第一幕 たびのはじまり
第一幕
双子の勇者は悪魔の国と化した統治国付近の村に到着した。
討伐国エルフェカトからどれ位旅をしただろうか。
これまで数多くの崩壊した村を見てきた。
そして、豊かな暮らしを送っていた村の墜落も数多く見てきた。
旅をする毎に絶望が一行を支配する
目標間近にも関わらずその眼には出発当初の輝きは無かった。
村をひと通り散策した一行は、屋根が残っている家屋を拠点とし今後の計画を練る事にした。
勇者達が引き連れるはアークプリースト(ヒーラー)とシールドガーディアン(盾持ち)。幾多の闘いを潜り抜けてきた勇敢な戦士達だ。
彼らには力がある。
2人は双子を家屋に残しあたりの散策を続けた。
---拠点にて
勇者A「この村もやっぱりダメか。。骸骨ばっかり転がってるや」
勇者B「お姉ちゃん、ねぇ、まだ行くの?」
姉「うん。。正直・・・もう帰りたい。。辛い」
姉「でももう目の前まできてるから、行かなきゃ」
妹「なんで?」
姉「なんでって、、勇者だから」
妹「勇者だから行くの?誰が喜ぶの?行ったところで世界中にいる悪魔が居なくなるわけないじゃん」
姉「・・・」
姉「帰ろうか・・・」
妹「うん・・・」
救済国に近づくにつれ暗雲が広がっていくが
ここまでくると薄暗いでは済まない。常に夜なのかと言わんばかりの暗さになる。
いつ悪魔が現れるか分からない。そんな状況が2人をさらに不安の渦に追いやって行った。
姉「お腹すいたな・・」
姉「ねえ、ちゃんと食べたのいつだっけ・・・」
妹「9日前のラインプールって村だったと思う」
姉「ここにも何か保存食とか残ってないのかな・・・」
---
妹「何も無かったね・・・」
姉「・・・・」
妹「ガーディアンさん達、早く帰ってこないかな」
妹「早くみんなで帰りたいよ・・・」
姉「・・・」
姉「勇者になったけど、ここまでやらなくて良かったのかな・・・」
妹「え?」
姉「みんな見てるのって結局は自分の周りだけじゃない。。こうやって私たちが旅をする傍ら楽しい会話をして・・美味しい食べ物を食べて。ぐっすり寝て・・子供を産んで・・・家族に見守られながら死んで。」
姉「そう考えると、とても悲しくなってくる。あたし達、このままだと死ぬしかないよ。。」
妹「でも、、この村とか、前の村とか。私たちが守れなかった村の人達にはどうしたら良いの?謝れないよ」
姉「そんなの知らない。謝る必要あるの?」
姉「・・・結局は自分自信を考えるしか無いよ。だって、、あたしらが何かした?たまたま立ち寄った村が襲われただけだし。。」
姉「あたし達にとってこの旅は敵討ちでも無い。守りたいと考えた事もない。。」
姉「ただ、進む事が出来たからそうしてるだけじゃない。」
妹「お姉ちゃん・・・」
闇はさらに深まって行く。
すでにお互いの顔すら確認できない。
ただそこに黒い影があるな。と言うレベルでしか確認できない。
静かに、静かに闇が2人を包み込んで行く。
ガタンッ
扉が開く音が家中に響く。
姉「おかえりなさいプリーストさん」
プリースト「・・・盾持ちが1人で逃げたわ」
妹「えっ?」
プリースト「あなた達、あの人に帰還の宝珠を預けてたでしょう。転移する光が見えたわ」
姉「え・・あたし達は・・・?」
プリースト「知らないわよ。見捨てられたんじゃないかしら」
妹「プリーストさん、、私達ももう戻ろうってさっき話してたんです・・」
プリースト「そうね・・・ここから進むと死んでしまいそう。」
プリースト「でも、歩いて帰るしかないわよ。私には帰還の魔法は唱えられないし・・・」
姉妹「・・・」
プリースト「よし、そうと決まればすぐ行きましょう。いつ襲われるか分からないわ」
妹「お腹すいた・・・」
プリースト「流石に魔法でお腹は膨らませれないわ・・」
姉「がんばろ・・・来た道だからきっと悪魔も居ないよ」
双子の勇者とプリーストは魔都を背に母国目指し旅を始めるのであった。
第一幕 おわり