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友人Aの彼女の話

友人Aのバーテンダーの彼女の話2

作者: 華鳳


「この前は先に帰って悪かったな」


Aは、いつものカウンターでビールを飲み干して言った。


今日は、珍しくAから話がある、と言って誘ってきたのだった。


「話って?」


「実は、この前話したバーテンダーのの事なんだが」




Aの彼女が、朝方「ちょっと寝かせて」と言ってAの家に来たそうだ。

Aは朝から予定がある為、Aの彼女は昼間Aの家で一人で寝ていた。


Aの家は小さなワンルームで、ベランダの窓は網戸にしてあった。

その窓に足を向けて、壁の方を向いて寝ていたそうだ。


Aの彼女は、網戸をカラカラと開く音で目を覚ました。


『ヤバい、誰か入ってくる』


と思った瞬間、意識はあるのに体は動かなかった。


『これが金縛りか』


と思っていると、網戸を開けた主は、ペタ、ペタ、と部屋の中に入ってきた。それは、フローリングの床を裸足で歩いている音だった。


『早く振り向かなければ』


と思っていても、体は全く動かなかった。

その足音は、Aの彼女の後ろを通り抜け、キッチンの方へ向かった様だった。


Aの彼女は『ヤバいヤバいヤバい。殺されるかもしれない』と焦った。


足音の主は、キッチンでガサガサと何かを探している様だったそうだ。


『シンクの下の扉を開けてる? イヤ、これは冷蔵庫だ』


音の主は、冷蔵庫を開け、ガサガサ、ガサガサと何かを物色していた。

そして、お目当ての物が見つかったのか、見つからなかったか、こちらへ戻ってきた。


その時Aの彼女は、極度の緊張と恐怖で、そのまま気を失ってしまった。


Aの彼女が目を覚ますと、オレンジ色の光が差し込む夕方になっていた。

ハッと体を起こしてみた。体は動いた。


変な奴がベランダから入ってきたのではないかと、窓を見た。

網戸は閉まっていた。


キッチンへ行こうと、ベッドから降りようとした瞬間、Aの彼女は体がビクッとなった。

窓からキッチンに向かう、水の足跡が続いていたのだ。


Aの彼女は、足跡を避けつつ、恐る恐るキッチンへ向かった。

一体何を物色していたのだろうか。


冷蔵庫を開けてみた。特になくなった物はないように思えた。


『あ、アレが無くなっている』




「アレって?」


と僕はAに急かすように聞いた。


「キュウリが無くなっていたんだと」


「キ、キュウリ?」


僕は予想外の答えに、黙ってしまった。


「あれはカッパだったのよ、だってよ」


とAは小さく苦笑いをしながら言った。


「部屋にカッパか……」


Aとカッパが重なって、僕も少し笑ってしまった。



「他にもあいつは……」


と言いながらビールを飲み、話し始めた。



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