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店の入口扉を開けて、外を見る。
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まだ夜が明けて間もない時間、ドアベルを鳴らしながら開いた先には、ひと気のない薄霧の街並みがあった。予報では晴れると言っていたが、さて、どうだろう。晴天を望むわけではないが、長旅に苦のない天気であってほしいとぼんやり思う。
扉脇に設置してある郵便受けの蓋を開けると、手紙が二通とチラシが一枚入っていた。チラシはどうやら花屋の新装開店を知らせるもののようであり、手紙は孰れも『請求書』と書かれている。となればそれほど急く用事ではあるまい、帰って来てから処理をしよう。そう考えながら、店内に戻るため再度扉に手を掛けたとき――気づいた。
扉に、何か小さな紙が貼られている。
『閉店』の札に貼り付けられているせいで、内から見たときは気づかなかったようだ。子供の悪戯だろうかと訝しく思いながら、抓んで毟り取る。接着した糊は粘着力の弱いものであったらしく、紙は綺麗に剥がれ、札に小さな汚れのひとつすら残ることはなかった。
書かれていた文章はひどく短かった。また、難解な言語ではなく彼のよく知るそれで、読むにも苦労することはなかった。
――苦労したのは、解読ではない。
二度ほど黙読してから彼は、静かに店内へ戻っていった。
その灰の瞳に、強い苛立ちの色を見せて。
お久しぶりです。
お気に入り登録・評価等ありがとうございました。そろそろ皆様にも忘れられた頃かと思い、折角なので続きでも書いてみようかと思います。
真面目そうな雰囲気で書き出しましたが、所詮は「前パートあとがきに書いた例の嘘予告を書いてみよう」な魔法少女ナギたん回ですのでお察しください。すみません。
今迄同様に、週一更新を目指します。




