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剣戟巨人のアベンジャー ~同級生に叩き売られた剣闘奴隷がバカどもに復讐を果たしながら女子生徒を奪還する話~  作者: 藤原ゴンザレス


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人生を取り戻せ!

 俺は目覚めた。


 俺はがばりと立ち上がる。

 時間がない。

 急がねば。

 そこは飛行機の機内。

 そう。

 俺が思い出せるあの時、俺はあの事故の直前に戻ってきたのだ。

 細川と接点はなく、いじめられっ子の惨めな姿でだ。

 だがそれで良かった。

 細川は家に帰れる。

 俺が小室を止めればだが。



 至高天は複雑な命令に対応できない。

 飛行機事故を回避しろとかではダメだ。

 もっと具体的な命令を一つだけ叶えることができる。

 例えば望んだ過去への跳躍。

 時間を戻るのも俺がはっきりと思い出せる時間だけだ。

 そして連続使用もできない。

 あと数分は使えないだろう。


 俺は焦って駆け出した。


「おいタカムラ! 走るな!」


 吉田の声が聞こえた。

 本気で怒っている声だ。

 だが構っている暇はない。

 俺はダッシュする。

 俺はトイレに入ろうとする小室と菊池を見つけた。

 そのまま小室を捕まえる。


「おい小室。やめろ! 飛行機を墜とすのはやめるんだ!」


 俺は小室の胸倉をつかんでドアに押しつけた。

 小室はすでにあの壊れた目をしていた。

 クソ!

 ここでも話し合いで解決出来ないのか!


「高村てめえどこでそれを知りやがった! クソ! 死ね!」


 俺を怒鳴る声が聞こえた。

 間髪を入れず脇腹を殴られた。

 いや、殴られたのではない……と気づいたのは少したってからだ。

 菊池がいた。

 菊池はナイフを持っていた。

 ここ飛行機だぞ!

 どうやって持ち込みやがったんだ!

 ナイフは俺の横っ腹に突き刺さっていた。


 客席で悲鳴が上がった。

 女子の悲鳴だ。

 俺が刺されたのを見たのかもしれない。

 菊池の馬鹿野郎!

 俺はお前も助けようとしてるんだ!


 俺は腹にナイフが刺さったまま菊池ではなく小室を殴りつけた。

 小室の口から歯が飛んだ。


 よし!

 小室は殴られるのに弱い。

 これで菊池を倒す時間が稼げるはずだ!


 そのまま菊池を殴ろうとしら引きちぎられるような痛みがした。

 菊池がナイフ抉ってから俺の腹から引き抜いていた。

 クッソ!

 容赦がねえ!

 本当に殺す気だ。


 菊池は俺の血が付いたナイフをめちゃくちゃに振り回す。

 なんだその腰の入ってない構えは!

 俺は斬られるのも構わずナイフの刃を腕で受け止める。

 一瞬止めれば十分だ!

 俺はそのまま流れでナイフを持った手を掴む。


 俺はもう一つの手で菊池のにやけたツラに拳をねじ込む。

 一発で仕留める?

 この体じゃ無理だね。

 俺はさらに容赦なく拳をお見舞いした。

 何度も何度殴った。

 歯が飛び、唾液と混じった血が飛んだ。

 殺られる前に殺ってやる!

 俺は一切の容赦なく菊池を殴った。

 ぼきり。

 俺の拳から異音がする。

 おいおい……拳頭が折れただと……

 手首も痛い。

 手首も折れたなこりゃ……

 なんだこのヤワな拳は!

 そうか……鍛えてないもんな。

 でもまだ動ける。

 この程度の痛み。

 何度も味わってるぜ!

 俺はフラフラする菊池の横っ面にトドメとばかりに肘を入れる。

 菊池は前のめりに倒れた。


「うきゃあああああああああああ!」


 小室が奇声を上げた。

 ダメージから立ち直ったら、菊池が寝てた。

 小室は驚いたのだろう。

 まさか俺に計画が阻止されそうになっているとは思わなかったのだ。

 そして小室は計画が狂ったことにキレた。


「殺す! 殺してやる! タカムラアアアアアアアアアア! 偽善!」


 水の槍が俺を貫く。

 やっぱり使えたのか!!!


 だが小室のコントロールは最悪だった。

 水の槍は菊池が抉った俺の脇腹をさらに打ち抜いただけだった。

 俺と同じだ。

 二年前に戻って弱くなっている!

 俺の脇腹からドクドクと血があふれ出す。

 とたんに俺の意識がぐらついた。

 血圧が下がってる!

 やばい!

 予想以上に出血が多い!

 クソ! もうちょっと頑張りやがれ!!!

 俺は根性で一歩前に踏み出す。


「な、なんで死なないんだよ! なんで死なないんだよ! ま、待て、それ以上近づいたらエンジンを爆破する!」


 俺はフラフラしながらも小室へ近づく。

 俺はへらへら笑っていた。

 あいつらは能力を使える。

 そして……俺も使える。

 俺はアラクネでバカどもが設置した爆弾を解体していた。

 おそらくアラクネで設置したのだろう。

 パラドクスとかの面倒なことは至高天が因果律をねじ曲げたに違いない。

 だが爆弾の解体だけでは足りない。

 粘着質な小室のことだ。

 爆弾以外にも計画が存在するかもしれない。

 小室を止めるのだ。


「偽ぜ……」


 これ以上、力を使わせる気はない。

 小室の喉、そこに親指を突っ込んでいた。

 親指を奥まで突っ込み、捻る。

 小室がむせ、咳き込む。

 これが最後だ。


「歯ぁ食いしばれ!!!」


 俺は最後の力を振り絞って小室の顔に折れた拳をお見舞いした。

 薄れ行く意識の中、俺は至高天を使う。

 これで最後だ。


「俺の望みは……この世界にある勇者の証の消滅だ……」

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