山岸さんの秘密の書庫
とりあえず身の危険のことは置いて、俺は山岸の執務室に来た。
決して現実逃避がしたかったわけではない。
したかったわけでは……
ヴァニッシェッド現実!
ウェルカムイージーな妄想!
現実なんてクソゲーいらね!
そんなわけで俺は山岸の部屋を調べていた。
エロ本を漁って死体蹴りをするためではない。
気になることがあったのだ。
おかしいのだ。
山岸はメイの手を触れなかったと言っていた。
あのDQNどもは下半身と暴力だけで物事を判断する原始的な生き物のはずだ。
12歳、2年前なら10歳だとしても手込めにしなはずがない。
むしろ喜んでやるはずだ。
ガチでクズだからな。
そこになにか大きな秘密があるに違いない。
吉田もサイガも同じ考えだった。
吉田は奥の本棚のぶ厚い本を調べ、サイガは机の前の種類を調べていた。
俺は山岸の手前の本棚で比較的薄い本を調べていた。
「ヤマギシの野郎……こんないい加減な経営をしやがって! めちゃくちゃじゃねえか!」
サイガが怒鳴った。
そりゃ山岸じゃ無理だろ。
あいつお前が思ってるのの百倍はバカだぞ。
「うーん……こちらの本は年単位で開かれてないようだな」
こちらの世界の文字は不思議なことに日本語だ。
だから俺たちでもなんとか生きてこれたのだ。
だが山岸は本を読むとは思えない。
領主という立場にあぐらをかいていたはずだ。
読んでいるはずがない。
「うーんこちらもなさそうだけど……」
そう言いながら俺は一番薄い本を手に取る。
写真集だ。
中を開くと小学生くらいの男の子が楽しそうに水着で遊んでいるものだった。
「うん。ゴミだな。あとで捨てよう」
俺はさっと写真集を元の位置に戻す。
さて、なにかの間違いがあったが次の本、次の本。
もう一冊の薄い本を俺は手に取る。
『ケモミミショタ』
呪文が書いてある。
……そうだ呪文に違いない!
そうか!
これが煉獄の秘密なのだ。
そういうことにしておこう!
おっとこれはトップシークレットだ。
他人が煉獄の秘密を知ってしまうのは避けねば!
あとで焼却して全てを闇に葬るんだ。
日本人全てがこうだと思われたらたまらない……じゃなくて煉獄の秘密が漏れたら困るからな。
うん。そうだそうだ。
そうしよう!
俺はなぜか優しい気持ちで本をしまおうとした。
だが……
「吉田キッーク!!!」
「んべッ!」
煉瓦を破壊する吉田キックが俺の背中を襲撃。
俺はそのまま本棚に頭からつっこんだ。
俺じゃなかったら怪我するぞこの野郎!
「この鬼畜! この人でなし!!! 死体蹴りはあれほどするなと言っただろうが!!!」
「俺はいま隠蔽してやろうと思ってたよな! 見てたよね!」
「ショタのなにが悪い! この世界では犯罪じゃないんだぞ!!!」
「うっさいわボケ! 日本人の恥をさらすな!」
「なぜ世界は俺たち覚醒したものに冷たいのだ!!!」
「覚醒とか言うな!」
「旦那様もこういうのがお好きですの?」
「ないない。俺はもっと大人の女性の方が……ん?」
あれ?
俺が声の方を向くとそこにはメイがニコニコしながらこちらを見ていた。
「それはワタクシくらいですの?」
断じて違う。
確かにメイはこの本の男の子と比べれば年上だ。
だが俺のストライクゾーンではない!
というか彼女がストライクゾーンはさすがにまずかろうよ。
俺はド変態ではない。
俺は吉田に視線を送り助けを求める。
吉田は血の涙を流しながらプルプルと震えていた。
オイコラ待て!
「俺はお前が死ぬまで殴るのをやめない!!!」
「死ぬのか!!!」
「はっはっは。見ろメイ。夫の弱みを知るのは領主の妻の一番のつとめだぞ」
「はい! お兄様!」
「サイガアアアアアア!!!」
俺が怒鳴るのと同時に吉田が部屋にあった剣を抜いた。
「先生に黙って嫁をもらう悪い子いねがああああああああぁッ!!!」
吉田の太い腕から繰り出される剛剣が机を一刀両断にする。
っちょ!
死ぬやろが!!!
「吉田! や、やめ! っちょ!!!」
「オレ コロス リアジュウ デストロイ」
吉田はなぜか片言になってブンブンと剣を振り回す。
生徒を僻んで本気で殺しにかかる。
まさに日本の教育の歪みがここに!
く、来るなあああああああ!!!
……このあとめちゃくちゃ殴った。
本気で。
八つ当たり気味に。
こうして俺の奴隷生活は終わりを迎えた。
だが人生とは上手くいかないもの。
次になにが待ち構えているかなんて俺はまだ知らなかったのだ。
◇
薄暗い部屋。
まるで鏡のように美しい液晶ディスプレイに表示される文字を私は見ていた。
セクション46。
マイコン部にいた私はこのセクションでオペレータをしている。
身分は奴隷。
私の世界では絶滅した制度だ。
だが不平不満は言っていられない。
この世界が危機を迎えている事をわかっているからだ。
液晶画面が表示しているのは軍のアゼルのステータスだ。
脈拍、血圧、体温、脳内物質。
各種装備の状態。
全てがモニタリングされている。
3番のアゼルの数値に異常が発生する。
突然、レーザー砲の出力が落ちたのだ。
「ミズキ報告しろ!」
「はい。3番機レイガンの出力落ちました。どうやら交戦中のようです!」
報告した瞬間、3番機の脈が止まりエラーを知らせるブザーが鳴り響いた。
それはパイロットが死亡を知らせるものだった。
「3番機。死亡。自爆シークエンス開始します」
もう嫌だ。
こんなの正気じゃない!
私は泣きそうになりながらコンソールから自爆プログラムを実行した。
『SFジャンルでVRMMO以外を投稿するのはなろう規約違反です。』
だそうです。
某ユーザーさんから昨日から大量にメッセージをいただいております。
今までユーザーブロックとかしたことなかったんですが、ブロックを初めてしました。
今回さすがに心が折れたので一番短いプロットで行きます。
10万字近辺で終わります。
ストックにプラスしてあと3話書けば終わるようになっております。
7月中に完結する予定です。
「俺たちの戦いはこれからだ!」な打ち切りエンドじゃないです。
ちゃんと完結します。
少し駆け足ですが。
今まで応援ありがとうございます。
がんばります!




