物たちはまだ遠めに見えるだけだが、この調子なら後3分ほどですぐ近くに来るだろう。
魔物を倒すのはいいが、それよりも問題は勇者たちだな。あいつらあと、特にコウキト会うのはめんどくさいし・・・仮面でもつけようかな。
そんなくだらないことを考えているうちに魔物の大軍は魔法の効果範囲内に到達した。
「よし、魔法が使えるやつは魔法をぶっ放せ。それ以外の冒険者は魔法を逃れた魔物たちの足止めと
魔力の切れた魔法使いの撤退を手伝え」
よし、やりますか!
でも、どこから狙おうか?視界一面にアンデットが広がっていてどのあたりに攻撃を仕掛ければいいのか
経験がないのでわからない。まあ、日本の男子高校生に戦闘経験があるほうがおかしいのだが。
とりあえず、周りの様子を見ながら合わせればいいかな。
「「「「「「「「「「「”全てを灰に帰せファイヤーボール”」」」」」」」」」」」
魔法使いが放った魔法がアンデットの群れの中心に向かって一斉に飛んでいく
「「「「「「「「「「「ああ、ああああああ、ああ」」」」」」」」」」」」」」」
魔法を受けたアンデットたちは、悲鳴のような声を上げながら魔石に代わっていった。
時間稼ぎは順調のように見えた。しかし、重大な問題が発生した。
「nン、ううん・・」
魔法使いの詠唱の声とアンデットたちの断絶魔の悲鳴がうるさすぎて
リーナが起きかけてしまっているのだ。昨日の夜から俺のことを心配して寝ていなかったと
言っていて、ようやく寝たというのに。それを起こそうとするとは・・・アンデットたちめ!
全員今すぐに塵一つ残さずに消え去ってもらおう。
「リーナの睡眠の邪魔だろうが!消え失せろ!”ファイヤーボール”」
魔神のレベルが上がったことで出来るようになった詠唱破棄で俺の全魔力を乗せて
ファイヤーボールを放った。すると、
あれほどまでにひしめき合っていた、アンデットの大軍は消え去り。
魔法の熱が辺りをサウナみたいな温度にしていく。
地面は衝撃で大きくえぐれ、クレーターが出来上がったいる。
魔法の余波を受けた冒険者たちが地面を転がっていく。
・・・・・・・うん、現実逃避ぎみにナレーションしてみたけれど、これはダメだ。
結論から言うと、やり過ぎた。確かに、少しやり過ぎたかなと思っていたけどここまでとは思っていなかった。でも、リーナはまた眠りに入り始めたからよしとしよう。リーナ以外は気にしない。
「何だよ、今の魔法。あれで本当に初級魔法かよ」
「今、無詠唱だったよな?」
「化け物レベルの魔法の威力だな」
「しかも、獣人の女の子を抱えたままだぞ」
「それに、その子の眠りのじゃ待って言ってたよな」
「あの、女の子の不満を買うとあいつに消されるかもな」
「過保護かよ」
「目つきヤバいだろ」
「鬼の様だな」
うん、後ろですごいこと言われているような気がしないでもないが気のせいだと思いたい。
逃げようかな?
「逃がさないからな?」
「ギルドマスター・・・」
「クロウだ。”過保護の鬼”」
「おい、何だそれは!」
「sランク冒険者にギルドがつける二つ名だ。さっきの冒険者の意見を採用した。
それと、再度いうが、残ってもらうからな。状況説明と損害について話をしなければならん。
派手にやりやがって、もう少し手加減をしろ」
ハァ、勇者たちが来る前に終わらせたから会わなくて済むと思ったのに。
「待たせたねみんな!勇者である僕が来たからにはもう心配はいらないよ」
はい、誰も待ってないっての。
「・・・あれ、ギルドマスター。魔物の大軍は?」
「そこの、過保護の鬼がすべて片づけた」
「君がかい?勇者であるこの僕を差し置いて倒したとでも?
