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「そういえば、あの水の壁ってあなたが作ったの?」

 ティナはレオンに聞いた。

「そうだよ。何かの参考になった?」

 ティナはレオンに聞いたことに意味がない事を知っていた。

(水の壁を作ったのなら水属性ということもあるけど、それにしても魔力が少し弱いような。それとも、そう思わせるため?)

 深く考えようとしていたティナだったが、今の状態では何も分からないから考えるのをやめた。やることは一つ。行動あるのみと自分に言い聞かせて。

「今、眠りし時、我の力によりて目覚めよ!」

 ティナはそう唱えると同時に、ペンダントが光りだし、両手の親指、人差し指、中指で三角形を作り、そのまま手のひらを自分の方に向けるように、指の形はそのままで人差し指と中指を交差させた。すると、金色に光る丸いボールが現れて、次第に杖の形になりティナはそれを掴んだ。先端が丸枠に星の形が入っている。

 この間にレオンも杖を出している所だったが、ティナのように呪文を使っていなかった。

 レオンは首にかけているペンダントの飾りの棒のようなものを外した。それが杖の元となるのだろう。外した瞬間ピンッという音がして、その飾りを宙に投げた。すると、薄緑色の光が周りを包むと次第に光も消えていった。そして次第に出来てきた自分の杖を掴んだ。先端は光の色と同じような色の卵型に四方に底から細い管のような物が中央ぐらいまで弧を描いていた。

 二人は杖を構えるとティナが攻撃を始めた。

「姿を現し、かの者を捕らえよ。ウディネス!!」

 ウディネスが姿を現すとそこから木の蔓が飛び出し、レオンを捕らえようとしていた。ティナは大丈夫だと思っていたが無理だった。それはレオンが木の属性だという証拠であった。しかし、ティナは予測していた。ウディネスが姿を現した時、ティナはレオンが何もしようとしないように見えたので、レオンに気づかれないようにウォートレスに声をかけていたのだ。だから、すぐに対応が出来た。そのまま気づかずにいたら自分の魔力やウディネスの力と一緒にレオンが木の属性のためにレオンによるエネルギーが返ってくるのだ。何もしないままではティナはどうなっていたのだろうか。

 ティナはすぐさま唱えた。

「我の前にシールドを!!」

 まだウォートレスを後ろに姿を現せておいたので早く水のシールドが出せた。だが、それでも抑えきれずに衝撃によって一歩ほど後ろに押されて、体力が少し消耗してしまった。

(これでレオンが木の属性だと分かったわけだし、私のもバレちゃっただろうな)

 ティナも初めからレオンに属性が分かっていたわけではなく、ただ木の蔓で捕まえたいと思って発動したら、レオンが何もしてこないという所から判断した。そして、レオンもティナが自分を守る時、レオンより自分の属性の方が強いから、水のシールドを出したのを見てティナが水属性だと思ったのだ。

 次に行動を移したのはレオンだった。

「葉月よ、木の幹で、かの者を捕らえ、卯月よ、火の壁で取り囲み、ダメージを与えよ!ウッドトゥルック&ファイヤーウォール!!」

 ティナが抵抗するまでもなく相手が早かった。葉月から放たれた木の幹の捕まり、動くと余計に締め付けられているのが分かった。それだけなら何とかできるがもう一つあった。火が自分の周りを囲み余計に身動きが取りにくくなった。ついでに火に囲まれているものだから酸素が少しずつ減っているのが分かったし、近くというかすぐに木があるから燃えやすい。今の状態ではティナが不利だ。口を開けていないと辛かった。でもティナはまだやれる。杖を握りしめて呪文を唱えた。

「ウォートレスよ、この地に雨を。バレッシング・レイン(祝福の雨)!!」

 少し声を出すのがやっとだったがウォートレスに届いたようだ。上から引っ切り無しに雨が降っているから。もうすぐ火が消える。そうすれば、ティナはやれる。そして火は消えた。

 レオンは自分が放った木の幹はどうするのかと言うようにまだ攻撃してこない。

「ウォートレスよ、姿を変え我に力を!!」

 ティナが唱えるとウォートレスは氷の守護精へと変化していった。ケインが言っていた事を思い出したのだ。

『自然は一つの形だけではないんだよ』と。

 だからティナは水を氷に変えることで杖に氷を覆わせて氷の剣を作ることが出来た。そしてその剣で木の幹を切った。

 ティナはやっとのことで自由になった。でもダメージは体に受けている。少し息が荒くなり疲れが出始めた。

(早く決着をつけないと……)

 ティナは効果抜群の魔法を考えていた。

「ウォートレスよ。かの者に黒きプレゼントを!アシッド・レイン(酸性雨)」

 レオンの上には暗雲が立ちこみ、レオンは木で自分を防御しようとしていたが無理だった。次第に雨は強くなっていた。ティナは言った。

「アシッド・レインには防御は効かないよ。すべて溶かして無力化させるから。今度水属性に会ったら気を付けて」

 少し余裕が出てきた。だが、油断はできない。最後まで。雨が止んだ。レオンもダメージを受けたようだ。攻撃を防御できなかったのだから。レオンは左ひざを地面につけ、息を整えていたが、顔だけはティナをちゃんと見ていた。

 まだ二人ともやる気だ。ティナは杖を構えた。

「サンデリーよ。姿を現し、攻撃せよ」

 サンデリーが姿を現すと笑顔というより楽しそうだった。サンデリーが両手を空にかざし、雷を手に集め、レオンを指すとそれが勢いよくレオンに向かっていた。それをまともに当たるとダメージがより与えられる。だが、レオンに当たるはずもない。

「霜月よ。雷によって攻撃せよ!!」

 レオンの方も雷を放った。その二つの雷はぶつかり合い爆発した。同じエネルギーだったのだろう。爆発による煙はすごいものだった。辺りをほとんど覆い隠すほどだった。

 でも、ティナはこれを待っていたのだ。レオンが雷の守護精がいるか分からなかったが、一か八かでやってみたのだ。たぶん、これで最後になるだろう。二人ともダメージを受け過ぎている。本当は立つのが精いっぱいだったりする。

「ウォートレス、否、アイスレット。かの者に白い嵐を、レイン・ハイル(雹の雨)!!」

 アイスレットは大気中の水分を氷に変え、ひょうに変化させてレオンに攻撃した。

 レオンは、防御しているものの雹の威力が強いため、ダメージを与えられ、傷も出来てしまった。レオンはほとんど立つことが出来ずに木に凭れかかっていた。傷は少しずつ治っていたが、だいぶ疲れているようだ。そして、ティナも疲れた。これで終わったとレオンと同じように木を背もたれにして座っていた。ウォートレスやウッドレスやサンデリーそしてアイスレットにもお礼を言った。ウォートレスとアイスレットは別の者ではなく、二人で一人。どちらの姿にも変われるようになったのだ。創造力などが多い者ほどいろんな守護精が生まれる。ティナとレオンがいる辺りにさわやかな風が吹いた。ティナは一瞬寒気を感じた。すると、急に眠気に襲われた。


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