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 ここは町――ユートスタウン。昼とあって人がいっぱいで賑やかだった。朝食の材料を買いに来た者。どこかのレストランに食事をしに来た者。お茶に誘おうと女の子を探している男などいろんな者がこの町にいた。そんな町の目立たない所に一人の少年がいた。その少年こそがシルバームーンを率いているレオンであった。少年は店と店との間にできた壁に凭れかかって立っていた。黒色の帽子を目深に被り、髪は紫髪で短く茶色の目でズボンに少し大きめの半袖のTシャツとラフな格好だった。ズボンのポケットに手を入れて誰かを待っているようだった。

 そこに三人組の女の子たちが通り過ぎたが気づいていなさそうだった。その後ろにレオンが待っている者が歩いていた。レオンがいる所にさしかかるとスッと人を避けて近づいた。

「準備が出来たそうだ。オレ達が動いているのを知っているらしい。城の奴らをちらほら見かける」

「さっき、三人組でそこを通って行ったよ」

「それでもやるんだろ、レオン」

「もちろん。他の者は気づいていないんだ。今起ころうとしている事に」

 レオンは待ち人と森に向かっていった。




 自然界の森はナルティノとヨキスナを円で囲むように連なっている精霊の森と境界線の役割をしているヘルムの森がある。レオンとユフィス・メセナはヘルムの森の西側に向かっていた。そして、ティナ達も少しずつ近づいていた。ユフィスというのはシルバームーンの仲間でありレオンの良き理解者であった。髪は銀色、後ろで髪を結んでいた。顔立ちも良く美男子だった。二人はヘルムの森に向かっている途中こんな話をしていた。

「今回は横から邪魔がはいるかもしれない。皆の魔力では全員を入れないようにするのは無理だと思う」

 とレオンが言うと、

「そうかもな」

 とユフィスが軽く言った。

「だから覚悟しておいてほしい」

「あいつも分かっているさ。心配することはない。自分達の道を進めばどうにかなるさ」

 そして二人は目を合わせて少し笑みを浮かべた。




 ティナ達は他のグループ達とも連絡を取りながら森に近づいていた。ティナ達が遠くの者と連絡や会話をするために使っている無線機は耳栓のように小型でそれに耳にかける突起のようなものが付いていて、それを耳にかけて機械を耳の中に入れるものだった。そのため髪で耳を隠せば分からなかったし、耳にかけているだけで声も聞こえるという優れものだった。

 ティナと同じ班のイシズ・ファーマが町の中を歩きながら話をしていた。もう一人は後ろにいた。

「でも、あいつらって何する気なんだろうね?」

 イシズはティナに聞いた。

「森に向かってるってことだから、……山を燃やすとか?」

「それはどうだろう、盗賊でしょ。何の利益があるのかな」

「そうだよねー」

 と二人で話していると、無線機から声が聞こえ二人は話をやめた。声の主はノーマだった。

「直ちにヘルムの森の西側へ向かうこと」

 それだけ言って無線機は切れた。何か起こったのか、それとも行われようとしているのか。まだ、ティナ達は分からなかったがヘルムの森の西側へと向かった。




「さあ、行こうか」

 とレオンが言った。深く被っていた帽子を浅目に被り直した。シルバームーンはレオン、ユフィスを合わせて三人。後の一人はクナリス・メセナ。クナリスはユフィスの弟で双子である。短髪で髪型が違うだけで顔は似ているため、なかなか見分けがつかない。二人とも銃使いガンマスター。レオンは魔法使いウィザードである。

「さて、本題。これからすることを再確認。ます、俺が魔法で水の壁を張る。俺は水属性じゃないからそれほど力はないけど火を水の壁の外に進ませないようにすることは出来る。あとは少し人の侵入を防ぐことが出来るくらい。これが俺の仕事。次はクナリス。そうだ、ユフィス、設置は出来てる?」

「レオンの言うとおりにしてあるよ」

 レオンは頷いて続けた。

「クナリスは水の壁の外から設置した木の発火装置を銃で打つこと。その発火装置に熱が伝わって木々に火がついて燃えるということになる。いいかな?」

「了解」

 ユフィスとクナリスは個々に返事をした。

「あと一つ。クナリスが打った後、すぐにここから皆逃げる事。理由は……捕獲隊が動いているから。そういうことだから、よろしく」

 レオンはそう言うと、杖を出すべく、首にかけているペンダントの飾りで棒のようなものを外した。外した瞬間ピンッと音がしてその棒を宙に投げた。すると、薄緑色の光が周りを包み、杖の先は光の色と同じ色の卵型に四方に底から細い管のようなものが中央ぐらいまで弧を描いていて付いていた。その杖を両手で持って前にかざして唱えた。

「水無月よ。我が示した所に水の壁を張れ!!」

 杖を上に掲げると、水の精霊の水無月が出てきて、レオン達がいる所から水の壁を張った。そして、レオンは水無月と杖を消した。

「次はクナリスだよ」

 クナリスの方を向いて、促した。待ってましたというようにクナリスは愛用の銃を取り出した。なぜ、クナリスなのかというと水の壁の中央にある木にある発火装置を打てるのはクナリスだけなのだ。クナリスは一つ銃弾を入れて銃にセットして、銃口を向けた。そして、標的を見定めて、引き金を引いた。すると、銃弾は発火装置のある木を目がけて放たれた。銃弾は発火装置を当たり、火花を散らした。火が木を燃やすと他の木々にも火が伝わり、水の壁内の木々は次々と燃えていった。その時、レオン率いるシルバームーンの者はそこにはいなかった。


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