第一君がそんなに強いようには見えないけどね」
「人を見た目で判断するな。誰ガ倒そうがなんでもいいだろ。
そういうところは、相変わr・・なんでもない」
「なんだと、口のきき方に気をつけろよ、僕はこの国の第一王女シャリーンと婚約している。
つまり、事実上次の国王だ。そして、人と話す時は仮面ぐらいとったらどうだ」
「そこまでにしておけ、過保護の鬼、勇者。
勇者、王がに早く帰還するようにとのことだ。
過保護の鬼、お前も今夜の勇者歓迎会に参加せよと王からのお達しだ」
「ッ!今はこのくらいにしておいてやるが、王城では覚えていろよ!」
怖いね~。これで本当に勇者かよ。
捨て台詞を吐きながら、コウキ達は城に戻っていった。
「クロウ、さっきは助かった。
王城でも極力俺の本名は隠してもらえるとありがたい」
「あの、勇者と因縁でもあるのか?」
「そんなところだ。
ところで、王城には何時に向かえばいいんだ」
「6の刻に会場が開くからそれまでに正装して来い」
「分かった」
今回は、被害に関して目をつむるとのことだったので、
俺は、リーナを抱えながら、仕立て屋に向かった。
本音を言えば、あいつらのいる王城になど行きたくもないが、美味しい料理が食べられそうだし
スズにも最後に謝ってからこの国を出ようと思う。
「すみません。早急に王城に行くための服を用意してほしいんですけど」
「おや、今夜のパーティーに参加するのかい?予算は?」
「俺のは、適当でいいです。
リーナのは、貴族令嬢に負けない暗いのを」
「奴隷に優しいんだね。顔も良いし、あと私が10若ければね」
「いや、筋肉だるまに言われても・・うか、お前男だろ」
「あ?乙女に決まってんだろ!次間違えたら掘るからな?
じゃあ、用意してくるからそこで待っててね♡」
「ハイ、スミマセン・・・」
こいつ勇者よりも強いんじゃないだろうか。
深くかかわらないようにしておこう。人それぞれだよね?
「何ですか今の声は?」
「リーナ。起きたか」
「スミマセン。寝てしまったみたいで。って!こ、これって・・その・・お姫様///」
「ああ、ごめん。嫌だったよな。今下ろすな」
「いや、・・別に・・アッ・・」
下ろしてあげたら何故か落ち込み始めた。
そんなに嫌だったのだろうか?次からは相手の同意を取ってからにしたほうがいいかもな。
その後は、筋にk・・カレンが来るまでリーナが寝ていた間のことを話した。
「おまたせ~。こちらでどうかしら?サイズは魔法で自動調節されるから良いと思うけど」
「リーナ。どうだ?これでいいか?」
「・・クソ!勇者殺す!・・リュータのほうがそんなやつより・・///」
「リーナさん!」「ニャいッ!何でしょう!」
「だから、これでいいか」
「え、こんなきれいなドレス。私には・・・」
「それ禁止って言ったろ?」
「あ、ごめんなさい。・・ならそれがいいです」
「わかった。カレンさんその2着でお願い」
「は~い。本来なら2着で金貨6枚なんだけど。今回は金貨5枚でいいわよ☆!」
「・・ありがとう」
カレンのウインクにダメージを受けながらも俺たちは仕立て屋を後にした。
ー6の刻ー
「それでは、ただいまより、勇者様の歓迎会を開催いたします」
いよいよ、パーティーが始まった。
「それでは、まず勇者様方の代表、コウキ・シンドウ様より、お言葉をいただきます」
「よし、リーナ一杯食うぞ」「はいっ!」
「皆さん、始めまして。勇者代表のコウキです。
本日は、お集まりいたd・・すみません、そこの仮面をつけた冒険者の方、
私が話している時は食べるのをやめてください。その程度の常識も判らないのですか」
そうコウキが言った途端。笑いが生まれ、俺に嘲りの目が向けられる。
しかし、そんなことよりも肉だ肉。あんな奴に興味はない。言わせておけばいい。
「・・殺す・殺す、殺す」
「おい、リーナ落ち着け、あれくらいで切れてもしょうがないだろ?」
ここは、大人な対応を・・「その横の奴隷の方もですよ?やっぱり奴隷は底辺なんですね(笑)」
「コウキ!決闘だ。ぶち殺してやる!表出ろや!!!!」
次回は、スズ視点です




